文教民生委員会 委員長報告 |
委員長 佐野聖一 |
令和4年 第4回市議会定例会 12月議会
登壇日 2022年12月27日
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議案第58号にかかわる、文教民生委員会における審査の経過及び結果について、御報告申し上げます。
去る12月21日の本会議において、本委員会に付託されました議案につきまして、12月22日、委員会を招集し、
慎重に審査を行いました。
以下、その質疑応答等、主なものについて申し上げます。
議案第58号
令和4年度館山市介護保険特別会計補正予算(第2号)でございますが、
昨年の補正予算では、限度額400万円で設定しているが、今回300万円となった理由について聞いたところ、死亡
や施設入所などとなる方に対して、新規にこの事業を利用される方が下回っており、年々利用実績も減少している
ため限度額を減らして設定している、との説明がありました。
介護度によって介護用品は違うのかと聞いたところ、介護度によって違うということはない、との説明がありました。
所得によって違うのかと聞いたところ、住民税非課税世帯の方を対象としており、要件に合えば対象者となるため所
得によって違うことはない、との説明がありました。
支給対象者には個人差があると思うが、追加でもらうことはできるのかと聞いたところ、制度として、要介護4・5につ
いては年間10万円を限度、要介護3で重度の認知症または寝たきりについては年間6万円を限度額としているが、
それ以上追加するということは現段階では考えられない、との説明がありました。
家族介護用品を知らない人が多いのではないか、使うべき人は使えているのかと聞いたところ、ケアマネージャーも関
わっており、必要な人には声がかかっていると考えている、との説明がありました。
以上が質疑応答等の主なものであります。
採決の結果、議案第58号については、全員一致をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
この際、閉会中に実施いたしました行政視察について報告いたします。
本委員会は、10月4日から10月6日にかけて、富山県高岡市、射水市及び富山市において、視察研修を実施
しました。
富山県高岡市におきましては、「学校再編の進め方」について説明を受けました。人口16万人を超える高岡市も
例外ではなく、少子化が進んでいます。その中で、教育の基本的な方針である「子どもたちの連続した成長を切れ目
なく支援する高岡ならではの小中一貫教育を、全中学校区で推進する」という旗印のもとで再編を進めています。
印象に残った特徴的な取組として、再編にあたり子供たちの学校生活がより早く馴染むように、統合2年前から学年
ごとの交流会を行っているそうです。
また、再編を進めるにあたって、大変重要な住民との窓口役として、元校長職の方を参与として招いたことです。
その参与の方から伺った話を紹介します。
「学校再編を進めるために、教育委員会のリーダーシップがあったことと、私自身が地域との良好な関係が築けるまで
粘り強く説明に通い、小中一貫教育の利点を説明しました。その結果、地域の代表者との関係が築けると、地域の
代表者が地域をまとめてくれるようになりました。」と、実体験をお話しいただきました。
学校の適正規模の数字を前面に出さず、学校の統合が子供たちに与える効果を説明し、子供だけでなく地元住民
にも寄り添った丁寧な再編の進め方は、館山市でも参考になるものと考えます。
次に、同じく高岡市におきまして、「避難行動要支援者名簿の作成と活用」について、説明を受けました。
高岡市では、災害対策基本法により避難行動要支援者名簿の作成が義務化される以前から、市独自に避難行
動要支援者名簿の登録制度を確立、運用しており、さらに、名簿登録に同意した3,908人全員の個別避難計画
が作成されています。
名簿登録や同意取得、個別避難計画作成の仕組みは、小・中学校区単位での民生委員や自治会、地区社協
などが重層的に連携することで、社会福祉協議会と市役所の福祉部局が要支援者を把握し、名簿登録へつなげ
るという、「高岡型地域福祉ネットワーク」が機能していることです。
現在の課題については、名簿登録の同意取得が進まないこと、
また、実効性のある個別避難計画の必要性を挙げており、その原因についても、「市からのアプローチ不足」や、「当
事者に寄り添い個別避難計画を作成してくれる人がいない」等、しっかりと分析していました。
今、最も力を入れたい取組として、防災部局との連携と、名簿を活用した避難訓練の実施を挙げています。
一方、館山市では、避難行動要支援者名簿登録者は6,663人いますが、個別避難計画の作成は0人です。
災害はいつ起こるかわからないことから、避難行動要支援者名簿の登録と同意取得を進めるとともに、個別避難計
画の作成が急がれます。
館山市においても、要支援者と近隣住民との日頃の交流などを求めるとともに、地区内で要支援者との関わりをもつ
取組に努力が必要であると考えます。
次に、富山県射水市の「子どもの権利支援センターほっとすまいる」について、運営者である「NPO法人子どもの権利
支援センターぱれっと」から説明を受けました。
「子どもの権利支援センターほっとすまいる」は、射水市の「子どもの権利条例」に基づき設置し、子どもの権利に関す
る様々な施策を推進するための活動拠点となっています。
公設民営により活動しており、いじめや様々な理由による不登校の児童や、虐待など、家庭に居場所の無い、主に
18歳以下の子どもと、子育てに悩みのある保護者が利用しています。
施設では、精神科医、看護師、社会福祉士などの専門職が相談に応じる他、児童相談所や医療機関、市役所
学校とも連携を密にしています。
施設の意義としては、不登校の子どもにとって、人と会うことは最も重要なことです。自宅からこの施設に通ってから帰
宅することで、学校に通っているのに近い生活リズムが作れるということです。
この支援センターは、学校への復帰を前提としませんが、結果として多くの子どもたちは、自発的に学校に戻っていくと
いいます。
館山市でも同様に実施しようとする場合、財源と人材の確保が課題となりますが、今後、学校再編が進み、子ども
の教育環境や生活環境が大きく変わることで、不登校や様々な悩みを抱える子どもが増えることが予想されますので
現在、館山市で実施している、不登校、児童虐待防止などの対策に、今以上に取り組むための参考になると考え
ます。
次に、富山県富山市の旧公立小学校について、廃校となった旧校舎を利活用している団体「NPO法人こば」から
説明を受けました。
視察先の旧小羽(こば)小学校は、2009年3月に近隣の他校との統合により閉校しましたが、統合が決まった時点
で、学校施設の取扱いについて、地域と行政との話し合いが始まりました。行政側は、校舎を解体処分する意向が
強かったのですが、校舎存続を強く希望する地元住民が、自らの責任で、施設の「維持」・「管理」・「活用」という条
件を背負い、NPO法人を立ち上げて利活用がスタートするという経過により、現在に至っています。
現在では、移住者の参画が大きく影響し、10年以上経った現在でも存続につながっています。
この旧小羽(こば)小学校の活用事例は、行政による「指定管理」や「業務委託」、「施設の売却」のどれにも当ては
まらず、最大限、地元の意向を尊重した、珍しい成功事例と思われます。
今後、館山市においても、学校再編が進むと空き校舎が複数発生することとなりますので、校舎の利活用を検討す
るうえで、閉校後に協議を始めるのではなく、統廃合の協議と並行して利活用の協議を始めることも、検討の手法の
参考となると考えます。
以上、御報告申し上げまして、文教民生委員会 委員長報告を終わります。
文教民生委員会 委員長 佐野聖一 |
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