|
館山市「食のまちづくり拠点施設」
整備事業の考え方について |
|
|
|
|
|
館山市稲区に予定されている「食のまちづくり拠点施設」整備事業について、将来、拠点に関わる方々や市民に、この
計画に対する考え方とこれまでの経緯を伝え、より発展的な解釈と積極的な関わりを願うものです。
いよいよ事業者の公募が始まりますので、疑問点は各議員が様々な場で市に問えばよいのですが、発展的かつ希望を
抱けるような事業にするには正確な情報提供が必要だと考えます。行政からではなく、議員の立場で皆さまにお伝えし
ようと思います。以下文面は先日、地元紙「房日新聞」に掲載されました。 |
|
|
|
館山市「食のまちづくり拠点施設」整備事業の考え方について |
そもそも、この計画は館山市の農水産業の活性化を目的として、生産と消費を結びつける流通の拠点を建設し、館山
市の豊かな農水産物の生産の維持拡大や販売促進に市がてこ入れをしようとするものです。また、館山市を市外にア
ピールするならば、館山市の特色を生かした「食」をテーマに、観光部門や商工関係との連携による、魅力アップや地域
ブランドの確立は重要です。
また、高齢化や就業者の減少傾向にある一次産業と、同じく維持継続に苦心をする二次、三次産業との連携による、
新しい産業のスタイルや起業の新モデルを示し、若者たちに地方に生きる意義と喜びを与えられる拠点をつくること。
つまり拠点構想の実現は市民及び市内事業者等の、オール館山で取り組むべき地域再生の街づくり事業と言えます。
したがって、議会としても事業に対する十分な認識を持ってこの事業内容を評価しなくてはなりません。
1、経済効果について
さて、高額な投資の費用対効果ですが、これは常に考慮しなくてはならないことです。しかし、民間の営利目的の事業
と公的な行政サービス及び公共性の高い事業においては、同率に図れないことがあります。食のまちづくり拠点施設は、
施設自体の収益と地域産業の振興策としての長期的、間接的な経済効果をも生み出すものです。さらに、拠点運営
を民間に委ねる場合は、現在の計画段階で数値を示すことは難しいはずです。そのために、担当部局は他地域の道の
駅や運営事業者のもとに足を運び調査研究をしています。
また、経済効果では、販売等の直接的な収益とその後に発生する経済の地域内循環も重要です。つまり、拠点で得
た収益を設備投資や生産規模の拡大、または雇用に向けた場合、波及効果として地域経済が活性化するという考え
です。現時点で計画数値を求めることを否定はしませんが、執行部からの推定予測数値だけで事業の可否を判断する
よりも、計画の実効性や効果等を見据えて未来への投資へ政策提案することこそ肝要だと思います。
まさに、平成30年に館山市議会主導で制定した館山市地産地消推進条例が効力を発する場であると考えます。
2、拠点の立地について
次に、拠点の立地についての議論があります。「場所ありきではないのか」「他に候補地はないのか」等の意見ですが、
市の保有する土地で拠点施設の機能に即した面積や目的にかなう土地として決定された予定地であり、これは十分
に検討した結果と言えます。特に、この拠点施設の性質上、商業エリアの館山バイパスや、逆に著しく交通アクセスの
悪い場所は立地条件を満たさないことになります。
予定地は国道128号から白浜に抜ける安房グリーンラインとの交差点際に位置し、今後は重要な交通ルートになるこ
とが予想されています。また、拠点建設が交通の流れを二分するかのような考え方がありますが、集客施設や情報発信
機能は複数あるべきで、来訪者が何度でも訪れたいと思うまちづくりは近視眼的であってはならないと思います。
3、道の駅について
拠点施設を「道の駅」とすることの是非ですが、「道の駅」の認定は国土交通省の制度によるもので、民間施設には与
えられないものです。地域性をアピールしつつ、いかに来訪者に楽しい時間と空間を提供するか。その役割に対し与えら
れる「道の駅」の呼称は、もはや議論の余地はありません。マイカーも観光バスも「道の駅」に立ち寄り、その地域を潤す。
このメリットを活かし、市が負担する指定管理料以上の効果を生むアイデアを、民間公募の要件に組み入れることは当
然のことです。
現在「道の駅」は全国で1180か所です。この拠点がオープンする頃には2000か所に届くかもしれません。千葉県下、
南房総エリアでも後発になりますが、様々な先行事例を参考にした、館山市ならではの「道の駅」の運営を求めようでは
ありませんか。
4、これまでの経緯について
拠点整備事業の計画を推進してきた「たてやま食のまちづくり協議会」は平成25年に設立以来8年間、協議会メンバ
ーは全くのボランティアで協議を続けてきました。参加者は商工会議所、観光協会、商店会連合会、農協、漁協他、
各種団体の代表者。加えて学識経験者、コンサルティング会社も含め様々な角度から検討を重ねてきました。その後
メンバー構成が変わっても、ひとえに市の活性化を目的にと歩んできています。
市民の声を反映させるという点ではまさに、各分野の専門的な知見が結集したと言っても過言ではありません。とはいえ
館山市民の応援なくしては発展できない流通拠点「道の駅」です。運営が民間事業者であっても、様々な意見や要望
が反映できるよう市のかじ取りを求めます。そして、議員、議会も市民の声を伝えながら政策提案をして行くことが大事
です。
当初の計画案は、第三中学校の校舎や学校給食センターの建替えにより今日まで先送りになりましたが、前澤友作
館山応援基金によりようやく実現の目途が立ちました。この好機を逃すことなく実現することこそ、未来への投資です。
地方創生のこの時代に、未来に向けて何を創り、何を生み出すかが問われています。
館山市において、すでに「第4次館山市総合計画」の中に「渚の駅たてやま」とともに、地域活性化のための交流拠点
施設として位置づけられたこの事業に、多くの事業者や市民が大きな期待を寄せていることでしょう。 |
|
|
館山市議会議員 龍崎 滋 |
|
|
|