館山市議会議員 会派別HP一覧
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会派 たてやま21・緑風会


 館山市議会議員

森 正一 榎本祐三 石井敏宏

 
 会派理念 会派活動 



  
 ご案内


2017-06-12  更新  会派活動 平成29年度 市町村議会議員特別セミナー 参加報告書
- 2016-10/31 archives「会派活動第11回全国市議会議長会 研究フォーラム
- 2016-06/08 archives「会派活動市町村議会議員特別セミナー 参加報告書
- 2016-03/30 archives「会派活動」議員間討議に関する研修報告書
- 2016-01/29 archives「会派活動」自治体経営の課題  
- 2015-09/14 archives「会派活動」医療介護は成長戦略の一つ 


 館山市議会議員 たてやま21・緑風会(森 正一・榎本祐三・石井敏宏)



森 正一
もり しょういち
文教民生委員会 委員長 
たてやま21・緑風会 
会派 代表
 
 榎本 祐三
えのもと ゆうぞう
館山市議会 
議長
 
石井 敏宏
いしい としひろ
総務委員会 委員長
議会改革特別委員会 副委員長
会派 幹事長



会派理念



館山市議会「たてやま21・緑風会」会派綱領 



本会は館山市議会に所属する議員のうち、次の理念を共有する議員を以て構成し、
活動・行動については、以下のとおりとする。


1 理念 
    館山市議会基本条例を着実に履行し、常に議会改革を念頭に議会活動を
    することによって、館山市議会が真に市民から期待され、
    信頼される議会・議員を目指す。 


2 行動・活動の基準
  (1) 活動は、館山市の発展、市民福祉の向上等に関するものであって、
    国政の党派の影響は受けないものとする反面、
    議員個々の国政への関与については、制約をしないものとする。

  (2) 行政の監視を怠ることなく実施し、要すれば一般質問で疑問点を
    明らかにすることによって、適正な行政運営に資するものとする。

  (3) 市政報告、HP等の活用によって、市民に対する問題提起・説明責任を
    果たすものとする。

  (4) 会派内での自由闊達な議論を重視し、特定の問題に関する意見交換を
    活発に実施して、一般質問で政策提言するとともに、
    要すれば問題を自由討議会に提議するものとする。

  (5) 議案に対する賛否については、議員個々の判断にゆだねるものとし、
    会派としては基本的に拘束しないものとする。

  (6) 政務活動費を有効に活用し、研修会、勉強会等への積極的に参加すると
    ともに、HPを開設して活動報告等、市民への説明責任を果たすものと
する。


3 その他
  (1) 会派には、会長、幹事長(会計を兼務)を設け、
    運営を所掌するものとする。 

  (2) 会派の会合が必要であると認めた議員は、 
    会長に申し出るものとする。







会派活動

 archives:「会派活動

2017-06-12 up
たてやま21・緑風会
平成29年度 市町村議会議員特別セミナー 参加報告書
館山市議会議員 森 正一・榎本祐三・石井敏宏


1.目 的

  市町村アカデミーが主催する「平成29年度 市町村議会議員特別セミナー ~地域における政策課題~」
  に参加し、今後の議員活動の資とする。


2.スケジュール

  5月10日  (水)  
  13:00  開校式  諸連絡 
  13:30  講演1  「中国の動向とわが国の対応」 
    講師  元在中華人民共和国特命全権大使 宮本雄二 氏 
  15:15  講演2  「少子・高齢社会における基礎自治体の社会保障の在り方」 
    講師  政策研究大学院大学教授 小野太一 氏 
      (元国立社会保障・人口問題研究所政策研究調整官) 
  18:00     情報・意見交換会 
         
         
  5月11日  (木)   
  09:00  講演3  「人口減少化のまちづくりと地方議会」 
    講師  日本経済新聞社編集局編集委員兼論説委員 谷 隆徳 氏 
      日本自治学会理事 
  10:45  講演4  「人口減少社会を希望に~グローバル化の先のローカル化~」 
    講師  京都大学こころの未来研究センター教授 広井良典 氏 



3.講演内容

  講演1「中国の動向とわが国の対応」  報告担当 石井敏宏 
  講演2「少子・高齢社会における基礎自治体の社会保障の在り方」   報告担当 石井敏宏 
  講演3「人口減少化のまちづくりと地方議会」  報告担当 榎本祐三  
  講演4「人口減少社会を希望に~グローバル化の先のローカル化~」   報告担当 森 正一 







【講演1】「中国の動向とわが国の対応」
   講師 元在中華人民共和国特命全権大使 宮本雄二 氏

  「中国の動向とわが国の対応」というテーマで、元在中華人民共和国特命全権大使である、
   宮本雄二氏による講演を聴講した。
   
 報告担当 石井敏宏 議員
   以下に講演の内容を報告する。


1 中国の状況

中国のGDPは2000年では、1.2兆ドルで日本の1/4程度にしか過ぎなかった。
しかし、15年後の2015年では11兆ドルと10倍近い経済成長を遂げており、
日本の2倍以上となり、18兆ドルの米国に次ぐ世界第2の経済大国となっている。

沿海部のみならず、内陸まで発展を遂げつつある。今後の経済動向の予測は難しいが、
国内はエネルギーに満ちており、まだまだ伸びる余地はある。
特に、労働集約型の産業構造から、知識集約型など生産性が高い産業構造に切り替えられるかが
経済成長のポイントである。
ただし、この産業構造の変換というのは難しく、世界でも成功例は少ない。

中国の人口は約13億人と言われ、これだけの大国が急激に経済成長した事例は、
世界史において他にない。
大国が急激に変化をするということは、大きな問題をたくさん抱えることになる。
日本をはじめ諸外国でも難問をたくさん抱えているが、中国が抱える問題のスケールははるかに大きい。

重要な問題としては、格差や公害問題、そして政府と共産党の腐敗や情実人事がある。
これらの問題に対して国民の不満は大きいので、中国としても対応中である。
また、中国は民主主義国家ではないので、統治の正当性に疑問があって、それが政権の不安材料でもある。
だから、国民の不満には注意している。

国家の正当性であるが、かつては建国にあたって日本などと戦った大義を使っていた。
だから、国民の不満が大きくなると、反日のポーズを取り易い。
江沢民時代に反日教育が盛んだったのは、そのためである。
しかし、日中戦争や建国の世代が没し、若い世代になると反日感情はかなり薄れている。

また、経済成長というのは人間の価値観も変える。
現在は歴史に関心のない若者も多く、日本を訪れた経験のある中国人はむしろ親日だ。
ゆえに、習近平も基本的には反日ではない。

習近平は国民から統治の正当性を認めされるために、魅力的な将来ビジョンを使っている。
「国家の富強・民族の興隆・人民の幸福の実現」という中国の夢であるが、
具体的な政策にはまだ落とし込めていない。


多くの問題を抱える独裁国家である中国は崩壊すると言う評論家は、かなり前から多かった。
しかし、現実には崩壊していないし、今後もしないだろう。
それは、中国の統治システムは思ったより強靭だからだ。

共産党は優秀な人材を登用・育成する制度を作っており、上層部は極めて優秀だ。
人材が統治を支えている。
また、経済成長が続く限り、国民に与えられるパイは増えていくわけだから、
崩壊する可能性は少ない。


2 中国の対外姿勢

中国は経済発展の度合いに合わせて、軍事予算も増やしている。
アメリカに伍する大国になりたいという野心は持っている。
また、アジア近海でも威嚇的な動きを見せていることから、
日本を含め諸外国は、中国に脅威を感じている。

しかし、中国は対日本でもそうだが、グローバル化による世界各国との経済的つながりが
極めて強くなり、対外関係の悪化は即、経済の悪化につながる。
だから、合理的に考えれば、中国が軍事的な覇権主義に走る可能性は少ない。
また、中国も対外関係の重視から国際法を守ると言っている。
ゆえに、対中交渉のためにも、国際法をよく研究した方がよい。


3 日中関係

日中とも、お互いに不信感を持っている面もあるが、
両者とも見方を客観的・公正なものにする必要がある。
特に、歴史を外交問題にしないことが大切だ。歴史は研究テーマにとどめた方がいい。

国と国の関係を良くするのは、お互いの国民が交流することだ。
国民同士の交流ではお互いに好印象を持つことが多いので、これを地道に続けることである。
ただし、安全保障については、中国の動向を注視し、対応が必要なこともある。 


<所見>

中国は実質的に、経済的には自由主義であり、政治的には社会主義独裁国家に見える。
開発独裁とも言えるが、この体制は、経済がうまくいっている間は揺るがないものだ。
日中関係というのは難しいものであるが、基本的には友好関係を築きつつ、
しかるべき対処はするという硬軟織り交ぜた冷静な外交が大事だと思う。

(以上、報告担当 石井敏宏







【講演2】「少子・高齢社会における基礎自治体の社会保障の在り方」
   講師 政策研究大学院大学教授 小野太一 氏
      (元国立社会保障・人口問題研究所政策研究調整官)

  「少子・高齢社会における基礎自治体の社会保障の在り方」というテーマで、
   政策研究大学院大学教授、元国立社会保障・人口問題研究所研究調整官である、
   小野太一氏による講演を聴講した。

 報告担当 石井敏宏 議員
   以下に講演の内容を報告する。
 

1 将来推計人口と人口構造の変容

(1)人口・世帯構造の推移
出生率は2005年の1.26を底に15年に1.45まで回復したので、
人口減少と高齢化の推計に改善が見られた。
しかし、それでも2065年の日本の人口は約8800万人、高齢化率は約38%と見通しは厳しい。
人口減少と生産年齢世代割合の減少が同時に起きるということだ。経済的にも縮小が予想される。
(逆に、高度成長期の日本がそうであったように、人口増加と生産年齢世代割合の増加が同時に
起きることを人口ボーナスと呼び、この状態になった国は必ずと言っていいほど経済成長をしてきた。)

また、平均余命の長寿化も進んでいる。
65歳の場合、1960年時点では男性が11.6歳、女性が14.1歳であったわけだが、
2010年時点では男性が18.7歳、女性が23.8歳と伸びている。
今後も若干の伸びが予想されている。

長寿化は喜ばしいことであるが、それに合わせて労働政策及び社会保障政策を変化させる必要がある。
なお、世帯数は増加傾向であり、一世帯あたりの人員は減っていく。
大家族が減り、単身も増えていくということだ。
こういったことも理解しながら、政策を作る必要がある。


(2)少子化の構造とメカニズム等

主要国で出生率が高いのは、順番にフランス・イギリス・スウェーデン・アメリカとなる。
いずれも、出生率は1.8を超えている。
一方、低いのは日本・ドイツ・シンガポール・韓国となる。
いずれも1.45以下であり、この中で最低の韓国は1.24である。
出生率の高い国は、女性が20~34歳の間の出生率が高く、低い国は逆の傾向がある。

少子化の3要素であるが、1つは「親となる年齢層の縮小」である。
これは過去のことなので改善しようがないが、親となる年齢層の縮小は長期に渡っており、
今後、数十年間において少子化と人口減少を避けるのは不可能である。

2つ目は「結婚割合の縮小」で3つ目は「結婚した夫婦の子供数の減少」であり、これは改善可能である。
結婚割合に関してだが、生涯未婚率が男女とも上昇傾向が続いている。
2010年において、男性は20%、女性は10%くらいであるが、今後も上昇が見込まれ、
少子化の要因になっている。

夫婦の子供数であるが、初婚年齢が上昇を続けており、2010年において、男女とも約30歳である。
これまた今後も上昇が見込まれ、少子化の要因になっている。

しかし、結婚を希望する男女は多く、また2人以上の子供を望む夫婦も多い。
それにも関わらず、未婚である場合も、希望する子供数を持てない場合も、「経済的理由」が大きい。

未婚は低賃金・不安定な傾向がある非正規雇用に多く、
出産を躊躇させるのも子育てや教育にお金がかかり過ぎる面が大きい。
その現実があるのに日本は政策的にも子育てと教育予算が少なく、改善が望まれる。

なお、出生率は地域差もあり、2014年では沖縄県が1.86で1位、東京都が1.15で最下位である。
市町村で出生率が2.0を超えているのは30自治体近くある。
高い地域における理由であるが、保育所の充足・祖父母の協力・結婚を重視する風土などが考えられる。

その他の少子化の理由であるが、男性の長時間労働もある。
それゆえ、男性の家事・育児時間が、出生率が高い国と比べると短くなっており、
女性の子育てには厳しい環境だ。
長時間労働を是正する働き方改革は急務である。また、女性も勤務の自由度が高い労働環境になれば、
子育てをし易くなる。

以上のように、少子化の理由と対策はあるが、単に「産めよ増やせよ」という目的になってはならず、
政策目的としては第1に「福祉の向上」とすべきである。
そして、まず日本人はどのように生きたいのかということも考えてみてはどうだろうか。
少子化という現象は、生き方による選択の結果でもあるからだ。


<少子化という論点への所見>

講演では1人親家庭の貧困が多いことは触れられていなかったが、
養育費の不払いなど貧困になる原因への対策も必要だと思う。



2 医療・介護政策の大局的な方向性と基礎自治体の役割

日本の医療は海外と比べると、かなり病床数が多く、在院日数が長くなっている。
医師数は若干少ないが、看護士数は平均的である。
このことから、入院人数と入院長期化が医療関係者の多忙と、医療費の増大を作り出している。

また、患者にとっても、本当の気持ちとしては、病院より自宅での療養を希望している。
しかし、現状としては、訪問診療を行っている医療機関の数も十分ではなく、
在宅医療への対応は不十分である。

今後の国の方針としては、病院は救急医療など急性期の患者を対象とし、
慢性期の患者は在宅医療と在宅介護ですることになっている。
そして、在宅の医療と介護は市町村の役割となる。
病院医療が中心だった時代は、医療は都道府県が中心という印象があったが、
これからは市町村が中心的な役割を担うようになる。

在宅に向けて市町村が行わなくてはならない事業は
「切れ目のない在宅医療と在宅介護の提供体制の構築推進」
「在宅医療・介護連携に関する関係市区町村の連携」など8つが国から示されており、
市町村は現在対応中である。

事業は医師会等に委託してもよく、行政と医師会との協働が重要となる。
地域で在宅の高齢者個人に対して医療・介護・健康維持・生活支援が一体的に提供される
「地域包括ケア制度」の実現のために、地域包括支援センター等が主催し、
自治体職員・医療従事者・介護従事者・その他関係者を集めて、課題の明確化と政策策定のために行う
「地域ケア会議」を開催する必要がある。
これは、開催に積極的な地域とそうでない地域があるので、地元ではやっているか確認した方がよい。


また、市町村が行う地域支援事業として、「認知症対策」と「生活支援サービス」を充実させることは
必ず行わなくてはならないと国の制度で決まっている。

介護予防・健康維持が進んでいる自治体では、埼玉県和光市があり、要介護認定率は高齢化に伴い
上昇するのが普通であるが、和光市においては、逆に下がっている。

この和光モデルを参考にした大分県は、県内各自治体に普及させ、要介護認定率を下げるのに成功した。
この和光モデルと大分モデルは大いに参考にすべきだ。

なお、オランダの介護制度も日本とほぼ同じで、在宅と地域での支えあいという方向に転換している。
地域での支えあいということは、地域の様々な構成員、町内会・商店主・農家・スポーツ団体・学校
なども関わっていくことになるので、これからの介護保険体制を作っていくことは
一種の「まちづくり」とも言えよう。


<在宅・介護予防という論点への所見>

和光モデルと大分モデルについて、講義では具体的な説明はなかった。
この点については、館山市行政と議会は研究をすべきだと強く感じた。

(以上、報告担当 石井敏宏







【講演3】「人口減少化のまちづくりと地方議会」   
   講師 日本経済新聞社編集局編集委員兼論説委員 谷 隆徳 氏
      日本自治学会理事 

  「人口減少化のまちづくりと地方議会」というテーマで、日本経済新聞社編集局編集委員兼論説委員、
   日本自治学会理事である、谷隆徳氏による講演を聴講した。

 報告担当 榎本祐三 議長
   以下に講演の内容を報告する。


NHKの日曜討論でも出演されている日本経済新聞の谷隆徳氏の講演を拝聴できたことは
とても光栄であった。
谷氏は、我が国の人口減少問題に取り組む安倍政権の政策「地方創生」の取り組みとその成果を
分析するとともに、地方が真に抱える危機を提示して、それに対応する自治体の取り組み例を紹介し、
最後に地方議会に望むことを提案された。

地方創生は我が国の人口減少問題に対応する政策であり、
このまま何もしなければ2060年には我が国の人口は、8800万人になると予測されていることから、
人口1億人程度の維持を目標に掲げられたものである。


2014年末に国は次の3つの基本目標を示した。

 ①地方への新しい人の流れをつくる。
  (2020年には東京圏の社会増をゼロにする。)
 ②地方に安定した雇用をつくる。
  (5年間で若年雇用を30万人創出する。)
 ③若い世代の結婚、出産の希望をかなえる。
  (希望出産率を1.8にする。)

この目標に基づいて政府が打ち出した主な対策は、以下のとおりである。

 ・東京圏にある企業の本社機能の地方移転(税財政面で支援)
 ・政府機関の地方移転(文化庁などの移転
 ・日本版RCC(高齢者の地方移住の推進)
 ・地方大学の魅力向上(奨学金の減免制度の創設)

一方全国の自治体にも「地方版・総合戦略」の策定を求め、
各自治体はそれぞれの総合戦略を立てて取り組むこととなった。

有名になった地方創生のトップ3は、島根県海士町、徳島県神山町、岡山県真庭市があげられるが、
それぞれの自治体が生き残りをかけてユニークな取り組みをはじめることとなった。

このような地方創生の目標は達成されつつあるのか評価すると、必ずしも十分ではない。
地方に仕事を作るでは、目標の5年間で30万人については、2年間で9万8千人。
若い世代の結婚・出産の希望をかなえる希望出産率の目標1.8は1.46。

地方に人の流れをつくるでは、2015年の実績は、
東京に12万人の転入超過(前年度比1万人増)が発生しており、厳しい状況にある。
このような状況から、政府は東京での大学の新増設の抑制を検討しているが、
成果が上がるのか疑問でもある。

2015年の東京圏への転出超過が多かったベスト3は、
札幌市(3448人)、仙台市(3273人)、大阪市(3160人)で、
以下名古屋、福岡、神戸、新潟、広島と地方の拠点都市(県庁所在地)が上位20市で、
12万人の4分の1を占めている。

つまり、各拠点都市の雇用吸収力が高まらなければ、一極集中は止まらない。
人口減少社会が本格的に到来すれば、東京一極集中の傾向でもわかるとおり、
県庁所在地に次ぐ第2、第3の地方都市の空洞化が深刻な問題となる。

日本には、人口20万人以上の都市が109市あり、10万人以上の都市も261市あるが、
このままでは生活機能が維持困難な地方都市も出てくる。

いわゆる2025年問題として、運転できない高齢者の急増、高齢者の孤立、買い物難民の増加は、
幹線沿いの大型店の経営にも影響してくる。
また、公共施設やインフラも老朽化し、更新の時期になるがすべてに対応することはできない。

このような人口減少社会の到来による種々の問題を考えると、
地方が抱える真の危機とは、街づくり政策が不在であるということであり、
今後の都市戦略のカギは人口密度の維持にあることを提言しておきたい。


国土交通省が打ち出した立地適正化計画では、市街化区域(用途地域)内に「居住誘導区域」、
居住誘導区域内に「都市機能誘導区域」を設定して公共交通網の維持と併せて街のコンパクト化を
目指すという、居住区域の重点化を重視しており、いわゆるコンパクトシティの取り組みが重要となる。

以下、その取り組みの実例を紹介する。

●実例その1 青森県弘前市(人口17万6千人)
居住誘導区域を市街化区域の7割に限定(駅から800メートル、バス停から300メートル)して
融雪施設を優先的に整備する。

市の人口は20年間で2割減ると予測しているが、市街化区域内の人口密度は維持する。
特に都市機能誘導区域は、細かく設定しているが、再開発をせず既存の建物・施設の再生させている。

●実例その2 岐阜市(人口40万人)
居住誘導区域を市街化区域の6割弱に、バスの幹線沿いに住宅を誘導する。
バス路線を幹線系と支線系に整理し、幹線にはBRT(高速輸送システム)を導入する。

また、地域住民の協議会でルート、ダイヤ、運賃を決定する等、地域交通網の再編を図っている。
公共交通の利用が高い大都市の人より、車社会となっている地方都市の人の方が歩かない。
1日歩く量が増えれば医療費の抑制に効果がある。

●実例その3 埼玉県毛呂山町(人口3万5千人)
人口の4割が市街化調整区域に居住している現状を改善し、
郊外開発を抑制して居住区域を市街化区域の9割にする。

20年後の目標を
・人口密度65人(1㌶当たり)を維持、
・空き家率を現状の19.8%から15%に改善、
・公示地価を10%以上上昇させる。としており、
具体的な数値目標を掲げて取り組んでいる。
居住区域の設定は、投資を呼び込む地域を限定することで、地価の上昇を狙ったものである。


これらの事例は、あくまでもその自治体の現状を分析した結果の取り組みであり、
それぞれの自治体の条件によって異なるものとなるが、
街のコンパクト化の成功条件としては、次のようなことが挙げられる。
 ①住居、店舗、病院、学校等を一定の区域内に誘導する。
 ②既存建物のリノベーション
 ③住民参加で公共交通の利用促進
 ④郊外開発抑制への首長の指導力

地方都市は今、存亡の岐路にいるのではないか。
人口減少時代になっても街に賑わいを生み出せるのか、ただ疲れていくのか。
正に自治体の真価が問われている。


地方が抱える危機のもう一つの大きな問題は、国土の荒廃にある。
それは「空き家」と「迷子の土地」が急増していることである。
空き家は現在全国で820万戸あり、
野村総研の試算では20年後には3戸に1戸が空き家になると言われている。

また、「迷子の土地」(所有者不明の土地)については、土地に対する価値観の変化により
相続放棄が急増したもので、原因は無責任な住宅建設にあるといってよい。
今日の日本の場合、住宅の再建築率(住宅を壊して同じ場所に建築する割合)は9.1%と低い。

核家族化が進んだことにより、多くの住宅が建設され、その結果今日では多くの空き家を生み、
土地管理を杜撰なものとした。
自治体には人口減少時代に適合した都市計画が必要である。


地方議員の皆さんにお願いしたいこと。
 ①郊外開発が雇用を増やし、税収を増やすという、経済の右肩上がりの夢を捨てること。
  地方の消費市場は、飽和状態である。
 ②安易な農地転用を認めない。将来に責任ある判断を
 ③迷子の土地に歯止めを、手遅れになる前に「利用権」の設定を


(所見)

人口減少化のまちづくりをどのようにするのか。
専門的な見地から説得力のある講演を拝聴でき有意義であった。

館山市も地方創生の地方版・総合戦略を立て、取り組んでいるところであるが、
重要なことは講師が最後に言われた「経済の右肩上がりの時代の夢を捨てる。」ことであろう。

つまり、少子高齢化、人口減少といった将来像を明確に認識し、地域の環境や特徴を生かした上で、
それらを見据えた政策の実現が必要であると実感した。

特にこれからの自治体運営は、行政機関が実施する公助の部分だけでは限界にきており、
自助、共助の部分の充実が求められている。
そのことをまずもって市民に認識してもらうことが必要ではないだろうか。

館山市においては、市民共働条例の策定に取り組むが、自助、共助、公助のバランスを考え、
市民に協力を求めることに関しては、明確に示すべきであろう。

また、今回の講演で紹介のあった島根県の海士町、徳島県の神山町、
そして岡山県の真庭市の取り組み等については、インターネットを通じて研究し、
今後の議員活動に生かしたい。

(以上、報告担当 榎本祐三







【講演4】「人口減少社会を希望に ~グローバル化の先のローカル化~」
   講師 京都大学こころの未来研究センター教授 広井良典 氏

  「人口減少社会を希望に~グローバル化の先のローカル化~」というテーマで、
   京都大学こころの未来研究センター教授である、広井良典氏による講演を聴講した。

 
報告担当 森 正一 議員
   以下に講演の内容を報告する。 


《総 論》

はじめに:人口減少時代の社会構想 -真の「豊かさ」に向けて-
現在は人口減少社会で大変であるという悲観的な話が多いが、様々なプラスの可能性も秘めており、
そこをいかに発展させていくかが大事である。


副題に「グローバル化の先のローカル化」とあるように、しきりにグローバリゼーション
(グローバル化)と言われて来たが、経済構造の変化から見ると、むしろこれからは
ローカライゼーション(ローカル化)が進んでいく時代である。

イギリスの経済誌「エコノミスト」の2010年11月号でジャパンシンドロームに関しての日本特集が組まれ、
その中で「日本が直面している課題の本質にあるのは高齢化と人口減少である。
しかし、日本はそのテーマに世界の先頭に立って直面しており、世界もこれから同じような問題に直面する。
したがって、この問題に日本がどのように対応するか、日本にとってのみならず世界にとって意味がある。」
と書かれている。

経済誌と言うことで、高齢化と人口減少をネガティブなものとしてとらえているが、
プラスの面も宿っている。
明治維新以降から現在に至るまで、驚異的な人口増加を経験し、物資的な豊かさを追い求めてきた中で
相当な無理を重ねてきており、失ってきたものも多い。
この人口の増加は2011年から一貫した減少に転じ、現在はジェットコースターの縁に立っている状況であり、
今は新しい発想に立って、本当の意味での豊かさ・幸福へ向かう出発点である。


以下に人口減少社会を希望に導くための、いくつかのキーポイントを示す。

 ①現代は「ポジティブな価値」の発見・創造の時代である。
  ・近年の諸科学・諸分野の傾向
   健康生成論(アントノフスキー)、ポジティブ・ウェルフェア、幸福研究、 
   地域再生(「ないものねだり」→「あるものさがし」)
  ・「拡大・成長」から「成熟・定常化」へという時代の構造変化に伴う、
   物質的富の量的拡大に代わる、新たな価値の発見・創造の時代にシフト

 ②若い世代のローカル志向 ~「グローバル化の先のローカル化」
  ・最近の学生の傾向
   (例)“静岡を世界一住みやすい町にしたい”、“地元新潟の農業を再生させたい”、
   “愛郷心を卒論のテーマにする”、“海外留学していた学生が地元や地域にUターン、Iターン”など。
    ※ローカル志向は時代の流れであり、これを“内向き”と批判するのは的外れ。
    むしろこれを支援する政策が必要。⇒“ローカル人材”の重要性
  ・リクルートの調査によると・・・
   大学進学者のうち49%が「地元に残りたい」と考えて志望校を選定。
   4年前より10ポイント増加。
  ・内閣府の調査(2007年)によると・・・
   「今住む地域に永住したい」と答えた若者(18~24歳)が43.5%と、
    98年調査より10ポイント増加。

 ③地方(東京・大阪府以外)への移住者の増
  近年着実な増加傾向にある。
  2009年度2822人→2013年度8169人→2014年度11735人と、
  5年間で4.2倍の増加(毎日新聞・明治大学ガバナンス研究室による調査)。

 ④首都圏の急速な高齢化
  2010年→2040年で388万人の高齢者増加
   ・東京都 :268万人→412万人 144万人の増
   ・神奈川県:183万人→292万人 109万人の増
   ・埼玉県 :147万人→220万人  73万人の増
   ・千葉県 :134万人→196万人  62万人の増 合計 388万人増

   ※ 参考  :2010年の滋賀県の人口141万人、岩手県133万人、山梨県86万人なので、
         1つの県の人口と同規模の高齢者数が増加
        (国立社会保障・人口問題研究所2013年3月推計による)

 ⑤地域再生・活性化に関する全国自治体アンケート調査(2010年実施)結果からわかること
   ・直面している政策課題で特に優先度が高いもの
     1位 少子化・高齢化の進行(約73%)
     2位 人口減少・高齢化の進行(約53%)
     3位 中心市街地の衰退(約29%)など

   ・地域によって異なる課題(人口規模別)
     1. 小規模市町村では「人口減少・若者の流出」
     2. 中規模都市では「中心市街地の衰退」
     3. 大都市圏では「コミュニティの繋がりの希薄化や孤独」、
       「格差・失業や低所得者等の生活保障」が問題点になっている。

   これらのことを総合的に捉えた政策立案が重要である。



《各 論》

1.コミュニティとまちづくり

  現在の日本の状況
   ・先進国における社会的孤立の状況
     他のOECD加盟国と比較して、家族を超えた繋がりは日本が最も低い。
     日本は社気的孤立の状況が最も高く、個人がばらばらで孤立した状況にある。
   ・高齢者単身世帯割合と介護の軽度人定率の相関
     高齢者単身世帯割合画の高い都道府県ほど、
     介護の軽度認定割合が高くなる傾向が顕著に現れている。
   ・(地域との繋がりが強い「子ども+高齢者人口」の合計)の増加
     地域の人口全体に占める地域密着人口=「子ども+高齢者人口の合計」が、
     子どもの人数が減少しているにもかかわらず急増しており、
     このことは高齢者人口の爆発的な増加を示している。
   ・1人暮らし高齢者の急増
     1995年から2010年までの15年間で男性が46万人→139万人(約3倍)に、
     女性が174万人→341万人(約2倍)に増加。高齢者の孤独・孤立が問題になっている。
   ・戦後の日本人にとっての「居場所」
     農村から都市への人口大移動により、会社と家族が“居場所”の中心に、
     特に男性にとっては会社が居場所の中心であったが、
     団塊の世代の退職や急速な高齢化の進展の中で、新たな“居場所”づくりが課題であり、
     “居場所”を意識したまちづくりが重要となってきている。
 

  これからどうすればよいのか?

  これらの課題を解決するためには、「福祉政策」と「まちづくり・都市政策」をつなぐ事が重要。
  ・ヨーロッパなどの街では、高齢者がごく自然にカフェや市場などで
   ゆっくりとすごせる環境ができている。
  ・高齢者がゆったりと過ごせる場所が街のあちこちにあることは、
   ある意味で福祉施設や医療施設をつくること以上に重要な意味を持つ。
  ・これらのことから、まちづくりと「福祉政策」と「まちづくり・都市政策」を
   つなぐ事が重要である。
 
 【これからのまちづくりの視点と課題】

  ・高度経済成長の中で、日本の都市はアメリカの都市をモデルとして、
   圧倒的に「自動車中心」につくられてきた。
  ・“歩いて楽しめる街”というものが、高齢化とは無関係に「都市のあり方」として、
   今後、実現されていくべきである。
  ・日本の場合、高齢化への対応が社会全体の課題として認識される中、高齢化をチャンスとして
   “コミュニティ空間という視点を重視した、歩行者中心の街”を実現すべきである。
 

2.若者支援とこれからの社会保障

  ○社会保障をめぐる新たな課題 1:「人生前半の社会保障」
   ・社会保障給付費は2014年度で112.1兆円となり、その後も着実に増加しているが、
    社会保障全体のうち、高齢者関係給付が68.7%(2009年)を占め、
    これに対し家族(こども)関係給付はわずか3.3%。
   ・所得格差が世代を通じて累積し、個人が生まれた時点で「共通のスタートライン」に立てる 
    という状況が脆弱化している(貧困の連鎖)。
    20代の生活保障や所得水準は、結婚ひいては出生率に大きな影響を与える
    (年収300万円が分岐点)。


  ⇒「人生前半の社会保障の強化」と「年金を含む世代間配分」の見直しが必要
   ・高等教育と就学前教育の私費負担割合をヨーロッパ諸国なみに!
   ・若者(単身を含む)への公的住宅支援
   ・地域おこし協力隊を1万人規模に → 地方に移住する若者支援
   財源としては、相続税、資産課税の強化、年金の報酬比例部分への課税強化等を検討すべき。

  ○社会保障をめぐる新たな課題 2:「ストックに関する社会保障」
   ・社会保障に関する議論の多くは「フロー(所得)」面に関するものであるが、
    実際にはフローの格差より「ストック(貯蓄、住宅、土地等)」の格差が大。
   ・住宅等のストックは生活のもっとも大きな基盤であると同時に、
   「機会の平等」の基礎条件であり、「フロー」の拡大が収束する熟成・定常経済の時代では、
   「ストックの分配や所有」のあり方が大きな課題に。

  ⇒「これからの社会保障の基本的方向」→全体として「予防的社会保障へ」
   ①事後から事前へ
     →人生前半の社会保障の充実
   ②フローからストックへ
     →ストックに関する社会保障の充実
   ③サービスないし「ケア」の重視
     →心理社会的「ケア」に関する社会保障
   ④都市政策・まちづくり・環境政策の統合
  ⇒ 資本主義システムの最も根幹に遡った社会化、
    あるいはコミュニティそのものに遡った社会保障・福祉への転換が重要


3.「ローカライゼーション」と「コミュニティ経済」

  ・インターネットの普及はすでに熟成規になり、今後は消費構造がローカル化へと進んでいく。
    →コミュニティや自然、スピリチュアリティ等への志向
  ・「コミュニティ経済」という視点の重要性
    →ヒト、モノ、カネが地域内で循環するような経済
    →「生産のコミュニティ」と「生活のコミュニティ」の再融合
    →経済が本来もっていた「コミュニティ的(相互扶助的)」性格
    →労働生産性から環境効率性へ(資源を節約し、人を積極的に使う経済へ)

 ○「コミュニティ経済」の例

  1)“コミュニティ商店街(福祉商店街)”
    商店街をケア住宅、子育て世代・若者向け住宅等と結び付けつつ、
    世代間交流やコミュニティの拠点に。
   「買い物難民」の減少や若者の雇用などにも繋げる。
  2)農業と結びついたコミュニティ経済
   「農業・環境」と「福祉・健康」をつなぎ、都市と農村の関係性を再構築。
  3)自然エネルギーの拠点化の推進 → コミュニティ経済の発展に
  4)伝統・地場産業や「職人」的仕事と結びついたコミュニティ経済は、
   「クリエイティブ産業」としても意義があり、若い世代にも関心が大きい。
  5)福祉・ケア関連のコミュニティ経済(首都圏の介護難民の受け皿)など。


4.おわりに:グローバル定常型社会の展望

  ①“Global Aging”-高齢化の地球的進行-
    2030年までに世界で増加する高齢者(60歳以上)の地域別割合は、
    日本を含むOECD加盟国が14%であるのに対し、中国が29%、他のアジア諸国が29%、
    他の発展途上国が28%と、アジアの高齢化が圧倒的である。

  ②日本・アジアと世界の人口動向
   ・日本の人口は2005年より減少に転じ、 
    ヨーロッパも基本的には同様の方向(ドイツは2003年より人口減少)。
   ・中国の人口は2025年頃、13.9億人でピークになる(国連 世界人口推計2010年版)。
   ・東アジア全体では2035年頃、21.3億人でピークになる(国連 世界人口推計2004年版)。
   ・世界の人口は徐々に増加が穏やかになり、
    2100年には約110億人で安定する(国連長期人口推計)。
 
  ③21世紀後半における「グローバル定常型社会」の可能性
   ・21世紀後半に向けて、世界は高齢化が高度に進み、人口や資源消費が定常化するような
    定常点に向かいつつあり、またそうならなければ持続可能ではない。
   ・日本は、「環境親和型社会としての人口定常・高齢化社会」の実現に向けて、
    フロントランナーとしての役割を担っている。

  ④人口減少社会を希望に
   ・日本は高齢化・人口減少社会のフロントランナー。
   ・日本はもともと分権的であり、地域の多様性に富む社会。
   ・「拡大・成長」の時代は集権化や都市への人口集中が進んでいったが、人口減少社会への移行は、
    各々の地域に根差した真の豊かさを実現して行く大きな入り口でありチャンス。
   ・日本は「豊かな定常型社会」のあり方を先導的に実現し発信していくポジションにある。
 

(所見)

急速な高齢化と人口減少が進展する中、私たちはこのことをネガティブなものとしてとらえがちであるが、
経済構造の変化から見ると、むしろこれからはローカライゼーション(ローカル化)が進んでいく時代であり、
プラスの要素も多く含まれている。

事実、若い世代のローカル志向が顕著に見られ、また、東京・大阪府から地方への移住者は、
2009年から2014年までの5年間で4.2倍増加しており、近年着実な増加傾向にある。
さらに、首都圏では、2010年から2040年で388万人の高齢者の急速な増加が見込まれており、
確実に多くの介護難民が発生する。

館山市においては全国平均を上回る高齢化、人口減少や少子化が進んでおり、
今後、ローカル志向を持つ若者たちや大都市圏からの移住の促進、
さらには、介護難民の受け入れなどを通じて、人口減少の速度を鈍化させるとともに、
地域活性化に繋がるような施策の展開が必要である。

講師の言われるように、これからの「都市のあり方」としては、「自動車中心」ではなく、
「福祉政策」と「まちづくり・都市政策」を繋いだ“コミュニティ空間を重視した、
歩行者中心の街”の実現を目指していくべきだと実感した。

(以上、報告担当 森 正一









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