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会派 新しい風の会


 館山市議会議員

 室 厚美


会派活動  archives 


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ふるさと納税 全国サミット 
2015-09-15
第二回 首長シンポジウム参加
2015-11-11
都市・農村共生社会創造
2015-11-18
自治体経営の課題
2016-01-24
市町村議会議員特別セミナー
2016-02-03
 (平成27年度)
荒川区視察
2016-04-20
市町村議会議員特別セミナー
2016-05-20(平成28年度)
 
あらかわリサイクルセンター視察
2016-12-03
 
第43回 千葉県自治体学校
2017-02-13
 
草津町役場視察
2017-02-20
 





 
会派視察報告
新しい風の会 会派代表 室 厚美 

2017-02-20 up


報告:館山市議会議員  むろ あつみ




「会派視察報告書」

日時 :平成29年2月10日~11日 
視察先:草津町役場 


□今回視察の目的と経緯
□首都圏から草津温泉へのアクセス
□草津町役場視察
□JR関東バス ヒアリング
□所感


0.今回視察の目的と経緯

「地域公共交通の問題」については、
館山市民の関心が高く、インバウンドの観点から観光業界でも二次交通の整備が急務とされている。

西岬地区をモデルとして今後の公共交通を考えるため、
これまで市民、観光協会、事業者(JRバス関東)、市、国と地道に話し合いを進めてきたが、
その中でJRバス関東から、行政と協力し合っている事例として市内100円巡回バスを運行している
草津町の紹介があった。

館山市と同じ観光地として、福祉・観光両面で活用されている100円巡回バスと、
あわせて公営観光事業についても話を聞きたいと草津町視察を決めた。

なお、JRバス関東からも草津町の事業について説明したいと提案を頂き、
視察にはJRバス関東本社と現地支店長も同席され、さらに単独でも話を聞く時間を頂いた。

   草津町役場(群馬県吾妻郡)


1.首都圏から草津温泉へのアクセス
  公共交通で首都圏から草津温泉へ行くのは主に以下3ルートがある。
   ① 新幹線利用:東京⇒軽井沢(新幹線)⇒草津(バス):2.5~3時間、7500~10,000円程度
   ② 特急利用:上野⇒長野原草津口(特急)⇒草津(バス):3~3.5時間、3500~6000円程度
   ③ 高速バス:新宿⇒草津:約4時間、3600円程度

  今回の視察ではコストと時間と天候と体力的な観点から②を選択。
  特急くさつ号の終点長野原草津口駅では、草津温泉バスターミナル行きのJRバス(約20分)が
  接続している。
  行きの特急は満席で、バス(高速バスと同じ仕様)は8台運行(全顧客を乗せる)。
  車内では、行きは草津節、帰りは草津民謡が流れる。


2.草津町役場 視察
  (2月10日 13:30~15:00)

  出席者:
  草津町議会 櫻井伸一議長
  議会事務局 佐藤剛局長
  愛町部福祉課(公共交通担当) 沖津則夫課長、佐藤卓哉氏
  企画創造課(草津観光公社担当) 臼田直樹氏
  株式会社草津観光公社 草津運動茶屋公園道の駅美業課 山本明男課長
  (同席)
  JRバス関東株式会社 長野原支店 高宮孝一支店長
  運輸営業部 西津芳則企画課長


  1)草津町について
   
(愛町部福祉課)
 
  ・草津町の人口は7,000人弱だが、観光客や別荘住民などが多いため3万人規模のインフラ整備が必要。
  ・観光は、湯畑を中心とした温泉が宝であり、第3次産業に9割従事している。
   観光入込約数は、平成23年度(269万人)から27年度300万人)まで一貫して増加している。
   「歩み入るものにやすらぎを、去りゆく人にしあわせを」を町民憲章として、
    福祉と観光の両立を目指したまちづくりを展開している。

  2)公共交通への取り組みについて

  ・経緯:
   平成12年の介護保険制度施行に伴う外出支援事業として、11月より町内巡回バスの運行を開始。
   それまで総合健康福祉センター(平成6年度完成)への福祉バス(高齢者限定)を1日2本無料で
   運行していたが、政策転換によりこれを廃止。

   町の収入手段である「観光」と、地域住民への「福祉」の提供という両面を兼ねた運行スタイル。
   現在は、4路線1日30便。
   町制施行100周年、気軽に利用できるよう蘊奥委託先の協力も得て100円の料金設定を実現できた。

  ・巡回バス運行形態は、道路運送法第4条、JRバス関東と運行委託契約を結んでいる。
   平成27年度の収支としては、
   収入合計2,326万円(内訳:売上収入776万円、県補助金190万円、特別交付税1,359万円)、
   支出2,695万円(JRバス関東への運行委託料)で、町の一般税源の負担は実質370万円である(理論値)。

   なお、年間委託料は毎年交渉を行う。
   平成27年度は人件費1,500万円、燃料450万円、修繕費(車検等)240万円、保険35万円、
   その他400万円。

  ・これまでにも経路やダイヤ改正を行ってきたが、必ず草津町地域公共交通会議で協議している。
   あくまで福祉目的であるため(空いていれば観光客も乗せるというスタンス)、
   総合保健福祉センターは必ず通り医療機関や公営住宅付近にもバス停を設置している
   (観光客からは、遠回りしないで欲しい等の声もあるが)。
   バス停変更については市民の声をよく聞く必要があるため、ほとんどが議会からの要望による。

  ・課題の1つが利用客の減少。
   利用者は、地元住民6~7割、観光客3~4割程度。
   平成27年度は77,570人利用で売上・利用者ともに毎年、減少傾向にある。
   
   また、車両は3台あるが、それぞれ17年、14年、6年が経過しており、老朽化が悩みの種である。
   2台はボンネット型で評判も良いが今は入手不可。
   ふるさと納税収入が11億円あるのでこれで新車購入をお願いしているところである(1台約1,500万円)。

  3)公営観光事業について
    (千客万来事業部、企画創造課)

  ・ゴルフ場、スキー場、道の駅、温泉(2か所)の公営観光事業は、草津町の千客万来事業が所管している。
   町が施設を作り、株式会社草津観光公社(以下公社)が指定管理や使用許可等により運営し、
   町は毎年固定(5年間契約)の施設使用料を得る。

  ・この5施設に関する町が負担する建設投資(施設改良・修繕等)と施設使用料収入について、
   過去5年間合計で前者が約14億円、後者が約21億円。
   特にスキー場の管理営業面での投資額が大きい。

  ・この5施設に関する公社の営業利益は平成23~27年には6,400万円~1億円程度で推移。
   千客万来事業は平成28年度3,200万円程度の見込みであり、資産残高は27年度末6億強。
   ただバブル期に借りた町内の他会計からの借金がまだ残っている。

  ・平成12年度にスタートした草津運動茶屋公園道の駅は、年間売上3億円程度。
   レジ客21万人、来客数は約2倍の40万人とみている。
   悩みは駐車場が狭いこと。
   またキャンピングカーが泊まってトイレ電源なども使うなどマナーが悪い。

  4)議長からの補足説明

  ・草津町では、これまで観光客を1つの施設で囲わず
   (旅館で食事からお土産まで全て済むようにしないで他でもお金を使ってもらうように)
   観光協会等の各団体が協力し合って町を盛り上げていった結果、観光客が増えてきている。

  ・町の管理する2つの温泉(大滝乃湯、西の河原露天風呂)は、
   民間ができないことを町でやる、というスタンス。

   平等に使えるべき温泉という資源を「温泉条例」によって町が管理していて、
   一般の家庭には引けず特別に宿泊施設や寮で使えるようにしているため、
   本来、日帰り湯の提供などで民間施設が特別の利益を得るのは良くない
   (だから観光客には宿泊以外は上記2つの公営温泉を使って欲しい)。

   住民用には無料の共同浴場を町が開放しているが、管理は地区住民が行っている。
   実際にはここに観光客も入っているが、マナーの悪い客も多く施錠するなどの対応をしている
   ところもある。

  ・観光客に対してもっと強い姿勢で臨むように、発破をかけている。
   マナーの悪い人が来ると町のイメージも悪くなるので来てもらわなくても良い。
   湯畑近辺のホテルは1泊2食2万円くらいでできるようにしないと、
   全体の価格低下に繋がってしまう。

  ・萩に視察に行った際、歴史に基づく観光やおもてなしが素晴らしかった。
   草津でも、顧客獲得に躍起になるだけでなく、将来に向けて子供たちに歴史観を持ってもらったり
   おもてなしの心を植え付けるなどの取り組みをしていきたいと考えている。

   草津温泉町内巡回バス(バスターミナル)


3.JRバス関東 ヒアリング
  (2月10日 15:00~16:00)

  出席者:
  長野原支店長 高宮氏
  運輸営業部 西津氏

 ・長野原草津口に列車が到着する時間に合わせて草津温泉までの路線バスを走らせているが、
  繁閑の波が大きいのが大きな悩み。
  全利用者を乗せられるようにバスは8台準備している。
  満席だと良いが暇な時期には車両が遊んでしまう。
  また運転士のやり繰りも大変(運転士不足)。
  さらに普通電車の場合は乗客数の情報がないため、バス利用者数を推計するのが難しい
  (特急の場合は指定席の売れ具合で想定しやすいが)。

 ・新宿から草津温泉への高速バスは、伊香保温泉経由で迂回している。
  草津温泉への直通バスを出して欲しいという要望もあるが難しい(顧客の55%が草津で25%が伊香保)。

 ・他に参考となりそうな地域として、那須塩原市がある。
  バス事業者とタクシーと市が話し合って観光客と住民福祉のための
  バスルート、列車、ハブ(結節点)を作っている。
  長野県諏訪湖も視察すると良いかもしれないとのこと。

 ・町内巡回バス(草津温泉町内巡回バス ご案内)
  http://www.town.kusatsu.gunma.jp/www/contents/1226744180105/index.html



【所感】

・補助金なども上手く活用し、町の財政負担370万円で100円の巡回バスを走らせていることを考えると、
 館山市としてもまだまだ知恵を絞ってより使い勝手の良い公共交通を整備していける余地がある
 と感じている。

・ただ、当初の説明で福祉と観光の両面と言いながらも、タクシー業界等事業者の反発を避けるために
「福祉バス」という名目を全面に出さざるを得ず、観光者にとっては安いという点以外は必ずしも快適な足
 とは言えないのではないか(便数が少なく(特に夜間はない)、住民のための迂回ルートとなっている)。

・今回、話の出た萩市、那須塩原市、諏訪市も、今後の視察候補先として調査したい。

・町や商品、あらゆるところにみられる「泉質主義」のロゴや、歴史的背景をふんだんに盛り込んだ町勢要覧、
 町民憲章など、観光への高いこだわりが随所に感じられた。

 小さい町だからこそ関係団体が協力し合いやすいということもあるとは思うが、
 館山市もその宝である「海」を中心とした数ある資源を、もっとこだわって磨いていく必要性を痛感した
(議長から、海があるのは羨ましい、焼津へは日帰りでも海の幸を味わいに行っている、という発言もあった)。

・今回の視察は、草津町と委託契約を結ぶJRバス関東の関係者も同席して頂き、
 より具体的な話を聞くことができた。
 
 また、草津町担当者だけでなく議長も議員としての考え方を率直に話して下さり、
 本音の話も聞くことができて、大変有難い視察となりました。
                                             以上



 館山市議会議員 室 厚美








 
会派視察報告
新しい風の会 会派代表 室 厚美 

2017-02-13 up


報告:館山市議会議員  むろ あつみ




~第43回千葉県自治体学校~

  日時:平成29年2月5日 
  場所:千葉大学 
  主催:千葉県自治体問題研究所 



分科会 「安心・安全な食料を日本の、房総の大地から」


(1)オホーツク地域自治研究所理事長 美土路知之氏

・東京農業大学の生物産業学部がオホーツクキャンパスにあり、美土路氏はその教授でもある。
 オホーツク地域自治研究所は、幅広い市民や研究者が結集し、グループに分けて研究を行っている。

・オホーツク地域は、北海道北東部のオホーツク海沿岸地域。
 面積11万ヘクタール(千葉+東京+神奈川より大きい)、人口29万人(研究所設立時は37万人だった)。
 地域の主要産業は農業、漁業、林業、観光であり、農業自給率は370%に達する(消費する人口が少ない)。

・オホーツク地域での農と食を結ぶ取り組みは、先ず学校給食に地場食材を取り入れることから始まった。
 ここではコーディネーターの役割が大事で、少しずつ地域の子供たちに供給する地場産野菜やコメを
 増やしていった。

・地産地消のためには、地域の農業を食べて支えることが必要。

・輸入食物は特に大量の農薬に含まれるネオニコチノイドの害が非常に危険だと明らかになってきている。
 脳障害と密接にかかわる発達障害、多動、自閉症などへの影響も懸念されているが、
 日本では世界で最も基準が甘い。

・食の安全を確保するためには、良質な国産品や地域の生産物を調達する特別な努力が必要である。
 生産者に対しては、買って食べて支える繋がり作り、生活者に対しては正しい理解と責任ある行動をとるよう
 働きかける。

・地産地消のためには、目先のお金に惑わされず、自分たちの健康を守るという意識を持ち、
 さらに地域経済をまわす観点からも、地域にこだわり質の高い職を供給してくれる生産者を支える必要がある。
 とくに成長期に狂ったものを食べると将来への影響は計り知れないということを知るべきである。

・千葉には多くの可能性がある。
 年間を通じて様々な食料生産が可能である。
 現在の県産自給率28%を強化していくことが課題である。



(2)千葉県農民連

・森田県政の8年間で、農業産出額が全国区2位(H19)から4位(H23)に転落した。
 H26年をみると、農業産出額は4位(4,151億円)だが農業予算は426億円であり、対総予算比が2.6%、
 これは上位5県の平均5.8%の半分以下。

・耕作放棄地も千葉県は全国ワースト3位。



(3)千葉県食文化研究会 雨宮正子氏

・千葉県の学校給食は小中学生39万人、1229校で実施。そのうちセンター方式は649校54.6%。

・会では、千葉県の学校給食に輸入品がどれだけ使われているか調査している(資料)。
 輸入品には多くの農薬が使われており冷凍加工品の添加物も心配されるため、農業県である千葉県での地産地消を
 もっと進めるよう県に働きかけを行っているところである。




所 感

・館山市でも地産地消をもっと進めるための参考になる話を聞きたいと思いセミナーに参加した。
 やはり大切なのは意識改革。
 親も教育関係者も市も、特に子供の時に農薬や添加物を摂ることがどれだけ将来にとって悪影響を
 及ぼすものなのか、という認識をきちんと持ってもらうことが何より大切と痛感した。
 食の大切さに対する意識が低すぎることが問題である。


・学校給食への地産地消が進んでいる先進地では、こうした意識の高さに起因すると思われる。
 そして、多少高くても安心できるもの、地のものを積極的に購入することで生産者を支え、
 長い目でみて医療費削減にもつながるということを今後も訴えていきたい。


・現在、館山市の議員立法として地産地消条例の策定を進めているが、条例も作ることが目的ではなく、
 条例制定を機に意識改革に繋げられれば、と考えている。

 以上



 館山市議会議員 室 厚美








 2016-12-03 up
会派視察報告
新しい風の会 会派代表 室 厚美 


報告:館山市議会議員  むろ あつみ



館山市では、これまで3市1町で検討してきたゴミ処理施設建設計画を
館山市単独での方針に切り替えると市長が発表し、波紋を呼んでいます。

12月議会でも多くの議員がこの問題の議論を予定しています。

一方、ごみ減量化も必要な施策です。
ゴミを資源ととらえ、町内会で集団回収を行い、都内でも資源ごみ回収1位の荒川区の取り組みについて、
調査してきました。




日 時:平成28年11月28日 15:00~16:30

視察先:あらかわリサイクルセンター

出席者:荒川区 環境清掃部 古瀬清美部長、嶋根一正課長、阿部博成課長補佐

目 的:集団回収についてのヒアリング





・荒川区にはごみ焼却施設はない。
 23区の焼却ごみは、共同で中間処理を行い最終処分場に埋め立てられる。

・あらかわリサイクルセンターは、今年10月から稼働。
 それまでは民間事業者の工場4か所で行っていた。

・リサイクルセンターの2階からは資源処理工程が見学でき、体感学習などを通じた普及啓発を行っている。
 資源ごみの回収及び中間処理の運営受託は、
 区内の資源収集運搬のほとんどを行っている荒川区リサイクル事業協同組合(区内事業者45社)に
 中間処理とあらかわリサイクルセンターの運営を委託。

 平成27年度で約2.6億円。
 対象は、古紙、びん・缶、ペットボトル、白色トレイ、古布。
 集団回収による1人当たり回収量(年間約50㎏)は12年連続で23区内1位。
 
 これは、自分たちのことは自分たちでという「地域力」があること、
 回収業者がもともと多いこと、
 焼却場がないこと、
 区長の方針、
 のためと言う。


・町会や一般の団体による資源ごみの「集団回収」は、平成15年から本格的に行っている。
 各町会に説明を行った結果、現在はほぼ全域(120町会中119町会)で行われる。

・区から町会へ、以下のような集団回収の支援を行っている。

 ① 回収量に応じた報償金(6円/㎏)

 ② 回収支援金(基礎額6万円/年+世帯割額@180円/年など)

 多いところは①②で100万円以上になる。
 使途は自由。

 ③ 物品の支給(回収のためのコンテナや軍手など、チラシ・ポスター作成支援など)

・区にとっても集団回収を行うことで、
 分別が徹底されゴミが減量されること、
 資源回収事業の経費も減らすことができること、
 など大きなメリットがある。





【所感】

東京都でも資源ごみの集団回収の先進地である荒川区の仕組みや具体的な状況を詳しく確認できた。
集団回収は行政にも自治会にもメリットがあるため、館山市でも推進できるよう担当課に報告したい。

ポイントとしては

 ① 町内会にとってのメリットをよく知ってもらうこと。
  報償金や支援金の収入があるため、ゴミが資源という意識が高まってきていると感じた。

 ② リサイクル事業者の窓口一本化。
  荒川区では、「荒川区リサイクル事業協同組合」が区と町内会の間の窓口となって機能している。
  事業者がバラバラでは集団回収も難しいと感じる。
            
                                           以上




館山市議会議員 室 厚美










 
2016-05-20 up
出張報告


新しい風の会 会派代表 
室 厚美


平成28年度 市町村議会議員特別セミナー

日時:平成28年5月12日(木)~13日(金)
場所:市町村職員中央研修所(幕張)



講演1.「脱成長社会に向けて」

講師 京都大学名誉教授 京都大学こころの未来研究センター特認教授 佐伯啓思氏

日本に限らず、世界は文明的な大きな転換点にきているが、目の前の問題にとらわれすぎ意識が低すぎる。


1.アベノミクスの評価について

脱デフレ、雇用改善に関して最初の1~2年は一定の成果は出ているが、
このまま続けても効果は長続きしなのではないか。
そもそもインフレ2%という目標自体がおかしい。

アベノミクスは、以下の点で、非常に危険なやり方である。
「第1の矢」は、超金融緩和により物価を上昇させるという考え方に基づいている。

このフリードマンのマネタリズムは、もともとはインフレを抑える考え方から発したもので、
お金の供給量と物価に一定の関係があるという前提であり、
政府は余計な口出しをするなという市場原理主義に基づいている。


一方、「第2の矢」は機動的な財政政策であるが、ケインズ理論がもとになっていて、
景気が悪いときは政府が積極的に介入すべきという考え方。

両者は対立した考え方で、ケインズはマネタリズムを金融バブルになると批判し、
フリードマンは、ケインズ理論を公共投資が増えても民間の投資を食うだけと批判する。

こうした全く違う考え方を同時にやっているので、両方のプラス面が出ればよいが、マイナス面が出れば最悪。
安倍首相はやれることは全てやるといっているが、だからこそこれらがうまくいかなかったときに
次に取れる手段がない。


さらに、「第3の矢」の成長戦略であるが、新しい産業というのは定着するのに最低でも数年はかかる。
さらに怖いのは、ITやAIやロボット等の技術は、開発されればされるほど人間がいらなくなり失業者が増える。

本当に経済活性化につながるのか疑問である。
地方創生も、現状では何も出てきていない。
国がまずビジョン、大きな国土計画を示すべき。地方が成果を出せばお金を出すという無理なことをやっている。

以上のように、アベノミクスは信用できないが、だからといって他に決定的に打つ手があるか。
民進党に任せたらもっと悲惨なことになると懸念される。


2.長期低迷の根本原因

問題はもっと深いところにある。90年代以降20年にも亘る長期低迷の原因は以下3点である。

1)人口減少社会、高齢化社会
将来的にも少子高齢化が予測されると、投資低下など経済の縮小圧力になり、デフレ圧力が強まる。

2)グローバル化
グローバル化が進む当初、先進国は新興国の安い労働力を使えたが、新興国が力をつけてくると、
低い労働力と競争しなければならなくなるため、グローバル化は先進国に不利である。

3)構造改革の問題
94・95年頃から、構造改革一色となったが、発想が根本的に間違っている。
経済は需要と供給のバランスで成り立つが、構造改革の前提としては、供給側に問題があるとしていること。
すなわち「行政規制があって企業が作りたいものを作れない。

公共部門の無駄遣いを民間に移し、能率の悪い日本型経営を是正して労働市場を流動化させる。
阻害されている供給能力を改革すれば、消費者の欲する物が作られる」という考え方。

でも現実は、需要が伸びないことが問題なのではないか。
少子化で市場は縮小し、高齢化で皆お金を貯めこんでいる。
60年代の高度成長と80年代のバブルを経て豊かな社会になり、もうそれほど欲しいものがない。

物を作っても売れない時代になっている。
構造改革をやればやるほどデフレ圧力がかかる状態になっている。

学生をみても、車に関心がない、服はユニクロ、喫茶店に行かず芝生でお茶を飲む、新聞は取らない、本も読まず、
必要なものは全てネットでダウンロードできる。
一日中スマホを見ている。


3.構造改革の根本的な過ち

もう一つ、決定的な間違いがある。

それは、一企業と同じ発想で、経済が効率化すれば成長できると考えているが、
国が効率化を追及すれば大量の失業が出てしまう。

国がやるべき第一は雇用を守ること、長く安定した暮らしができるようにすること。
ではどうして、こういう発想(効率化で成長を目指す)が幅をきかせてきたのか?

高度成長期、ベトナム戦争や大学紛争があり、
学生たちは反権力主義でオーソドックスな考え方を批判するために盛んに議論していた。

米国は市場競争、日本はマルクス主義と新古典派、英国はケインズ派と、様々な考え方もあった。
その後、60年代の冷戦体制で、米国は資本主義と社会主義はイデオロギーの対立ではなく、
社会主義は間違った考え方だとし、資本主義は科学的に立証できる正しい考え方だと主張、
高度な数学を使い、これが教科書になった。

世界中から留学生を集め、博士号を取らせた(日本の学者、官僚も)。
その結果、70年代の終わりから、唯一、市場競争理論のみが残った。そうすると、透明でない、
自由でない日本的経営はおかしい、構造改革が必要だ、ということになる。

資本主義の命題は、一人一人が利益を求めて自由に競争し、合理的に行動する。

それにより市場は最大の効率化を達成し、経済が成長する、というものであるが、
ここには、個人主義、合理主義、自由主義、効率主義、能力主義、成長主義といった
アメリカ的価値観が否応なく含まれている。

こうした価値観からは、家族主義、集団主義、地域主義は排除されてしまう。

一方、日本人の考え方は、成果をあげても、ミスをかばってもらっても「皆さんのおかげ」となる。
日本人の人間観は、人=人間。

すなわち和辻哲郎いわく、人とのつながりの中で人は存在する、
「間人社会」であり、米国流の「個人社会」とは相反するものである。

他人との関係の中で自分の役割が見える、協調してやる、
仕事の範囲を限定しすぎず、ある程度肩代わりできる、能力も区別しない。

日本的経営のポイントは、全体としてパフォーマンスをどう上げるか。
それを長期的に運営し、技術をどう伝達しているか、を大切にする。
一歩間違えば窮屈だが、日本人の組織の作り方である。


4.今後の日本の進むべき道

日本は、高度な経済成長を遂げた後に急激な人口減少社会を経験し、他国に先駆けて進んでいる。

これからは人口減少社会で成長しないということを前提に考えていかなければならない。
成長=幸せ、という社会ではなくなってきている。

成長できる社会では皆が豊かになれるが、ゼロ成長下で競争しては格差が広がるばかりである。
緩やかな形で共生できる社会を作る。

それには「公共」が重要な役割を果たす。
年をとっても楽しめる空間や、病気になれば医療を受けられるという安心して生活できるシステム作り。

それには10~20万人が適正な人口規模だろう。
買い物ができる、映画や劇が見られる、農村で作られたものが直売所で買うことができる、小さな商売がある、
そこそこの雇用がある、皆が顔なじみで情報交換できる、といったゆったり過ごせる居住空間をどう作るか。

公共と民間が力を合わせるしかない。
住民も協力して官民協力の街づくり、都市と農村の循環を考えていく。

国の大きな方針として、ゼロ成長をどう設計するか。
日常の生活が安定するコミュニティを作る。
こういうことが国民のコンセンサスとなればいい。
そして、このような社会の方がかえって地域にお金がまわるようになるのではないか。



講演2.「地方議会から国政を視る」
講師 NHK解説委員室 解説副委員長 島田敏男 氏

地方議員は、世の中の仕組みや政治動向など有権者が求める情報をわかりやすく解説することが可能な立場にあり、
その役割が期待されている。それにより、日本の政治の底上げができるだろう。

といった考えに基づいて、参院選や政党支持率、消費税率引き上げ、安全保障、
等に関する動向をエピソードとグラフで解説された。



講演3.「地方創生と地方議会の役割」
講師 読売新聞東京本社編集局企画委員 青山彰久 氏

地方分権改革に20年関わり、政治と行政、地域の課題、国と地方といったことを専門にしてきたが、
ここ1~2年の「地方創生」には複雑な思いがある。

明治以降の人口増加時代から人口減少に転じたことに政治が真正面から取り組むのは評価できるし、
地方の現場に目を向けたことはよいが、問題なのはその手法である。
これから日本の国土をどうするかという大きな問題を置き去りにしているのではないか。


1.地方議会と地方議員の役割

地方議会の役割について考える手がかりとして、
昨年亡くなった政治学者の松下圭一氏が遺した次の言葉が参考になる。

市町村や県は、国の下部機関ではない。独立した立法権、行政権を持つ組織であり、主権は住民である。
住民の意思の代表機関が首長であり議会である。

そして、地方議会は「市民の広場」である。自治体の立法機関、議事機関であると同時に、
①地域の政治的争点や政策情報を集約して住民に公開する(論点整理)、
②政治家を訓練する場、③首長と行政機関を監視する、
という3つの役割がある。

住民の考え方を映し出す場であり、話し合って結論を見出す、自治体の意思を作っていくものである。
そして地方議員は、地域づくりの専門家であるべきである。
住民の生活感覚を基に、役所文化では生まれない感性や生活の知恵、専門的な技術と技能を備え、
地域全体を政治的に統合する専門家、という役割が期待される。
従って、自分たちの意見ばかり主張してもだめ。


2.地方創生の問題点

「地方創生」について、国が地域に目を向けている今がチャンス、という見方と同時に、
国が決めて地方が従う時代に逆戻りした、という見方がある。

安倍内閣のテーマは、集団的自衛権の行使容認、憲法改正、TPPなどハードランディングのものが多く
一歩間違えると政権がひっくり返るため、国民を慰撫するものとして女性登用、
地方創生が挙げられているのではないか。

国が2060年に1億人という人口ビジョンをつくり、
これと同じ方向性の「地方人口ビジョン」「地方版総合戦略」「数値目標主義」を地方に求め、
強制はしないがやらないとお金が出ないため、大半の自治体は面従腹背の態度を取っている。

地方創生の問題点は、自治体の計画が地方創生交付金の交付と直結している点にある。

これまで自治体でやってきたものに交付金を当てはめられればそれを求め、
あまった金で独自の政策をやるという対応をして、「魂までとられるな」と言いたい。

交付金目当てに、国に顔を向けるだけの内容になっていないか、
計画を随時見直していくことが議会には求められている。


3.人口減少時代の豊かな暮らしを考える

そもそも地域の活性化は経済が全てなのか、という疑問がある。

大企業の工場やチェーン店、大手ショッピングセンターなど東京の資本に過剰に依存した経済ではだめで、
地域の中で金が回る仕組みを作ることが必要である。

工業化・都市化・人口増加がセットになって進んできた時代から、
これからは脱工業化・脱都市化・人口減少時代となる。

その中では、生活の質や美しさ、豊かさが求められ、
人口が増えなくても安心して暮らし続けられる社会の仕組みを考える時代である。

若い世代も農山村に関心を高めており、急増している地域おこし協力隊も、
「自分の役割がはっきり見えるところに行ってみたい」という動機になっている。

農山漁村の価値は、共同体の中に暮らす幸せや自然と折り合って生きる豊かさにあり、
都市と農村は、お互いがお互いを必要としており、両者の連帯が必要である。

真の地方創生とは、山を守り、農地を守り、海をきれいに維持し、国土の成り立ちと伝統を守り、
それを誇りにして地域で生活する人たちを心から尊敬して応援する都市住民を増やしていくこと。

それにより、地方居住のムーブメントを起こし、
出生率向上と多様な価値観をはぐくみ子育て環境を実現していくこと。

最後に、東大の神野直彦氏によると、
「地域の力」(みんなにとっての共同の危機を共同で解決する能力)は、3つの要素からなる。

①共生する力(ともに生きていこうとする人々の力がどれほど強いか)
②参加する力(問題の解決に向け、傍観者とならず参加する人々の力がどれほど強いか)
③帰属する力(自分の住んでいる地域に帰属し住み続けていこうとする人々の力がどれほど強いか)



講演4.「人口減少時代の地域づくり」
講師 弘前大学大学院地域社会研究所 研究科長・教授 北原啓司 氏

副題を「まち育てのススメ」としたのは(「まちづくり」ではなく)、
作って終わりではなくどう育てるかが重要であるため。


1.成長社会から成熟社会へのシフト

成長社会では新しい市街地を作るという量的不足への対応策(たとえば作るための補助金)であったが、
成熟社会では作ったものをどう活用していくかという質的変化への対応策(リフォームの補助金)へ
シフトすべき。

アメリカモデルの「グローバル化」はスピード重視のため均質化、市場化が進むが、
歴史あるヨーロッパモデルで大切なのは「持続可能性」を基礎とした都市作り。

手の届く範囲で身の丈にあう生活観、といったローカル化が進展する。
これは成長時代の公共政策とは異なり、NPOや市民、企業等の連携による市民的公共性という考え方で
コミュニティの智恵を結集させなければならない。


2.成熟時代のマネジメントとは

少子高齢社会では、質が高く多様な生活の場を追求していくことが重要である。
居住の場だけでなく、触れ合い、交流し社会参加できる生活環境づくり、
地域の固有の美しさと歴史を感じさせるまち育てにより、
来ても良いと思われる魅力を作っていかなければならない。


3.コンパクトシティの本質

地方創生では「コンパクトシティ」という言葉が一人歩きしているが、形がコンパクトな都市という意味ではなく、
コンパクトなライフスタイルを実践するというライフスタイルの変化を誘導するものであり、
国土交通省でも「コンパクト&ネットワーク」という言葉を使うようになってきている。

例えば北上市はこれを「あじさい都市」と表現し、
集落夫々の独自の色を深めて大事にしてそれらが繋がって一つの大きな花(市)になるような形でまち全体を
元気にするという構想を掲げている。

成熟社会に本当に必要なのは、次世代に向けた地域の人材を育てる視点である。
自分達の「場所」(家庭、職場に次ぐ第3の場所)を持ちたいと考える人々は誰でもまち育てのプロになり得る。
適切なマネージャーは、苦労をしながら育てることを楽しむ人である。

例えば十和田市現代美術館の誕生を機に市民や商店街、学生が参加するワークショップにより仕掛けを検討し、
「空間」だらけのシャッター街に元気な「場所」が登場し始めている。

最後に、究極のファシリティマネジメントの発想の参考になるのが、
古代ギリシャのアテネ人が新たに市民になる際の誓約によく現れている。

「私たちは、この都市を、私たちが引き継いだ時よりも、損なうことなく、より偉大に、より良く、
そしてより美しくして、次世代に残します」



所感

人口減少時代には、これまでの成長、効率化が当然としてきた発想を根本的に変えなければいけないと
再認識することができた。
巷で言われる表層的な言葉に踊らされること無く、物事の本質をとらえることを肝に銘じ、
今後の真に豊かな生活とは何か、市民のコンセンサスを作っていきたいし、
官民協働で「まち育て」に取り組んでけるよう今後も微力を尽くしたい。

                                              以上
館山市議会議員  むろ あつみ








2016-04-20
視察報告
 
新しい風の会 会派代表 室 厚美


日時:平成28年4月14日
目的:荒川区視察(幸せリーグ及び全国連携に関する調査)

出席者:
荒川区 秘書担当部長 全国連携担当部長 米澤貴幸 氏
荒川区 総合企画部 全国連携担当課長 大森重紀 氏
公益財団法人荒川自治総合研究所 副所長兼事務局長 壇上和寿 氏


内容

1.住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合(通称「幸せリーグ」)について

平成16年に現・西川区長が就任した時、区政が担うべき領域(ドメイン)を考え、
「区政は区民を幸せにするシステムである」と決めた。

幸せという主観的な目的を数値化しGAH(Growth Arakawa Happiness、荒川区民総幸福度)を作成した。
行政評価の指標として活用するために、
基本計画の6つの分野(健・福祉、子育て・教育、産業、環境、文化、安全・安心)に分けて
アンケート調査を行い、課題発見に繋げている。

「幸福」に関心のある自治体からの視察が相次ぎ、同じ問題意識を共有する基礎自治体同士がお互いに
学びあいながら切磋琢磨して行政運営の一層のレベルアップを図ることを目的に、
住民の幸福実感向上を目指す基礎自治体連合(通称「幸せリーグ」)を設立することにした。

3月24日現在、101の自治体が幸せリーグに参加している(手続き中も含む)。

主な活動内容として、年1回の総会開催(首長参加)及び、年数回の実務者会議を行っている。
実務者会議では6つのテーマにグループ分けして議論を行っている。
ちなみに館山市は秘書課職員が「地域間連携の在り方や実践」のグループに積極的に参加しているとのこと。



2.特別区全国連携プロジェクトについて

特別区(東京23区)区長会では、全国各地域との信頼関係・絆を強化し双方が発展していくために連携を深め、
地域活性化に繋げる取り組みとして、「特別区全国連携プロジェクト」を展開している。

具体的には、各区が開催するイベントへの地方の出店や23区の住民向けに
自治体PRパンフレットスタンドの設置、全国連携HPの開設などを行っている。



3.自然体験を通じた子供どもの健全育成研究プロジェクト(中間報告)

荒川区自治総合研究所では、平成27年度に荒川区が実施した自然体験関連事業について、子どもたちの
生きる力や幸福実感に与える影響について調査研究を開始し、その中間報告を受けた。

区立小学校5年生341人を対象に、清里での移動教室(飯盛山登山や牧場体験など2泊3日)の前後で
同一項目の質問を行い、比較した。

その結果、自然体験が自然への関心を抱かせる大きなきっかけになっていること、
自然への感性を磨くことを通じて「生きる力」に関連する様々な能力向上、
さらに子どもの幸福実感の向上にも役立つことが分かった。

自然体験をさらに充実させていくために、全国自治体との地域間交流の充実や連携の強化、
自然観察指導員などの人材育成、様々な工夫を凝らして新たな自然体験の機会を生み出すこと、
などを提言している。



視察所感

特別区長会会長(荒川区長)が主導する幸せリーグ、全国連携の取り組みは、東京と地方が強い信頼関係のもと、
ともに発展・成長しながら共存共栄を図っていくことを目指そうとするものであることがよく分った。

荒川区の担当者も非常に協力的であり、館山市としても、
この仕組みを有効に活用していく方法を考えていくよう、市職員他関係者と協議していきたい。

また、都会の子ども達が自然体験をすることによる効果をデータで分析していることは非常に興味深く、
このデータを館山市の農漁業体験のPR等にも活用していける可能性があるため、広く情報共有に努めたい。


                                                以上
関連ホームページ

幸せリーグについて     http://collabo.tokyo-23city.or.jp/renkei/arakawa_shiawase_2015.html
特別区全国連携プロジェクト http://collabo.tokyo-23city.or.jp/


                                   館山市議会議員 
室 厚美





 出張報告 
2016-02-03
 
新しい風の会 会派代表 室 厚美

平成27年度 第3回 市町村議会議員特別セミナー
~自治体経営の課題~



日時:平成28年1月28日(木)~29日(金)
場所:全国市町村国際文化研修所(滋賀県大津市)




講演1.「これからの地方自治体」
講師 大阪大学大学院法学研究科教授 北村亘氏

(1) 地方分権改革の約20年の遅れ
・ 地方分権改革はある意味ずっと行われてきたが、1993年宮澤内閣で「地方分権の推進に関する決議」が
  衆参両院で可決されたのがスタートラインとされる。
 その後、2000年に地方分権一括法が施行されたことで、国と地方の関係が大きく変わった。

・ 政治的不安定性が高い時に、地方財政や権限に関して宥和的な地方分権改革が行われる傾向にある
 (地方が得する改革。例えば地方交付税や国庫補助負担金の増額等)。
 反対に不安定性が低くなると地方に高圧的な改革が行われる。

・ 政治的不安定性を生み出す要因として、国会の諸制度が挙げられる。
 ①参議院の強さが”ねじれ”によって分かってきた。解散ができないので内閣との信任関係が低くまた、
  60日ルールもあり、内閣によるコントロールができない。
 ②頻繁な国政選挙により、中長期的な政策立案が難しい。
 ③委員会制度のため、衆議院で単純過半数をとるだけでは不十分。
  委員長は採決しないで棚ざらしするという方法で拒否権を持っているといえるため、
  各委員長職を取れる安定多数が必要。
  さらに委員会過半数(絶対安定多数)、2/3(圧倒的多数)ではじめて安定できる。
  従って、頻繁に勝負して大勝し続けなければならない。

・ 例えば1990年代の政権交代の危機という不安定時代には、地方の皆さんの協力が必要ということで、
 機関委任事務制度(国の仕事を財政基盤なしで裁量権なく渡す)が廃止され、
 法定受託事務(国と地方は対等。嫌なら拒否できる)と自治事務へ置き換わった。
 さらに地方税財政改革も先延ばしされた。

・ 2009年~2012年の民主党政権の際には地方分権が1丁目1番地と言われたが、
 具体的なマニュフェストは
 ①国と地方の協議の場の法制化と
 ②国庫補助負担金の廃止と一括交付金化(使い道を自由にする)のみ。
 ③首相のやる気を見てみると、所信表明演説(約1万字)の中で”地方主権”という言葉の比率は
  5.1%(鳩山)→2.9%(管)→0.2%(野田)と明らかに低下した。


(2) 自治体内部の環境変化
・ 自治体では業務量が増大している一方で組織がやせ細っている。
  組織のフラット化が進みスタッフ職が増加し、誰が責任者かわからない状態に。
  職員数も削減され技能継承がうまくいかなくなった。
  2005年からの集中改革プランで定員削減は達成したが様々な問題が出てきている。
  指定管理者制度の導入など行政サービスの外部化が進むが、条件を厳しくつけるので創意工夫の余地がなく
  民間委託の意味がない。
  そのため失敗しても自治体が責任をとらざるを得ず、第三セクターはほとんどが破綻した。
  外部化により行政内部に知識がなくなり監視能力も落ち相手の言い値を飲まざるを得ない。
  外部化した分職員が辞めるわけでもないので経費も減らない。

・ 市町村合併でバックオフィス機能の統合・効率化というメリットはあるが、業務量は増大。
  能力主義の導入といっても行政の仕事は利益率で図れない(だから税金でやっている)し、
  ルーティーンをまじめにこつこつやるという重要な仕事が評価されない恐れもある。

・ 情報技術(ICT)の発展で便利になった面もあるが、情報漏えいのリスクやシステム更新の膨大な費用、
  庁内のコミュニケーションの希薄化等の問題も生じている。

・ 地方から出生率の低い都会へ毎年8万人が流出し、人口減少と高齢化の進展が止まらない。
  都会での急速な高齢化で、これまで地方の大口雇用先であった医療・介護分野でも人材が都会へ
  大量流出する可能性もある。


(3) 今後の行政の役割
・ 地方へ製造業の企業誘致は難しい。サービス業でも都心回帰の可能性がある。
  となると、地域産品の高付加価値化、ブランドの確立を進めざるを得ない。
  地元の人にとってはこれが価値あるのか?というような伝承物語の創出も大切。
  地域のよさを見つけるには「若者、よそ者、馬鹿者」の視点が必要。

・ 行政にしかできないこととして、「行政困難地域」を設定し止血作業をしなければならない。
  海外では自治体の設置されていない地域がある。
  市町村内どこでも同じ質と量の行政サービスを提供することは限界に来ている。
  限界集落(老年人口が過半数を超えた地区)からの世帯移動(土地を買い上げて一時金を渡す)を進め、
  一方で里山機能の維持を同時並行的に行わなければもたない。

・ 2014年の地方自治法の改正で導入された「連携協約」制度を1つのツールとして活用できるだろう。
  国家間条約のような事前取り決めを締結して行政サービスを整備していく。
  都道府県は、専門家集団を雇用し、研究機関による情報提供など市町村のシンクタンク機能を発揮して
  バックアップすべき。また市町村の調整や福祉領域での役割拡大が期待される。
・ 以上の情報を踏まえ、今後議会がどのような役割を果たしていくべきかを考えてほしい。


講演2.「まちの魅力を世界に発信」
講師 ギネスワールドレコーズジャパン株式会社代表取締役社長 小川エリカ 氏

・ ギネス世界記録は、あらゆる”世界一”を集めて、これを伝えることでチャレンジ精神を刺激する。
  誰もが世界一になれる可能性を秘めている。偏見に光を当てる面もあり、日本をもっと世界に伝えたい
  という思いでこの仕事に携わることになった。

・ 「町おこしニッポンプロジェクト」は、ギネス世界記録への挑戦を通じて、
  日本各地の町おこしを応援するプロジェクト。
 「世界一」のお墨付きによる絶大なPR効果、市場価値の創造、モチベーション向上、
  海外展開支援など地域活性化を目指す。

・ たとえ失敗したとしても、挑戦することが大切。
  挑戦する過程で地域の一体感が高まる。
  世界一になった場合、その後どう継続するかが大切。
  物づくり・地域づくりで人が育てば次のプロジェクトも成功しやすくなり、持続する「地域愛」につながる。

・ 世界一記録保持者の特徴は、情熱があり、固い意思、人を巻き込む力、やり抜く持続力がある。
・ 「ギネス世界記録公式認定員は、普及とは別の独立した部署に属する。基準は、
 ①計測可能、②証明可能、③標準化可能、④更新可能、の4点。

  <まちおこしニッポンの事例>
  ○観光客誘致型

   「最大の太陽光発電LEDのディスプレイ」(石川県輪島市):
    白米千枚田(世界遺産)を知ってもらうために挑戦。記録は20461個。来場者数7万人、
    会期を2回も延長する人気イベントに。

   「最大の田んぼアート」(行田市):
    約28000㎡。展望台の入館者が4倍、3時間半待ち。

  ○名産品訴求型
   「最も長いすしの列」(射水市)

  ○地域の絆・団結力型
   「ひとつのいすに座った最多人数」1831人(岐阜県山形市)

  ○伝統型
   「侍の集まり 」1061人(甲府市)
   「神輿展示」  141騎(花巻市)



講演3.「鳥取県の元気づくり」~日本のふるさとを取り戻す~
講師 鳥取県知事 平井伸治 氏

・ 鳥取県は人口規模が一番小さい県であるが、小さいからできることもある。
  コミュニケーションが図りやすく、1人の力の比重が大きくなる。
  志のある人が行動を起せば響きあいやすい。
  秋葉原出身の知事からみて、顔が見えるネットワークがあるのが田舎の良いところ。
  また、少しの金で大きな効果があがるので実験的なことがやりやすい。
  一方、情報発信力が弱いために工夫が必要。

・ 例えば、都会の象徴であるスタバが島根県に進出した際、唯一スタバがない県になったことでTV取材が来た。
  色々なことを話したが、「スタバはないけど日本一のスナバ(鳥取砂丘)はある」という言葉が取り上げられ
  話題になった。
  これを受け県内のチェーン居酒屋の村上水産が「すなば珈琲」を開店し観光名所になっている。
  昨年5月にスタバ進出が決まった際にはPRキャンペーンを仕掛け、
  30万円の経費で34億円の経済効果があがった。
  自虐でありながら良いところをさりげなくPR。
  東京に砂丘はあるか?と自然が豊かなことを売り込んだ。
  お金がないなりに工夫して宣伝(=営業)している。

・ 住民に身近な政治を目指し、「鳥取県民参画基本条例」を制定した。
  県の憲法と言えるもの。住民投票を常設化したり(都道府県で初)、
  情報公開を徹底している(情報が分らなければ批判も提案もできないため)。
  官民協働で地域課題の解決を図る取り組みの例として、
  住民の提案に基づき園舎のない“森の幼稚園”の認証制度を創設した。
  これは移住の呼び水にもなっている。女性参画度も日本一。
  これはトップのリーダーシップが必要である。

・ 議会との関係では、開かれた議会推進のためネットやケーブルTVでの生放送・録画放送等、
  政策立案機能強化のため議会事務局に法務制作室を設置、本会議では一般質問に議員の8割近くが登壇し、
  徹底した議論を行い信頼関係を構築している。

・ 小さい県ならではの実験的な試みとして、
  ①「日本一の鳥取砂丘を守り育てる条例」を制定。
   聖地であることが明確になり観光客も草取りボランティアとして年間2000人参加
  ②手話を言語として認め「鳥取県手話言語条例」を制定
  ③危険ドラッグの全面禁止を条例化
   ・・・等を行い、②③は全国に先駆けた取り組みでその後の薬事法改正等に繋がっている。

・ 少子、高齢化社会で地域外への人口流出への対応が必至。
  鳥取県の19市町村中13町が消滅可能性都市に指定されたがこれをゼロにする目標で取り組んでいる。
  即効性はないが人口減を食い止める効果が数値として出始めている
 (2015年の県人口57.4万人は国の推計値を上回る)。

 「子育て王国とっとり」というキャンペーンでムードを作っているが、具体策が大切と考えている。
  ①子育て世帯呼び込むため保育料軽減(中山間地域市町村保育料無料化モデル事業等)
  ②子ども医療費助成
  ③三世代同居・近居支援
  ④自然を活かした保育「森のようちえん」
   (県外からの問合せ・移住者が増えている。海外からも。)
  ⑤地域で子育てを進めるための「孫育てマイスター」認定制度
  ⑥助成の活躍加速化のため経済団体・労働団体・行政が一丸となって
   「輝く女性活躍加速化とっとり会議」を発足
  ⑦鳥取大学医学部附属病院のシングルマザー看護師募集応援広告を東京に掲示

・ これら施策の結果、
  合計特殊出生率は1.43(平成20年全国17位)から1.60(26年、同8位)まで上昇した。
・ 財政規模が小さい県でもできる取り組みとして、障害者の芸術文化活動の振興を行う。
  障害者の所得を生む手段として人手不足の農業・水産業の加工製造業の共同作業場の設置・運営を支援し、
  普通に売れる製品を作れるようになり事業所の工賃も8年連続で35%ずつ上昇し、
  全国平均を大きく上回るようになっている。
・ 移住定住サポートセンターの設置、空家改修等の市町村への補助支援や、“とっとり暮らし”の情報発信強化、
  受け皿体制の充実等の施策により平成27~31年度までの5年間で移住定住6000人を目標に掲げた。
  移住者は27年度上半期で909人と全国1~2位レベルに急増している。

・ 雇用施策としては、戦略的な企業立地(業種や地域を設定)の促進の他、
  中小企業の経営革新により611人の雇用拡大効果(大型誘致数件分に匹敵)、
  企業創業チャレンジを支援し27社、約130人の雇用創出に繋がっている。

・ 県と市町村の連携協約を締結(全国初)し、
  共同事務処理の推進や情報システム共同化で大幅な経費削減に繋がっている。
・ 以上、ビジョンを持って議論することが政治の責務とであり、
  小さな自治体でも世の中を変える力があると考えている。



講演4.「補助金に頼らないまちづくり」 ~公民連携のオガールプロジェクト~
講師 オガールプラザ株式会社代表取締役 岡崎正信 氏

*岩手県の紫波町(人口約3万人)駅前の開発事業「オガールプロジェクト」は、
 公民連携による地域活性化の見本として全国から注目を集めている。
 役所や図書館などの公共施設と、産直市場やフットボールセンターなどの民間施設を一体的に
 民間(オガールプラザ)が自主資金で開発、運営している。

・ 岡崎氏は大学卒業後、地域振興整備公団(現都市再生機構)で7年間公務員として中心市街地活性化法の
  取りまとめ等行ってきたが、行政主体の再開発ビルはほとんどが失敗。
  稼げない建物を地価の高い土地に建てて税金を垂れ流している。

・ その後、建設会社を継ぐために地元にUターン。
  平成9年に紫波町が県から28.5億円で買った土地が建設費の目処が立たず放置されていて、
 「この土地を何とかしてくれ」と当時の町長から頼まれた。
  町長は、「“活性化して稼ぐ”という公共を民が担い、
 “民の稼ぎが最大化できるように制度を構築していく”公共を官が担う」という
  公民連携で稼ぐという考え方を持っていた。
  町が元気にならないと建設会社も元気にならないと考え引き受けた。

・ この遊休公有地を稼ぐエリアにするため、2007年4月に東洋大学と包括協定を結んだが09年3月の
 「公民連携基本計画」の策定に至る2年間に重要なプロセスがあった。

・ 先ず「公民連携室」を作ることを依頼。産業部、生活部、教育部、建設部、経営支援部の横串となる部署で、
  窓口を一本化すること、人事異動リスクをなくすことが目的。
  2ヵ月後に作られた公民連携室では、今まで一人も室外に人事異動していない。

・ 当初、議会は猛反発した。町民の大切な財産を30代の民間人に任せるとは何事だ、公明正大に選べと。
  町長は、他に代る人がいるならすぐ連れてこい、岡崎建設は1円も儲けないと言って議会を説き伏せた。
  その後、議会はPPP調査特別員会を作った。全てネガティブだったが一つずつ丁寧に懸念を潰していった。
  岩手県フットボールセンターを誘致したことで潮目が変わり、
  政府系金融機関(国交大臣認定)の出資をとりつけたところ、
  ルールブック化する「公民連携基本計画」を作って議決しろということになり全会一致で可決された。
  このように議会と2年間徹底的に対話してきた。生みの苦しみがあるが、
  税収を生む活性化を民間に任せようという土壌ができた。

・ これまでの法定再開発や区画整理は、人口が増えるときに有効な手法であり、
  今では市街地に空地・空床を増やすことになる。
  中心市街地活性化の柱は、商業で賑わい起すことだが、商業で本来やるべきなのは営業。
  地価の高い市街地での”仕入販売業”は、倉庫を使うネットに勝ち目はない。
  唯一対抗できるのは”製造販売業”、すなわち昔ながらの醤油、味噌等を自ら作って販売する方法。

・ 稼ぐエリアの評価指標は、「地価が上がっているかどうか」につきる。
  その手順として大切なのは、消費活動を目的としない訪問者(普遍的集客)を増やす仕掛けを
  最初に作ること。
  その最たるものが公共施設。オガールでは町役場、フットボールセンター、図書館の設置を先に決め、
  そこで商売したい人を募った。
  テナントが先に決まり、各テナントの支払える家賃と必要床面積を決め、その後に設計、
  地元業者2社合同での施行という順に行った(結果、設計込みで坪38万円)。
  従来の行政はこの逆で、先ず容積率から事業計画を決め、
  華美な設計をしてテナントが入るという思い込みで建設、結果空室となってしまう。
 オガールでは先に融資額が決まり、この予算(適正価格)の中で最高のものを作ってもらった。
 また大手資本(ゼネコン)に委ねて資金を流出させないこと。
 地元建設会社で作れないようなものはそもそも要らないという発想。


・ 地方では、ピンホール・マーケティングが有効。例えばバレーボールと野球の人口比は100対800だが、
  みんな野球場を作ろうとするので施設数は3対6000。
  オガールではバレーボール専用体育館(国際標準に合致する床)を民間資金100%で作った。
  バレーの次に使用が多いのは吹奏楽部。
  うるさくて普通の体育館は借りられにくいがオガールは床さえ傷つけなければ
  お金をもらって貸すので喜ばれている。
  本当の公共とは何か?考えさせられる事例である。

・ 「民間」は、制度を守る義務があり、その許される範囲で事業を行う。
  一方「官」は、制度を変える権能がある。
  時代にそった制度を構築し、民間の活動を活発化させる義務がある。
  そして稼いだ税金を福祉や教育に分配する。
  従って、「制度があるからできない」という言い訳を言う公務員はダメ。
・ 経済なきまちづくりは「戯言」
  道徳なきまちづくりは「犯罪」。



所感

・ 岩手県紫波町「オガールプロジェクト」の公民連携の考え方は、
  これまでの行政の発想を大きく覆すものである。
  “稼ぐまちづくり”に向けて参考にすべき考え方をたっぷり聞くことができた。
  そもそも『稼ぐまちが地方を変える』(木下斉著)という本に紹介されていた
  本プロジェクトの話を聞きたくて参加したセミナーであったが、
  公民連携で稼いでまちを豊かにしていく考え方や方策について、館山市内でも広め実践に繋げていきたい。
  非常に有意義なセミナーであった。

・ ギネス世界一による町おこしについても、挑戦できるものがないか検討していきたい。

                                              以上

                               館山市議会議員 
室 厚美







 出張報告
2016-01-24
 
新しい風の会 会派代表 室 厚美

平成27年度 市町村議会議員特別セミナー②
~自治体経営の課題~


日時:平成28年1月18日(月)~19日(火)
場所:市町村職員中央研修所(幕張)



講演1.「これからの政治の行方 ~2016年サミットと参院選の展望~」
講師 読売新聞メディア局編集委員 伊藤俊行 氏

・ 日本の新聞販売部数は世界一の約4000万部だが、10年間で900万部減少、特にこの1年で朝日が60万減、
  読売が50万減と大きく減少している。
  人口減少やタワーマンションの増加、配達員不足に加え、3.11の原発事故報道による新聞不信が
  拍車をかけた。
  最近の新聞が両極化しているのは、既存顧客繋ぎ止めが主な目的である。
  デジタル化に成功している米国NYTimesは紙が110万部に対し100万人のデジタル会員がいる。
  日本では有料デジタル会員が最も多いのが日経で40万人、次いで朝日である。
  デジタルの場合、新聞社でなくYahooなどのキュレーションサイトがニュースの価値を決めるように
  なっており問題と感じている。

(1) 2016年の政治展望
・ 政権与党は参院選と相性が悪い(過去20年で与党が勝ったのは2度)。
  また日本でサミットが行われた時は3回連続で退陣となった。
・ 衆参同一選挙になるという噂もあるが自民党にとってリスクが大きい。
  参院選で負けてもねじれが残るだけであるし自民は37議席獲ればねじれは解消できる。
  一方、衆院選で負けるとダメージが大きい。

(2) 安倍政権の成果と課題
・ サイエンス(正しい政策)よりアート(根回しや駆け引き等の政治技術)に重点が置かれるように
  なってきているようである。
  新人比率の高さ(2期目で落ちる議員が増えた)による国会対策の稚拙さが目立っている。
・ サミットや東京オリンピックを控えテロ対策が欠かせないが、日本では国内法(組織的な犯罪の共謀罪)が
  未整備のため、国際組織犯罪防止条約が締結できていない(日本以外のG8含む186カ国が締結済み)。
・ 票にならない選挙制度改革が先送りされ、小選挙区制と頻繁な国政選挙(1.7年に1度)により
  ポピュリズムに陥っている。
  小選挙区制導入時はマスコミが主張したため、
  今これを改革することにはマスコミも弱腰にならざるを得ない。

(3) 急務の統治機構改革
・ 小選挙区制はゆれが大きすぎる。また政権交代可能な2大政党制のはずだったが、
  実際には多党化を抑えられず1強の状態である。
・ 安倍政権は色々な課題に手をつけたが、
  一番重要なのは民主主義の仕組みを強くすること(=統治機構改革)。
  これができなければ再び“決められない国会”になり1年毎にトップが替わることになる。



講演2.「今後の日本経済の展望」
講師 千葉商科大学学長 島田晴雄 氏

・ アベノミクスは、デフレからの脱却を世界に宣言した。
  20年近くデフレを続けた国は初めてで世界からも注目されている。
  第一の矢(異次元の金融緩和)でデフレマインドをインフレマインドに変えるため
  ベースマネーを2倍にした。
  この結果、海外投資家主導で株価が2.2倍になり円安による輸入インフレが起こった
 (が、その後中国のせいで原油安となりインフレマインドにはなっていない)。
  第二の矢(積極財政)により財政破綻のリスクが高まっている。
  成長さえあればこれらリスクが消えるため、第三の矢(成長戦略)に期待されている。
・ 第二次成長戦略(2014年6月)のうち、効果が出てきているのは企業統治と資本市場の改革である。
  企業が社外取締役を入れる等透明性を上げ利益率も上昇している
 (実は自社株買いの結果だが、それでも意識は変りつつある)。
  農業改革について、日本は技術は高いが規模が小さいため生産性が低い。平成の農地改革として、
  小規模農地を貸して集約し、社会農業(①健康(福祉)農業②教育農業③環境農業④観光農業)をしてはどうか。
・ 参院選を控え、“一億総活躍社会”(子育てしやすい、介護離職をなくす)という皆から好まれる政策になり、
  経済の情熱がなくなったようにみえる。



講演3.「地方創生と地方議会の役割」
講師 毎日新聞論説委員 人羅格 氏

・ 地方議会を取巻く環境は厳しい。
  合計特殊出生率1.4%(沖縄1.8~東京1.1まで)を希望出生率1.8まで上げようというのは難しい。
  増田レポートでも消滅可能性自治体リストが警告されている。
  ここから「地方創生」の取り組みが始まり様々な交付金が出ている。
  2015年度補正予算の1千億円は全額国費だが2016年度当初予算案の新型交付金1千億円は
  半額地方負担となる(事業費規模は2千億円に)。
  人口をどのように維持し活発に活動するか、長期的に議論していく必要がある。
・ 議会の内部改革として注目されるのが岩手県滝沢市議会。住民参加機能を強化している。
・ 議会の役割のうち、首長監視だけでなく政策提言機能を強化すべき。
  政策条例の制定に積極的な議会は、議員の平均年齢が低く女性議員比率が高い傾向がみられる。
・ 議会評価の導入。北海道福島町議会では議員評価を導入し議会白書も作成している。
・ 情報公開と透明性に関しては、事務局が精通して熱心なところが進んでいる。



講演4.「地方議会をどう変えるべきか ~政治の役割」
講師 中央大学経済学部教授 佐々木信夫 氏

・ 2000年改革で機関委任事務制度が廃止され、それまでの自治体は国の仕事が8割だったが
 (他己決定・他己責任・他己負担)、法定受託事務2割になり、固有事務が8割を占めるようになった。
  これにより、地方議会の立ち位置もチェック機関(脇役)から政策立法機関(主役)へと変化している。

・ 地方議会には、
    団体自治の観点からの公共政策の決定者という役割、
    住民自治の観点からの執行権力の監視者、
    政策条例の立案者(提案)、
    民意の意見集約者、
  という役割があり、これらをバランスよく行う必要がある。

・ 政策過程には
  ①課題設定→②政策立案→③政策決定→④政策実施→⑤政策評価の5つの場面がある。
    ①で目標値を設定するのが政治の役割であり、
    ②それを元に行政が方法論の選択肢を示し、
    ③その中から政治が決定し、
    ④行政が政策を実施する。
    ⑤の評価は決算委員会である。



セミナーに参加して

・ ハイレベルの講師陣による講義を受け、政治・経済に関して視野を広げることができた。
  特に、議会の政策立案について今後、力を入れていく必要があると感じた。
・ さらに1日目夜は、全国の市町村議員約120名の交流会に参加し、
  多くの議員と情報交換ができ大変有意義だった。

                               館山市議会議員 
室 厚美







 出張報告
2015-11-18
 新しい風の会 会派代表 室 厚美

都市・農村共生社会創造全国リレーシンポジウム


日時 :平成27年11月7日(金)13:30~16:30
場所 :コンベンションルームAP東京八重洲通り(中央区京橋 1-10-7)
主催 :全国町村会、地域活性化センター
テーマ:田園回帰の時代を迎えて



1.基調講演1『人口減少社会を希望に』千葉大学法政経学部教授 広井良典氏

人口の長期トレンドを見ると、明治維新後、終戦を経て現在に至るまでは非常に急激な人口増加期であり、経済的豊かさの反面かなり無理をして失ってきたものも多かった。
2005年から人口が急減に転じるが、本当の意味での豊かさを考える転換点ともいえる。
全てが東京に向かって流れていたが、これからは違う流れになるだろう。

豊かさの指標として、GDPに代りローカルなレベルで豊かさを考える動きが出てきている。
拡大性長期は時間軸が優位であったが、
今後、空間軸が優位になり各地域のもつ固有の価値や風土的・分家庭多様性への感心が高まる。

若い世代にもローカル志向がみられる。
地域のことを解決したいというローカル人材を支援する政策が必要である。

地域再生、地域経済の活性化のためには、その地域において資金が多く循環していることが重要。
現実的には、
物質循環の観点からは明らかに都市が農村に依存している。
日本はもともと分権的で地域の多様性に富む社会であった。人口減少社会では、地域に根ざした真の豊かさを実現していく大きなチャンスでもある。
 


1.基調講演2『田園回帰と地域づくり』明治大学農学部教授 小田切徳美氏

田園回帰(移住者)の特徴は、
①20~30第が中心で団塊の世代は少ない
②女性割合が上昇している
③職業は多業化もみられる
④地域おこし協力隊などの制度を積極的に利用している
⑤IターンがUターンを刺激している(さらに「孫ターン」という新しい動きも)

農山村移住をめぐり“3大ハードル”があるが(自治体職員の声)、変化しつつある。
①コミュニティ(むら):「いつまでも閉鎖的」
 →地元も学習しつつある。
②住宅:「空家は絶対、流動化しない」
 →住民主導の空家対策に動き
③仕事:「仕事がないから人など来ない」
 →若者の新しい仕事感・多業化(生活の中から仕事を生み出し生活を充実させる)

移住者数は2013年に8,181人、4年間で2.9倍に増えている(最狭義)。
ただ大きな地域格差があり、これは「地域みがき」の差。
仕事がないから来ないのではなく、若者が本当にその地域を好きになったら、
仕事は自分で探し作り出している。

従い、地域で今なすべきことは、地域を磨き、人々が輝き、選択される地域を作ること(=地域みがき)

地域づくりは2段階で行う。
第一段階)住民の諦めの払拭(=地域の誇りの再建)。
     これには時間がかかり、外部の非専門家が適切な場合がある(地域おこし協力隊など)。
第二段階)事業導入期。短期間で専門的な事業を起すにはプロのサポートが重要になる。
 


1.基調講演 3『若者と田園回帰』コモンズ 代表 大江正章氏


群馬県南牧村は、増田レポートで2040年の人口626人、若年女性人口10人と指摘されたが(「消滅する市町村」1位)、2010年に南牧山村暮らし支援協議会が発足し、4年間で14世帯26人が移住してきた(うち小学生4人)

消滅する市町村埼玉県2位の小川町は、有機農業生産グループ約50人の90%はIターン者で、彼らが地域づくりの担い手となっている。

「半農半X」(自分や家族が食べる分の食料は小さな自給農でまかない、残りの時間は「X」、つまり自分のやりたいことに費やすという生き方。
半農半NGO、半農半ライター、半農半歌手、半農半保育士などXは様々)が若者から支持され、移住者の生き方に繋がっている。



2.パネルディスカッション 『田園回帰のススメ~共生と循環の扉を開く~』


コーディネーター:島根県中山間地域研究センター 研究統括 藤山浩氏

島根県の『田舎の田舎』に次世代が定住しつつある。小学校区で色分けすると3割を超える地区で4歳以下の子供が増えている。30代女性も4割を超える地区で増えている。
これは、移住先を選ぶに当たって、都会的な生活を変える目的で覚悟を決める意味もあり、中途半端でない田舎を選ぶ人たちがいるからである。

人口安定化を達成するためには地域人口総数の1%、2920人(1251組)が定住してくれればいい。
これを地方40道府県が展開しても全国で10万人強であり、政府総合戦略目標の「東京圏入超10万人是正」にも見合う。

ということで、人口の1%取り戻し戦略、定住増に対応した地域内循環の強化による所得の1%取戻し戦略を提唱推進している。


パネリスト:島根県邑南町定住支援コーディネーター 横洲竜氏


平成22年にたまたま訪れた邑南町に移住した後、結婚、2子をもうけ、定住促進課で定住支援コーディネーターをしている。
移住者数は、平成22年22人(13世帯)→30人(24世帯)→42人(24世帯)→56人(35世帯)→63人(36世帯)→今年10月20日現在21人(9世帯)と推移している。
定住率は88%。

移住者が増えるとお店ができたり仕事を受け継ぐ人ができたり、色々と広がってくる。

町案内の時に気をつけているのは、「移住を検討してくれてありがとう」という感謝を伝えること。


パネリスト:山の暮らし舎 代表取締役 須田元樹氏


東京でフリーターをしていたが、リアリティのあることがしたいと考え、今は岡山県の小さな村で「山の暮らし舎」を立ち上げ、農産物のWeb販売を通じて地域と都市の関係構築に奔走している。


パネリスト:合同会社ポットラックフィールド里美 代表 長島由佳氏

茨城県常陸太田市で平成23年、清泉女子大学地球市民学科卒業生5人が地域おこし協力隊「ルリエ」として活動を始めた。
その後、仲間と共に合同会社ポットラックフィールド里美を立ち上げ、地域づくりの仕事をしている。
「地球市民を育むムラ」里見をフィールドとして、地域内外の人たちの夢や得意を持ち寄り、望ましい未来に向けて様々なモノ・コト・学びを生み出す場を提供する。
課題は多面的で複雑であるため、稼ぎを1本にせず組み合わせて創り出す。

最終目的は地域の持続的維持で、そのために地域の誇りの醸成・喚起を目標にしている。

都会で暮らしていた時には「暮らし」と「仕事」が別々に存在していたが、今は「暮らし」と「仕事」と「シゴト」(稼ぎにならないが地域に必要なもの)がそれぞれ重なってきている。
「シゴト」を稼ぎにするチャレンジで、“地域のしあわせ”と共に“自分自身のしあわせ”を見つけていきたいと考えている。

小さなコミュニティにコミットするほど、世界観が広がり奥行きが生まれると感じている。 


コメンテーター:日本大学経済学部教授 沼尾波子氏

若い人で盛り上がっている地域は「宿場町」が多い。よそ者が昔から入っている。
「来てくれてありがとう」と言える役場がいくつあるか。受入れる姿勢が大切。

パネリストの移住者の話を聞くと、サラリーマンと対照的に「自己肯定感」が強い。
今、地域と関わりながら役割を持ち経済活動をする若い人たちが地域に集りつつある。

都市と農村の共生に繋がるよう「通訳者」(IT、都会と田舎の両方が分る人)がますます必要になってくる。
   
                             館山市議会議員 室 厚美          







 
2015-11-11
 出張報告
「新しい風の会」会派代表 室 厚美   
 
 第二回シティプロモーション首長シンポジウム参加


   日時 :平成27年11月2日(月)13:30~16:30
   場所 :日比谷コンベンションホール(千代田区日比谷公園1-4)
   主催 :シティプロモーション自治体等連絡協議会
   テーマ:「地方創生実現のためのシティプロモーション」


1.基調講演『人口減少社会の地方行政』小林伸年氏(時事通信社編集委員兼海外速報部長)

・ 平成の大合併時代の「スケールメリット」から、今は「個性で勝負」の時代になっている。
  地方創生事業を立案する際のキーワードは「連携」。他の自治体とも補いながら盛り上げる。

・ 「ないものねだりをせず、持っているものを生かす」ことに気をつけるべき。
  ただ“持っている魅力”にはなかなか気づかず、地元の人が売り出したいものと、
  よそ者がここが魅力と思うものは異なっているため、移住者の意見をよく聞くことが大切である。

・ また、「持っていないこと」を逆手にとって生かしていくという方法もある。
  例えば鳥取、「スタバはないけれど砂場はある」というキャッチフレーズで「すなばコーヒー」が繁盛している。

・ 子育て世代をひきつけるためには、「地域アイデンティティの創出」が重要。
  住民が「~出身」と胸を張って言えるように。

・ 人口減少を前提とした社会制度及びまちづくりを進めるために、コンパクトシティー化を推進すべき。
  といっても全てを一箇所にまとめるのではなくて、コミュニティバスでお年寄りに外出してもらうという方法での
  時間的なコンパクトシティ化。
  これにより高齢者の健康増進にもつながる。



2.パネルディスカッション 『 シティプロモーション私たちの “知恵” と “工夫” 』

コーディネーター:シティプロモーション自治体等連絡協議会 調査研究部会長 牧瀬稔氏

・ シティプロモーションはあくまで手段であって、その目標は以下:
①自治体の認知度向上
②情報交流人口(HPに来る人)の増加
③交流人口(観光・定住)の増加
⑤シビックプライドの醸成(市民の愛着度の増加)
⑥協働人口の増加(ファン作り)
⑦企業誘致

・ そのためのHowが重要で、知恵と工夫が必要。
いずれの目標においても、自治体の企画部門の強化が鍵を握る。


◆パネリスト:栃木県佐野市長 岡部正英氏

・ 人口12万人。東京から70km、1時間の距離で「観光立市」「スポーツ立市」を掲げる。

・ 「さのまる」が2013年に「ゆるキャラグランプリ」を獲得。
  1位にならないと意味がないことから、選挙戦と銘打ったお祭り騒ぎを仕掛けた結果である。
  翌日からTV出演、派遣依頼が殺到している。
  これはゴールでなくブランド化の手段ととらえ、専門部署を設置し、
  全国に知ってみて感じてもらうシティプロモーション推進計画を立てメディアを有効に活用している。

・ 帝国データバンク試算によると、「さのまる」による経済波及効果(3年9ヶ月)は592億円とされている。
  「さのまる」を応援することで市民に一体感と郷土愛が高まっている。


◆パネリスト:長野県駒ヶ根市長 杉本幸治氏

・ 人口32千人。「アルプスを2つ映えるまち」をキャッチフレーズにしている。
  水と空気が美しいことから養命酒が有名。

・ JAICA訓練所があること、平均寿命が1位であること(健康)、リニア新幹線が開業予定であること等から、
  ①世界と繋がる
  ②日本を支える
  ③健康で豊に暮らす
  ④触れ合う、
  をキーワードとしたまちづくりを進めている。

・ 具体的目標として観光200万人で1人1万円、2億円の経済効果を目指す。
・ 例えば信州駒ヶ根ハーフマラソンは3回めだが、地域の皆さんのおもてなしで有名。
  途中、かぼちゃスープ、きゅうり、梨・りんご、アイス、手打ちそば、バナナ・あんぱん、カレー、
  すいとんなどが振舞われる。

・ 「-15℃ 純白の結婚式」では、台湾から2組来て3大キー局で放映された結果、
  インバウンド1000人に繋がった。


◆パネリスト:埼玉県三芳町長 林伊佐雄氏

・ 人口38千人。首都圏から30kmにある田園のまち。
  高速ICで有名だが、町に電車がなく不交付団体である。

・ まちづくりに関して重要な以下3点に力を入れている。
  ①政策研究・・・自治体シンクタンクを作った
  ②情報発信・・・広報をやりたい職員を公募
  ③人づくり・・・志を持つ職員を育てる、シビックプライド醸成、起業家精神を養成。

・ マニュフェストで、三芳スマートICのフル化、健康長寿プログラムの策定、六次産業創業塾の開設など、
  31の宣言をし、着実に実行に移している。


**「シティプロモーション自治体等連絡協議会」とは、
   地域におけるシティプロモーションのための取り組みを推進することで
   魅力ある地域づくりに寄与することを目的に、地方自治体や民間団体の相互の交流及び連携を図る組織。
   参加自治体14、企業6。                                
                                               以上

                                        
  むろ あつみ
                                          






2015-09-15
 出張報告
 
  館山市議会「新しい風の会」会派代表 室 厚美
 
  「ふるさと納税全国サミット」出席

ふるさと納税の仕組みを使って、地域活性化につなげている先進自治体の取り組みを紹介する
「ふるさと納税全国サミット」に参加しました。

作成 新しい風の会 : 室 厚美 
日時  平成27年8月28日(金)13:30~16:30
場所  TKP品川カンファレンスセンター バンケットホール
主催  ㈱トラストバンク
協力自治体 北海道上士幌町、岩手県北上市、山形県天童市、静岡県西伊豆町
  愛知県碧南市、三重県玉城町、島根県浜田市、長崎県平戸市


講演 「ふるさと納税の市場と可能性」
(株)トラストバンク代表取締役 須永珠代氏
 

・須永氏は、2012年にトラストバンクを設立。
 地域に人・物・金・情報を循環させる観点からふるさと納税に着目し、
 全国のふるさと納税のポータルサイトである「ふるさとチョイス」を開設した。

・ふるさとチョイスは、お金の使い道を選べる仕組みであり、
 各地域が課題解決のツールとして活用、産業のPRをしている。
 契約自治体数は659(2015年9月)、月間4000万PV、
 300万人が訪れるサイトとなり、地域のお礼は3万点にのぼる。

・ふるさと納税の潜在的な市場規模は約2兆円と試算している
 (全国の住民税12兆円の2割が控除の対象となるため)。
 2013年のふるさと納税合計額は141億円(総務省)であるため、
 まだまだ市場が拡大する可能性が大きい。

・お礼の品は、高額でも自治体にお金が落ちて文化伝統の継承に繋がるものであれば
 構わないと考えている。

・ふるさと納税を活用している地域は、税収増だけでなく、産業の活性化、雇用創出、
 観光促進や移住にまでつなげている。
 自治体の知恵次第で活用の仕方は沢山ある。


  事例発表①「静岡県西伊豆町の取り組み」
静岡県西伊豆町 観光商工課ふるさと振興係 渡邉貴浩 氏

・行財政係で唯一の歳入事業がふるさと納税であったため、
 この制度を活用して歳入増、産業活性化、雇用増、人口減少を食い止めようと
 プロジェクトチームが発足した(平成26年3月)。
 トップダウンによる協力体制で、辞令なしで9課25名が自主的に兼務で参加した。
 組織(班)を固定せず、縦割りを排除した連携体制をとり情報を共有化した。
 メンバーも1年更新でモチベーション維持につなげている。

・スタート時と比べ、お礼の品は57→95品目、
 体験型の感謝券(宿泊、体験、土産)が16→90施設に増加した。

・成果として雇用増、リピーターの増加、
 職員の仕事に対する意識の向上(成果がみえるためモチベーションが上がる)等がみられ、
 あらためて地域を見直すきっかけとなり、地域の資源についての当たり前の気づきが得られた。

・一方、課題としてお礼の品の発送遅延や事務処理量の増加、
 お礼の品の選定方法の確立、寄附金の使い道等が挙げられる。


  事例発表②「カタログポイント制度のメリット・デメリット」 
長崎県平戸市 財務部企画財政課 ふるさと納税推進班 黒瀬啓介 氏

・全国の自治体の半数近くが消滅可能性都市と指摘された。
 これからの自治体は個性の時代。
 「ふるさと納税」は、自治体間競争の最たる例であり、
 知恵を絞り努力した自治体だけが結果を残すことができる。

・平戸市では平成27年度から「ふるさと納税推進班」が設置された。
 正職員3名選任、臨時職員5名の体制。
 それまでは黒瀬氏が1人で兼任→専任で行っていた。

・平成24年度には年間36件100万円だったが、
 ポイント制度を導入し26年度は件数が1日100件、
 寄附額が全国で初めて10億円を突破した(24年度の1,350倍。1日400万円)。

・平戸市の特徴は、特典カタログを全国に先駆けて採用し、ポイント制度を導入したこと。
 これは寄附者の利便性を最優先した結果導入した。

 寄附者は好きな時に好きな組み合わせで注文でき細かな配達にも対応してもらえる、
 また平戸市にとっても高額寄附者向け特典を作る必要がなく
 自由に特典開発が可能といったメリットがある反面、
 少額寄附者には面倒で平戸市にとってはポイントの管理や特典の発注などが大変という
 デメリットもあり簡単にはできない。

 また、営業しなくても注文が来ることに勘違いせずに、
 あくまで返礼品だから注文が来ているということを忘れず、ふるさと納税に頼りきらない注意が必要。

・ふるさと納税の成功の秘訣は、担当者の情熱と信念、行動力。

・今後、財源確保よりも、まちづくりへの活用が注目され、応援したい自治体へ寄附が集るようになる。
 寄附金活用によってどのような施策を展開していくのかが重要。


   事例発表③「ふるさと納税ローカルサミットレポート」
~全てのサミットに参加した理由~
岩手県北上市 地域・産業連携 復興支援員 登内芳也 氏
 
・登内氏は、埼玉で会社経営をしていた際に、東日本大震災の被災事業者支援を行う中で、
 復興した工場の商品の販路拡大にふるさと納税が活用できると気づいた。
 2013年に北上市の要請で地域・産業連携復興支援員の委嘱を受け活動している。

・ふるさと納税制度のすごいところは、物販イベントでは手に入らない優良顧客リストが手に入り、
 顧客フォローができる(という民間では当たり前の)こと。
 また、お客様(寄附者)が得られる情熱的ベネフィットとして、
 貢献感、使命感、優越感、幸福感、体験、安心感があること。

・2014年にはふるさと納税セミナーの全国のローカルサミットに全て参加した。
 その理由は、
 ①先進自治体の意識の高い担当者と出会える
 ②開催自治体のふるさと納税返礼品を体感する(寄附者視点でみる)
 ③他地域とコラボして面白い企画を生み出す
 ④開催自治体の首長の考え方を聞く
 ⑤ふるさと納税制度に力を入れている自治体は他にも強みを持っているケースが多い
 (特にシティプロモーションや移住定住)ため
 ⑥これらで得た情報や人脈を持ち帰り、北上市の成長につなげるため。

★「ふるさとチョイス」http://www.furusato-tax.jp/
                      以上






2015-08-31 
 
 出張報告
 
 館山市議会「新しい風の会」会派代表 室 厚美
 
 「人口減少時代のまちづくりと地域公共交通の再構築」
 
9月議会の行政一般通告質問でも取り上げる地域公共交通について、調査を重ねています。
その一環として、掲題セミナーに参加しましたので、その概要をご報告致します。(8月6日)
http://www.toshi.or.jp/app-def/wp/wp-content/uploads/2015/06/17seminar_1.pdf   
 
人口減少や、事業者の経営悪化により地域公共交通ネットワークが縮小しています。
今後は、まちづくりと一体となった公共交通網の再編が必要となる中、
国土交通省による各種施策も整備され、地方自治体が中心的な役割を果たすことが
期待されています。
セミナーでは、先進地域の取り組みの紹介がなされました。    
 
 1 基調講演 「人口減少時代のまちづくりと地域公共交通」 
 2  事例報告 (1) 「コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築」
事例報告 (2) 「富士宮市の市営公共交通」
 3  パネルディスカッション(1)  「地域公共交通を支えるための関係主体の役割とその背景」  
パネルディスカッション(2)  「地域公共交通について(バス事業と広域連携)」 
     
   
     
基調講演 
  『人口減少時代のまちづくりと地域公共交通』
    森本章倫 氏(早稲田大学創造理工学部社会環境工学科教授)  
     
  今後の人口減少の進展は、地区ごとに明暗が分かれる。
    また、中心部のシャッター街から今後は郊外の空き家街も問題になってくる。  
     
  交通と土地利用の関係を歴史的にみると、交通手段が都市構造を変えてきた。
    今後、多様な交通政策と街づくりの連携によって、魅力的なまちを創っていくことが重要。
    国内でも海外でも、様々な事例が出てきているので参考になる。 
    宇都宮市では自転車専用レーンの導入、「自転車の駅」の創設で、自転車の街へと変貌しつつある。 
     
   
     
事例報告(1) 
  『コンパクトシティ戦略による富山型都市経営の構築』 
    森雅志 氏(富山市長) 
   
  富山市では、まちづくりの基本方針(コンパクトなまちづくり)を実現するため、  
    ①公共交通の活性化(積極的に公費を投入する)、 
    ②公共交通沿線地区への居住推進(補助金で誘導する)、 
    ③中心市街地の活性化(積極的投資)を行っている。 
     
   ・ 例えばJR富山港線に公設民営型のLTRシステムを導入、
    200円均一(高齢者100円)料金としたことで利用者は2倍強増え、健康寿命の伸長にも繋がる。 
    また、中心市街地活性化のため、市内電車は環状線化して
    1日中でも乗れるようにし、さらにこの周辺に公共施設を整備した。  
     
   ・ 交通の利便性が向上することで利用者が増加すれば、 
    事業者の収益は改善し、
    高齢者や若者のライフスタイルが変化(中心街への外出機会の拡大)するとともに、
    中心市街地が活性化し地域経済の活性化にも繋がる。   
     
    これにより郷土愛(シビックプライド)が醸成され、
    選ばれる街、持続性の高い都市に、というプラスのスパイラルが発生している。  
     
  他にも、
    「おでかけ定期券事業」(高齢者の約23%が所有)、
    「花Tramモデル事業」(花束を購入すると無料乗車券を進呈)、 
    「高齢者が孫と一緒に来園すると施設入園料無料」など
    様々なアイディアで魅力的な街づくりにまい進している。
     
    その結果、中心市街地では9年連続で人口が転入超となり、
    地価が上昇する等の効果が出てきている。    
     
     
  事例報告(2)
  『富士宮市の市営公共交通』 
    芦澤栄治 氏(富士宮市副市長)  
     
   ・ 富士宮市では、民間路線バスの相次ぐ減便で利用者が減少し、
    補助金が増大する状況にあったが、
    少ない負担で多くの住民の生活交通を確保するというコンセプトで
    “宮バス”(市街地循環バス)が導入された結果、 
    利用者の増加やバス停オーナー協力金等により、市の負担額が一時0まで改善した。  
    (その後路線を増やしているため市の負担も増加) 
     
   ・ さらに、民間路線バス退出地域の交通空白地域の解消を目的に、
    デマンド型乗合タクシー“宮タク”を導入した。 
    路線バス時に比べ運行回数が増え、エリア内ではフリー乗降ができることで 
    利用者数が増加(18→24人/日)、 
    市の負担額も減少(300万円の補助金→200万円の委託料)した。
     
  交通会議では、公共交通PDCAによる事業評価を行っている。 
     
   
     
  パネルディスカッション(1)
  『地域公共交通を支えるための関係主体の役割とその背景』
    板谷和也 氏(流通経済大学経済学部准教授) 
     
   ・ 地域公共交通は利用が減少し事業者の経営破たん・撤退が相次いでいる。
    営利事業ではなくなったので、自治体が積極的に関与しないと維持することができない。
     
    以前は地域独占の免許制であったため、事業者は黒字路線の利益で赤字路線を維持してきたが、  
    規制緩和により黒字路線のみへの参入が認められるようになったため、 
    赤字路線を維持するために補助金に頼らざるを得なくなった。 
     
   ・ 魅力的な交通、魅力的な市町村を作るためには、
    事業者と連携して施策を進めることの出来る力量と熱意のある自治体職員と、 
    首長の理解が不可欠である。  
     
     
  パネルディスカッション(2)
  『地域公共交通について(バス事業と広域連携)』
    木村俊介 氏(一橋大学大学院法学研究科教授) 
     
   ・ 希薄化した地域社会の中で、必要なことは、  
    ①幹線的路線バスの設定(医療機関や商業施設、教育施設等をつなぐ)
    ②3つの財源をうまく使うこと(公費補助、料金収入、地域の支援金)
    ③コミュニティの活性化
    ④自治体の広域連携
     
  特に、定住自立権構想において、取り組まれている行政分野として、
    地域公共交通は医療についで高い比率となっている。  
                                      以上。
     
    この問題に関する地方自治体の関心度が非常に高まっているようで、
    全国各地からの自治体職員が参加していました。
    (ちなみに、館山市の職員も参加、現地でお会いしました) 
     
                                     室 厚美





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