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市町村議会議員特別セミナー
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第11回 全国市議会議長会
研究フォーラム
2016-10-31 
     






 
2016-10-31 up
たてやま21・緑風会
第11回全国市議会議長会 研究フォーラム 

会派視察報告
館山市議会議員 森 正一・榎本祐三・石井敏宏

作成  館山市議会議員 石井敏宏


●主催  全国市議会議長会
●場所  静岡県コンベンションアーツセンター 大ホール
●日時  平成28年10月19日,20日
●参加者 全国から約2,500名


●プログラム

第1日目(10/19)
第1 基調講演「二元代表制と議会の監視機能」大森 彌 東京大学名誉教授
第2 パネルディスカッション「監視権の活用による議会改革」
   コーディネーター 江藤 俊昭  山梨学院大学大学院研究科長・教授
   パネリスト    斎藤 誠   東京大学大学院法学政治学研究科教授
            土山 希美枝 龍谷大学政策学部政策学科教授
            谷  隆徳  日本経済新聞編集委員兼論説委員
            栗田 裕之  静岡市議会議長

第2日目(10/20)
第3 課題討議「監視権を如何に行使すべきか」
   コーディネーター 佐々木 信夫 中央大学経済学部教授
   事例報告者    佐賀 和樹 藤沢市議会前副議長
            井上 直樹 和歌山市議会議会運営委員会委員長
            嶋﨑 健二 日田市議会議長


●内容

はじめに
2日間の研修は、1人または複数の講演会であり、
テーマは一貫して「監視機能を中心とした議会のあるべき姿と今後の改革」が中心であったので、
プログラムごとに分けず、一括した研修報告とする。



1 議会は地方自治の根幹なのに、首長より存在感がないことについて

議会と首長は、二元代表制と言われ、両者とも住民の直接選挙によって選ばれる。
議会は住民の目で行政を監視するためにあり、行政の長である首長(市町村長等)が独裁をしないように、
男女・各界・各層の多様な住民で構成されるのが本来の姿である。

しかし、政策立案も弱いが、最低限の仕事である監視機能すら十分ではないのが今までの議会の姿である。
本来、地方自治の根幹は首長ではなく議会であり、これは万国共通であるにも関わらずだ。

そもそも制度として、議会より首長優位になりやすい。
首長は執行機関(行政)でありながら、議会にあってもいいはずだが現実としてない予算案提出権を独占している。

また、議会と同様に条例案提出権を持っている。
一方、議会には執行機関が持つ権限は基本的になく、首長に対して受け身になりがちである。

建前上は議会が呼んでいることになっているが、実際には首長とその部下である職員は自由に議会に出席して、
議論を執行機関が有利なように誘導している。

そもそも、原案を作るのは首長と職員であるから、どのような会議でも原案を作ったものが主導権を握るように、
首長が議会に対して優位性を発揮してしまう。

首長の存在感が圧倒的であるがゆえに、議会も自分達が最終的に重要案件を決めているという意識が乏しい。
なかには自分達が決めたのに、何か問題が起きると、議案を出した首長の責任追及をするだけで、
自らの責任に気付かない議員まで出る始末である。


本来であれば、議案を議決する日、主に議会最終日であるが、その前夜は、議員には責任の重さから
不眠になるくらいの重圧があるはずだが、そのようなプレッシャーを感じている者は少ない。

このような仕組みは根本的に戦前から変わっていない。
国としては、地方をコントロールするには、1人の首長に話をつける方が、
複数人の合議体である議会と話をつけるよりやり易く早い。

だから、国は意図的に、首長優位で議会が形骸化するように仕向けた節がある。

国と首長らは、議会がまとまって「チーム」のようになるのを嫌がっている。
昔から支配者は、支配される側が一致団結して抵抗しないように、
バラバラにする「分割統治」を心掛けている。

現状の議会は、行政通告一般質問や議案質疑に見られるように、
議員がバラバラなまま1人1人で、首長や職員など執行機関に論戦を挑んでいる。

議員同士で議論をほとんどしないのだ。
議員同士で議論をしなければ当然、議会としてまとまった意見は出てこない。
議員個人の意見なら、個人的見解として首長は無視できるが、
最終的な議決権を持つ議会全体としての意見ならば、首長は無視をできないはず。

しかし、前述のように、議員は個々に意見を述べるだけに終わることが多いので、
国と首長らによる分割統治という手法での議会の無力化は、成功していると言わざるをえない。

なお、議会において、首長与党と野党が対立している状況は、
議会が分断されているので首長にとって都合のよい状態である。

地方における二元代表制は、国の議院内閣制で議会内与党が行政府の長を決めているのと違って、
議会が行政府の長を選んでいるわけではないので、与野党関係は存在しない。

このことを知らない議員もいるが、
首長与党だとか野党だとかいう議会内での振る舞いは本来、あってはならない。



2 現状を踏まえて議会改革をどのようにするかについて

やはり重要なのは議員間で議論をすることである。
なお、議員間の議論の時は、首長や職員を退席させた方がよい。
それは、議員間での議論のはずなのに、執行機関に議論を誘導されてしまうおそれがあるからだ。

具体的には、議員個々で一般質問をした内容について、終わった後に議員間で話し合い、
議員間で重要事項との合意に至ったことは、議会として首長に実現や改善を求めていくことである。

また、議案質疑の後に議員間での議論の時間を設け、原案に対して、
必要があれば修正案を提出することも有益だ。

さらに、決算においても、ただ認定するだけではなく、議会として意見を付ける。
手法としては付帯決議などを用いる。

これをするのは、認定するにしても全く問題がないということはまずなく、
執行における問題点も少なからずあり、また来年度の予算編成に向けて、行った事業を評価し、
必要に応じて改善・見直しをする意味もあるからだ。

このように意見を付けるのも、議員間で議論をしなければできない。

さらに、議会は機関として、住民のなかに入っていき、住民の声を吸収し、
また住民の民意を見方につけるべきだ。

最近は議会報告会を行う議会が増えてきているが、議会がモニター制度を設けたり、
重要議案には独自にアンケート調査をするなどの方法がある。

重要なのは、議員が個々に住民と向き合うだけではなく、
議会という機関として住民と向き合うことである。
なお、議員間の議論も公開で行うべきだ。公開での議論は、
住民が市政に参画するにあたっての重要な情報提供になる。



3 議会改革の各論について

(1)議会事務局の充実と、議会に法制局を設けることについて

議会改革がうまくいっているところは、議会事務局がしっかりしているという傾向が見られる。
しかし、現状では事務局職員は執行機関からの出向であり、人事異動で戻っていくわけだから、
執行機関と対峙してまで議会の権限強化に大きく貢献するのは難しい。

財政難の現状では難しいが、議会に法制局を作って、議員の政策立案の充実を図ったり、
議員提案の政策条例を増やしたい。
そして、これも縦割りだから難しいが、近隣の議会と共通で、
広域的な議会法制局を設けられないものだろうか。


(2)監査委員について

①決算であるが、監査委員の意見の文量が少ない。
監査委員の意見がたくさん付されていないと、議会での決算審査は充実しない。

②議員選出の監査委員をなしにして、全て民間人とすることが可能になる制度改正が国で進んでいる。
この改正は、選択制であり、これまで通り、議選の監査委員を置いてもよい。

監査委員は難解な資料を読みこむ専門性が必要であり議員には向かない、
また議選の監査委員は守秘義務に気を使い在任中は議員活動がしづらくなるという欠点もある。
しかし、監査委員の経験がある議員がいることにより、議会での審議が充実するというメリットもある。


(3)議員選出の執行部審議会委員の是非について

議員が執行機関の審議会委員になることは賛否両論がある。

まず、執行機関としては、議員が数名入っていることによって、
議会で多くの議員がどう考えているかなどの状況を推測し易くなり、
また議員が入っている審議会の結論に対して、後に議会が反対しづらくなるというメリットがある。

一方、議会としては、審議会の情報が入ってくるのがメリットだ。
また、議会での議決がない計画にも、委員になった一部の議員に限られるが、
計画策定に参画することができる。


「議員は議会で審議すれば事が足りるし、そもそも議決機関(議会)の人間が執行機関(行政)に入るのは、
二元代表制や三権分立の観点からいかがなものか」という論点があるが、
これは日本の国会やヨーロッパの地方議会における議院内閣制で、
議員が執行機関に入っているのと同様であり問題はないという見解もある。

前述の監査委員についても、同様に議員が入るのはいかがなものか、という論点があるが、
執行機関に入るのが構わないのであれば、同じように構わないとなる。

執行機関の審議会から議員をなくす場合は、
審議会の情報が議会に入ってくるような措置を講じておく必要がある。

また、審議会と議会が機関として、意見交換・情報交換をするのも良い方法だ。
その意見・情報交換は、常任委員会や特別委員会がやってもよい。


(4)100条委員会について

神奈川県藤沢市議会の100条委員会についての事例発表があったが、とても興味深い内容であった。
当時の市長らが不正な土地売買をした事件について、
藤沢市議会は100条委員会を設置し、真相を究明した案件だ。

最初は100条委員会の設置案は否決され続けたが、それは市長に近い議員グループが、
この不正売買に対する疑惑追及を、反市長派による市長派つぶしの単なる政争と捉えていたからだ。

しかし、疑惑を追及する側が有力な証拠を多く提示し、またマスコミを含め世論が沸騰したことから、
市長に近いグループも、客観的に疑問を感じ、100条委員会の設置に対して賛成と態度を変えた。

いざ、100条委員会が始まると、市民に対して恥ずかしい結論は出せないと、
市長派云々という政治的立場を超えて、真相究明への強い意志が共有された。


そして、十分な資料収集と証人尋問を行うことになり、
言い逃れをしていた不正事件の関係者も本当のことを言うようになった。

その結果、一連の不正事実は明らかになり、議会として、不正認定と是正勧告、さらに責任追及を行った。
これは、まさしく議会が「監視機能」を果たした事例である。

また、この100条委員会をきっかけに議員達は、
議員間での議論や議会として意見をまとめる必要性を感じ、
藤沢市議会の議会改革は推進されていくこととなった。


(5)通年議会について

通年議会とは会期を1年間とするもの。
しかし、一年中ずっと議会をやっているわけではなく、スケジュールは今までとほぼ同じでもよい。

ポイントは、現行の法制度では議会の招集権は首長にあるが、その招集権を議長に移すことだ。
そもそも、議会の招集権が議長にないのはおかしく、実質的に招集権を議長に移した方が望ましい。

また、通年議会にすれば、地方版の緊急事態条項ともいえる首長の専決処分はなくなる。
現在の専決処分は多すぎるのではないか。

ただ、委員会での閉会中審査を頻繁に行っている活動が活発な議会では、通年議会にしなくても、
実質的に不都合はほとんどないという意見もある。


(6)議会から首長への政策提言の方法

大分県日田市議会は、地方創生における「まち・ひと・しごと創生総合戦略」にも積極的に関わった。
通常であれば、行政だけで総合戦略を策定してしまうものだ。

日田市議会では、総合戦略について市民から意見を聞くために、意見交換会を多く開催した。
また、その意見を踏まえて、議会で議論をしてとりまとめた提言書を市長に渡した。

その結果、日田市議会の意見も総合戦略には取り入れられている。
日田市議会では総合戦略だけでなく、他の一般的な案件においても同様の手法で提言書を市長に提出し、
議会の意見を反映させるように取り組んでいる。

このように政策提言を積極的に行うことは、批判にプラスして対案も出す形なので、
そもそも監視機能を果たしていることになる。

また、静岡市議会では議員提案の政策条例に積極的に取り組み、何本も成立させている。
議員発議の政策条例は議員間の議論がなければ成立しないので、
議会で条例づくりに取り組めば必然的に議会改革は進んでいく。


(7)総合計画について

総合計画をつくる時に、予算と連動しているようにしなければならない。
だから、総合計画においては、基本構想だけではなく、基本計画の策定にも議会が関わる必要がある。

また、各年度の予算・決算においても、議会は総合計画と連動しているか監視する必要がある。
その監視する手法であるが、静岡市議会では毎年度、市長に基本計画の実施状況を報告させている。


(8)決算における成果の事業評価と決算説明書の記載について

決算においては、目的とした結果だけではなく、
結果から生まれた「成果」も含めた事業評価を行う必要がある。

成果というのは、例えば道路を何メートル作ったかという結果だけでなく、
それによって渋滞が緩和されたか否かというものである。

静岡市議会では事業評価の説明書において「成果指標」という項目を加えさせた。
なお、決算説明書には、費用対効果を検証するために、
かかった費用には、按分でよいから人件費を入れさせるべきである。

さらに、事業評価は決算時だけでなく、常任委員会で各事業を一つずつ、
日常的に行ったらどうであろうか。
4年間で全ての事業の評価を行うことは十分可能だ。


(9)議会報告会の集客について

議会報告会でよくあるのが、1回目はたくさんの住民が来るが、2回目から人が減り、
そして同じ人しか来なくなるというパターンだ。

藤沢市議会では、多くの市民に来てもらうため、よくあるスクール方式の議会報告会だけではなく、
テーマを設定して各テーブルで対話をするワールドカフェ形式の議会報告会にも取り組んでいる。

テーマは例えば、投票率の向上についてとか、市民が議論をしやすいものでもいい。


(10)一般質問の方式について

一括質問・一括回答は、質問と回答が連続にならないゆえに、
質問と答弁の観点がずれていてもあやふやになり、答弁逃れがやり易いのでやめるべきだ。
一問一答が望ましい。



●所感

今回の研修の内容は、議会にとっては、理論的には本来すでに出来ていなければならないものが多い。
しかし、現実的にはできていないものが多い。

ゆえに、多くの議員がこうした研修に参加し「共通認識」を持つことと、
そして理解しただけで終わるのではなく、1つ1つ着実に議会改革を「実践」していくことである。

なお、議会改革の先進地では、改革の手法と実践の段階という第1ステージから、
議会改革が住民福祉の向上につながっているかの検証という第2ステージに入っている。



                          館山市議会議員 石井敏宏









 
2016-06-08 up
たてやま21・緑風会
平成27年度 市町村議会議員特別セミナー 参加報告書
館山市議会議員 森 正一
館山市議会議員 榎本祐三
館山市議会議員 石井敏宏





1.目 的
市町村アカデミーが主催する「平成28年度 市町村議会議員特別セミナー ① ~自治体経営の課題~」に参加し、今後の議員活動の資とする。





2.スケジュール

  5月12日(木)

    9:11 JR館山駅発
   12:00 会場着・入所手続き・昼食
   13:00 開校式・諸連絡

   13:30 講演1「脱成長社会に向けて」 講師 京都大学名誉教授
         京都大学こころの未来研究センター特認教授 伊藤俊行 氏
         所見報告書 文責:館山市議会議員 榎本祐三

   15:15 講演2「地方議会から国政を視る
         講師 NHK解説委員室 解説副委員長 島田敏男 氏
         所見報告書 文責:館山市議会議員 森 正一
   

  5月13日(金)

    9:00 講演3「地方創生と地方議会の役割
         講師 読売新聞東京本社編集局企画委員 青山彰久 氏
         所見報告書 文責:館山市議会議員 森 正一

   10:45 講演4「人口減少時代の地域づくり
         講師 弘前大学大学院地域社会研究科研究科長・教授 北原啓司 氏
         所見報告書 文責:館山市議会議員 石井敏宏

   13:20 会場発
   13:48 JR海浜幕張駅発
   16:00 JR館山駅着





3.講演内容

【講演1】「脱成長社会に向けて」
       講師 京都大学名誉教授  佐伯啓思 氏


所見報告書 文責:館山市議会議員 榎本祐三

「脱成長社会に向けて」というテーマで、京都大学名誉教授 佐伯啓思 氏による講演を聴講した。
 以下に講演の内容を報告する。


講義のレジュメがなかったため、講師の主張される内容・要旨を記録するのに若干苦労した。
しかし、改めて記録を整理してみると極めて重要なことを講義されていたことに気いた。

佐伯教授が主張されていたのは、文明的に大きな転換期にきているにもかかわらず、それに対する意識が低すぎるとの警鐘であった。

その転換期とはどのようなことかと言えば、従来のような米国を手本とした経済の成長を追求する時代は終わったことを認識する必要があると言うことである。

今日の日本は、経済が成長する社会ではない。
日本は経済的に豊かな社会になっており、高度成長期のような電化製品や車と言った物的なものに対する欲望も減少し、ある程度の暮らしができており、この程度の生活ができればよいといった意識が国民の間にはある。

端的な例をとれば、「最近の若者の気風がスマホ1台あればよい。」といったことにも表れている。

このような転換期に安倍政権は、アベノミクスによって経済成長を目指しているが、一定の成果は認められるもののマイナス面も出てきている。

第3の矢「成長戦略」によって新しい産業ができればよいが、成長戦略はIT化によって人間の労働力を機械に変えようとするものであり、人間を必要としないIT化は、必然的に人間の仕事をなくすことになり、国全体の失業者が増えることに繋がるのではないかと懸念される。

地方創生についても極めて難しい取り組みといえ、国が国土計画的な大きな方向性を示さなければ、実現は厳しいのではないかと思っている。

だからと言って、安倍政権を交代させて民主党政権にすればよいのかと言えば、前回の民主党政権の失態からはとても期待できない。

失われた20年と言われるが、この間の日本経済の低迷原因を考えると三つ挙げられる。
一つは少子高齢化・人口減少社会の到来による投資の減少。
二つは産業のグローバル化による企業の海外進出・工場等の外国への移転、そのために発展途上国が安いものを作り、日本の中小企業が太刀打ちできなくなってしまった。
三つ目は1995年以降の構造改革(規制緩和等)の推進による日本型経済(終身雇用等)の衰退である。また、国が構造改革しても雇用は生まれるとはかぎらない。


日本は、アメリカ経済を模倣して自由競争による経済発展を続けてきたが、豊かな社会となった現在では、物を買って経済を発展させることに限界が来ているのではないだろうか。

米国の個人主義、能率主義、合理主義、自由主義と言った価値観からくる経済活動は、まさしく市場競争であり、豊かになった日本が今後とも米国の価値観を前提とした国づくりには疑問がある。

今日の日本の現状を分析すれば、経済の成長を米国の価値観によってこれ以上求めるのではなく、日本人が歩んできた価値観によって社会を営む必要があるのではないだろうか。

日本的経営は、個人主義ではなく組織全体として効率化を図っている。
つまり、人間は人の間に人がおり、皆が協調して成り立っている。そのような中から米国人では考えられない愛社精神などが育まれているのである。

物的なものではなく安心できるシステムが必要であり、日本人が持っているこのような価値観によって、お互いが信頼できる人間関係を育成することこそこれからの日本社会に求められているのである。



(所見)

発展途上国や貧富の差が著しい中国などでは、経済の発展が国民の求めているところであることは理解できる。しかしながら、日本でこれ以上経済的に何を求めるかと言えば思いつかない。

世界中で幸せと感じている国民が最も多いのは、プータンであるということが、プータンの国王が来日された時話題になったことを記憶している。

プータンは日本から比べれば、経済的にははるかに遅れた国であることからすれば、経済の発展が必ずしも国民の幸せにつながらないと言うことが言えるのではないだろうか。

佐伯教授が「脱成長社会に向けて」と講演した背景には、戦後の廃墟から世界が驚嘆する経済発展を遂げた日本が、経済至上主義から今一度社会のありようを考える時期に来ていることを示唆されたものであると考える。

日本人のもつ価値観を今一度思い起こし、国民一人一人のコミュニティーの醸成によって、プータンのような幸福度を求めることが成熟した経済国家の進むべき方向性であるような気がする。

地方創生の取組も自治体の経済的発展に固執するのではなく、脱成長社会を真剣に考え、地方・地域がそれぞれの特色を生かして、幸福度が満たされる社会を目指す必要があると痛感した。





【講演2】「地方議会から国政を視る」

講師 NHK解説委員室 解説副委員長  島田 敏男氏


所見報告書 文責:館山市議会議員 森 正一

「地方議会から国政を視る」というテーマでNHK解説委員室解説副委員長 島田敏男氏による講演を聴講した。
 以下に講演の内容を報告する。


①投票率の推移に関して(18歳選挙権開始を前に)

近年の衆議院議員選挙・参議院議員選挙の投票率の推移を見ると、よく言われるように二十代の投票率は低くなっている。
しかしながら、全体の投票率と連動して変動していることも見て取れる。

投票率が下がるときは年長の投票率も下がっており、これと連動しているところが注目点である。
これら二十代の有権者が投票に積極的に行くようになるには、これから18歳、19歳が投票に加わることが刺激になってくれるのではないかと期待できる。

昨年11月にNHKが18歳、19歳の若者たちを対象に行った“18歳選挙権”世論調査の結果によると、夏の参議院選挙で「必ず投票に行く・行くつもり」と答えたのが合わせて約60%という数字であった。

世論調査の分析の権威である埼玉大学の松本教授によると、「まだまだ周知されていない時点で、ここまで投票に対して積極的な姿勢を示しているということは、これは(投票率が上がる)可能性が相当あるのではないか」とのことであり、参議院選挙が近くなる時に、18歳・19歳の若者たちにもわかるように、メディアの側がその時々の政策課題の争点、各政党の基本的な考え方を説明できれば、少し上の先行世代に対しても刺激になるのではないか。

大学の授業をしていて感じるのは、今の18歳・19歳は5年前の大震災の時13歳・14歳の思春期の入り口で見た子どもたちはその上の学生たちとは違いとてもピュア(純粋)である。公と私(わたくし)、生きることと死ぬことについて結構感覚が研ぎ澄まされている。

政治参加になんとか結びつけるように、後押ししていかなくてはならない。
地方議員の方々には、今後、これらの若者との意見交換会などをやってもらいたい。



②安倍内閣の支持率に関して

安倍内閣の支持率は返り咲きをした時には64%と言う高い数字でスタートし、昨年の秋以降は50%に届くか届かないかというところで横ばいに推移している。アベノミクスの政策展開は当初高い評価を受けていてそれが追い風となっていた。

現在はその成果が全国津々浦々に行き渡っておらず不満の声はあるが、経済を豊かに、そして活性化させて行くという方向性そのものに対する期待感は続いている。

このため内閣支持率が急落することなく横ばいで推移している。
一時円高が進み輸出産業にマイナスを与え、日本経済は大丈夫かと言われたが、株価を大きく下落させることをなんとか回避できた。

時の政治の体温計として株価が一番わかりやすいものであり、この株価が落ちなかったことで安倍内閣の支持率は横ばいを保っている。
しかし逆に言えば、そこが頼りということには危うい面がある。

つまり、経済的な失速が政権の失速となりかねない。
近々、一億総活躍社会づくりのためのメニューをまとめて公表するとのことであるが、最初アベノミクスは2年たったらデフレ脱却と言っていたが時間が経つにつれて目標が先延ばしになってきている。この人口減少社会の中で、なんとか働き方を変える、あるいは働き場所を変えることにより成長につなげて行くことは極めて至難の技ではあるが、日本はそれをなんとか乗り越えていけないかということへの期待感は強い。



③伊勢志摩サミットの成果に期待できるのか?

ここでも経済の活性化、世界経済の活性化のために金融政策だけではなく財政出動も日本が先頭に立ってやるんだと言うことを出し、各国にも同調してもらいたい、これが議長としての成果を上げる1つのポイントである。

経済状況が安定していないドイツのメルケル首相は安倍首相とは違うことを言っているので、メルケル首相が何と言うかが大きな鍵となる。
また、中国とロシアはサミットに参加しない。
ロシアとは首脳会談を行いパイプづくりを行っているが、中国に対してどれだけ厳しいメッセージをサミットの場でとりつけるかも重要である。

東シナ海におけるフィリピンやベトナムが嫌がるような領土の拡張・海洋進出をストップさせるために、ヨーロッパの国々にも中国のやり方に対する日本の姿勢に同調するように合意を得る必要がある。

ヨーロッパの国々は中国の大きな取引先であり、中国をあまり刺激したくないと考えているので、こういった国々の人たちに中国への厳しい牽制球を一緒になって投げて欲しいという気持ちをどれだけ届けられるかにかかっている。

今月の初めに行った世論調査によると、成果を期待できると言う意見は13%と低く、期待できないとする意見(25%)の約半分であり、半数以上はどちらとも言えないと考えている。

安倍首相は様々な場で、積極的な経済運営のことや中国に対して厳しい姿勢をとることを表明しているが、他の国々が同調してくれるかについて多くの国民が懐疑的であることを示している。
サミット終了後の各国のコメントに注目したい。



④オバマ大統領の広島訪問に関して

オバマ大統領の広島訪問が決まったのは、岸田外相が広島でのG7外相会合の開催を実現し、ケリー国務長官が多いに協力してくれたことが大きな要因である。

オバマ大統領が被爆地である広島市を訪問することが正式に決まる前に行った世論調査によると、訪問して欲しいと考えている人が約70%(与党支持者:77%、野党支持者:76%、無党派層:69%)と高く、訪問して欲しくないと考える人の2%を大きく上回った。

アメリカ国内では、原爆の投下は戦争を早く終結させるために必要であったという世論はかつてほどではないが今でも根強く残っている(半数程度)。

一方で、若い世代の間では戦争を終わらせるためとは言え、十何万人もの殺戮をやってよかったのかと言う意見が出ている。
また、政党間の支持者の間にも考え方に違いがあり、世論調査によると、原爆投下が正しかったと考えている割合は共和党支持者の7割、民主党支持者の5割という結果で大きな差があった。

オバマ大統領は民主党を背中に背負った大統領であり、ヒラリー・クリントン候補を応援する立場である。
この世論調査の結果から、民主党の有権者は自信が広島を訪問して追悼の意を表することに抵抗感が少ないだろうというと判断し、今回の広島訪問に踏み切ったようである。
あとは、被爆者に会って話をするか、そしてどれだけのメッセージを広島から未来に向けて発信するのか世界中が注目している。



⑤消費増税率10%への引き上げに関して

2017年4月は一度先送りされた消費税率10%への引き上げ予定の時期となっているが、軽減税率の仕組みなどは作ったもの、未だそれがはっきりしていない。

この問題について安倍総理はサミットで、世界経済をより元気にするためにという討論の中で、日本をより元気にするためには「この難しい消費税率引き上げを少し先送りしたほうがいいのではないか」「無理してここでやる必要はないのではないか」という声が各国から出てくることに期待感を示している。そうすれば先送りする理由ができてくる。

NHKの世論調査によると引き上げ賛成は全体ではわずか21%、反対がほぼ半数の49%となっている。
軽減税率という中途半端な仕組みを作った消費税率の引き上げでは、もともとの社会保障の財源確保にはならなから反対だという声もある。

与党支持者の間でも賛成31%、反対41%というように意見が割れている。
やはり誰でも増税は嫌だし、先に伸びてくれたほうがいいという心理が働いているようである。



⑥原子力発電所の運転再開は?

2月からの5月にかけての原子力発電所の運転再開に関するNHKの世論調査によると、3月(20%→15%)と5月(18%→15%)は前の月より反対が増えている。
前者は震災から5年経過しているにもかかわらず、いまだに廃炉の道筋が見えていない現状が原因であり、後者は熊本地震による不安の増長が起因している。



⑦今度の参議院選挙に関して

4月と5月にNHKが行った世論調査によると、7月に予定されている参議院議員選挙において、与党議員が増えた方がいいという意見が約24%に対し、野党議員が増えた方がいいという意見が約32%と上回った。

衆議院は与党である自公が圧倒的に強いのだから、参議院は与野党が伯仲する形で、与党を牽制するような役割を持たせた方が良いのではないかという世論が働いているように分析できる。

この先6月になったらどうなるかという事は予測が難しい。
町村さんが亡くなった後の北海道5区の補欠選挙において勝利はしたものの、圧倒的大差で勝利したわけではなく、勝ちっぷりが今一つであったことから、衆参同日選挙で両方とも勝てるほど甘くないという声が党内で広がり、いくつかの新聞では「同日選見送り」という記事が出された。

しかしながら、このカードは安倍総理が常に持っており、これからサミットに向けて支持率が上昇していけば同日選の可能性はあり、まだまだ予断が許せない状況である。



⑧日米安全保障に関して

日本の平和と安全のため、そして国際社会の平和と安全のため、去年の6月19日に安全保障関連法が成立し、今年の3月に施行された。いまだに内容が複雑すぎて、よくわからないという声がいまだに多く存在している。

中身は11の法律に分かれており、自衛隊の活動内容で分けると、

(日本の平和と安全のための活動)
・集団的自衛権の行使容認:武力行使 → 自衛隊法・事態対処法
・外国軍隊への後方支援 :物資の補給や弾薬の提供 → 重要影響事態法
・治安・安全確保 :警察官などが使う意味での武器使用を伴う
             →自衛隊法

(国際社会の平和と安全のための活動)
・外国軍隊への後方支援 :物資の補給や弾薬の提供 → 国際平和支援法
・国連PKOなどへの協力 :PKO協力法

の5種類に分類できる。
本来であれば一度の国会ではなく何回かに分けてやるべきものであるが、衆議院では自民単独で、参議院では自公連立で過半数を取っているつかの間にやってしまいたいという本音があり、その瞬間に急いでやったがために国民にとって解りにくいものなってしまった。

自衛隊は日本にとって必要なものであり、より多くの国民に理解された内容の活動をすべきである。
しかしながら、このような決め方をしてしまったために、世論調査をしても納得がいかないという意見の方が多い(与党支持者の中でも)という結果となっており、これは安倍政権の急ぎすぎによる弊害である。


これまでは日本が攻められた時だけ、必要最小限度の武力行使は出来るが、ほかの国が攻撃を受けた時には行使できなかった。
それがこの法律の施行により、集団的自衛権が限定的に行使できるようになった。

つまり、日本を守ってくれるような関係にある国が攻撃され、日本に大きな危険がもたらされる状況になった場合に政府が総合的に判断し、日本が攻撃される前であっても、例えばアメリカ軍とともに相手方に反撃できるという部分が追加された。

しかしながら、どのような時に行使できるのかを答えずに、「政府がその時に総合的に判断する」という“行政裁量権の拡大”で済ませてしまったことがまずかった。

日本とアメリカの同盟関係の源である“日米安全保障条約”は、全く指一本触れずにそのまま継続されている。
この条約の中で、日本はアメリカ軍に無償で提供し、それに対しアメリカ軍は日本の安全と平和に寄与(集団的自衛権の行使)、極東の安全と平和に寄与することを定めている。

安全保障関連法が施行され、集団的自衛権が限定的に行使できるようになっても、アメリカ本土が攻撃された時に自衛隊がアメリカに行き、アメリカ軍とともに反撃に加わるというようなことは安保条約には規定されていないので、条約の改正がなければそのようなことはできない。

この条約の非対称性から、日本はこれまで自衛隊の規模をそれほど大きしないかわりに、“世界の警察官”アメリカに守ってもらうという信頼関係を維持してきた。


ところがこの関係を変えようとしている存在(=トランプ氏)が大統領になる可能性が出てきた。

トランプ氏は、
「今やアメリカは裕福な国ではなく、世界の警察官としてサラリーも貰わずに若者を世界に展開させていくような次代は終わった」
「アメリカが攻撃されても日本は何もしないが、日本が攻撃されたらアメリカは駆けつけなければならない。アメリカ軍の駐留経費を大幅増額しなければ撤退させる」と言っている。

しかしながら、アメリカは多様な民族の集まりであり、一時極端な方向に触れたとしても、また別の声が出てくることも十分に考えられる。
日本側があまりアメリカの変化に振り回されず、国民にとって大事なものは何か、日本はどう生きていくべきかと言う事を国会でしっかりと議論してもらうよう、働きかけていくことが大切である。



(所感)

講義の内容に入る前に講師の島田先生が、「議員は自分の政党や自分の考え方の宣伝だけではなく、前提となる世の中のしくみについて、市民に解りやすく話をする、これが一番期待されていることであるという現実を大切にして欲しい」「今、経済政策は国がアベノミクスでどのような事をやろうとしていて、なぜそれが上手くいっていないのにはこういった理由がある、と言った事を十分にみなさんが把握して、市民に解りやすく伝えて頂きたい」と述べられたことがとても最も印象的で、そして最も耳の痛いものでした。

島田先生が述べられたことを自分自身に照らし合わせてみると、国政の事はおろか、館山市の現状や抱えている問題、そしてそれらを解決するにはどうすればよいのか、自分自身そのことを市民に解りやすく、そして十分な説明ができない現状を反省しなくてはならないと実感するとともに、今後、議員としての資質をもっと高めてかなくてはならないと痛感しました。





【講演3】「地方創生と地方議会の役割」

講師 読売新聞東京本社編集局企画委員  青山彰久 氏


所見報告書 文責:館山市議会議員 森 正一

「地方創生と地方議会の役割」というテーマで、
 読売新聞東京本社編集局企画委員である、青山 彰久氏による講演を聴講した。
 以下に講演の内容を報告する。


1.地方議会と地方議員

○地方議会は「住民の広場」=「地域住民の考えを映す鏡」
県、市町村は国の下部組織ではなく、自立した立法、行政県を持った地方政府であり、
主権者は地域住民である。
首長と地方議員は住民意思の代表機関で、住民の意志に基づく住民サービスを提供するのが地方自治体の役割。
すなわち、地方議会は「住民(市民)の広場」である。

○地方議員は「地域づくりの専門家」
地方議員に期待する役割は、「住民の生活感覚」を基に、役所文化では生まれない「感性・生活の知恵・専門的な技術と技能」を備えた地域全体を政治的に統合する専門家、という姿である。



2.地方創生と地方自治のいま

○「いまがチャンス」という見方と、「国が決めて地方が従う時代(上下主従の時代)へ逆戻り」という見方の両面が同居している。
○自治体には以下の3つのパターンが存在している。

①「いまがチャンスだ」派
国に身を寄せてなんとか国からお金をもらおう
②「自分のことは自分でやる」派
なんだこれは?こんなことをしてまでお金をもらおうとするんだ。自分のことは自分でやる!
③「面従伏拝」派
仕方がないから従うふりをしよう(確かに喧嘩する必要はないが)



3.地方創生における3つの論点

(1)(地方議会は)国に顔を向けるのか、住民に顔を向けるのか?

日本創生会議の増田寛也氏は地方版総合戦略を一番初めに策定した京都府京丹後市のケース(国にいい顔をしようとした実現性の無い中身)を批判している。
このようなことが起きてしまう原因は、自治体計画が「地方創生交付金」の交付と直結しているという点にあり、特定財源主義の限界、即ち「国の意向をおもんぱかる」「他自治体と競う」という圧力によるものである。
「交付金目当てに国に顔を向けるだけになっていないか?」という点検(計画内容の吟味)が必要である。


(2)地域活性化は数字なのか?

政府は「ばらまき」という批判への懸念から、自治体政策に数値目標(KPI)を求めている。そのため地方自治体は形式的な目標達成主義と過剰な数値目標崇拝に陥り、その副作用として、
①地域政策の基本である「息の長い取り組み」の軽視
②地域活性化を数字で把握すると言う虚妄
が起きてしてしまう。

地域づくりとは、数字ではなく地域に対する人々の情熱知恵と努力の結集であり、多様性に富む地域をつくる政策は自治体が自ら立案してその責任を負わなくてはならない。
そして、「ばらまき」「無駄遣い」をチェックするのは中央政府ではなく地方議会の責任なのである。


(3)地域の活性化は経済が全てなのか?

○「ローカル・アベノミクスの浸透」を掲げる安倍内閣は「地方創生」=「地方活性化」とみなす傾向がある。
○地方議会はもう1つの座標軸を、地域住民と一緒に地域政策に取り入れる議論をする必要がある。

・経済の活性化が必要としても、大切なのは単純な雇用の創出ではなく「地域の中で金が回る仕組み」であり、地域からの富の流出を避けなくてはならない。
・経済だけに目を奪われず「人口が増えなくても安心して暮らし続けら れる支え合いの仕組み」をつくることが大切なのである。



4.「脱工業化」「脱都市化」「田園回帰」の概念

昨年の「農業白書」の中で、「若い世代の田園回帰」を冒頭で特集している。
今、若者たちが農山村に関心を高めてきている。

2007年に「地域おこし協力隊」がスタートした時には89人であったものが、現在では全国で2,000人を超え、爆発的に増えている。

その理由は何か?いくら頑張っても会社が上手くいかない、給料が上がらない、自分の働いている意味は何なのか?このような若者が増えて来ており、そこで自分の役割がはっきり見えるところに行ってみたいというのが、地域おこし協力隊の増加のロジックである。

これまでは「もっと便利に、もっと豊かに(もっとお金を)」ということを根底に、「工業化、都市化、人口増加」が3点セットで進んできたが、これからは「脱工業化、脱(逆)都市化、人口の減少・定常化の時代」へとシフトして行く。

つまり「もっと便利に、もっとお金を」という価値観から、「生活の質や美しさや豊かさ」を求める時代に、そして人口が増えなくても、人々が安心して暮らし続けられる社会の仕組みを考える時代へと変わってきている。

イギリスでもイタリアでも、都市の人口は微減、農山村の人口は微増になっているという事実がある。
「共同体に中に暮らす幸せ」「自然と折り合って生きる豊かさ」に若者達が目を向けるようになってきている。



5.「地方創生」とは「住み心地よき地域をつくる」こと

「地方創生」とは、私たちの祖先がしてきたように、山を守り、農地を守り、海をきれいに維持し、国土の成り立ちと伝統を守り、それを誇りにして地方で生活する人たちを心から尊敬して応援する都市住民を増やしていくことにほかならない。

そのことにより、地方居住のムーブメントを起こし、出生率の向上と多様な価値観を育み子育て環境を実現することが重要である。

○自治体消滅論に惑わされてはいけない
 ・住民が法人格を放棄しない限り、国は自治体を消滅させられない
 ・自治体は国が提示する政策を見極め選択し、現場に即した総合政策を立案
 ・国は地方政策に過度に関与せず、人口減少社会の基盤になる基本法制の整備に専念を

○単純な「公共サービス縮小路線」に陥ってはならない
  安心して暮らせる地域、人間らしく暮らせる地域を目指し、
  対人公共サービス(子育て・教育・福祉・住宅)の充実が今まで以上に必要

○「経済成長がすべてなのか?」と考え直せ
 ・若い世代の低出生率は、経済拡大・成長だけを求めてきた施行と政策が限界に来た結果
 ・雇用が増えたように見えても、非正規労働を増やすだけならどうなるか
 ・地域外の企業が稼ぎ、地域の富が流出するだけだったらどうなるか

○子どもを生み育てやすい地域(=人間にとって住み心地のいい地域)とは
 ・人のつながりを大切にする地域
 ・地域の需要と資源を基に地域内でお金が回る仕事が住民参加で増える地域
 ・暮らしに必要な公共サービスの立案と供給が住民参加で充実する地域
 ・歴史を大切に、景観が美しく、学校教育や住民の文化活動が活発な地域
 ・農山村を維持しながら、都市と農山村が連帯し、環境と生活文化を大切にする地域



6.「地域の力」とは

「地域の力」を「みんなにとっての協同の危機を協同で解決する能力」と定義すると、次の3つの要素から成る(東大の神野直彦教授の言葉)。

①共生する力 → ともに生きていこうとする人々の力がどれほど強いか
②参加する力 → 問題の解決に向け、傍観者とならず参加する人々の力がどれほど強いか
③帰属する力 → 自分の住んでいる地域に帰属し住み続けていこうとする人々の力がどれほど強いか



(所感)

私自身「地方創生」に関してこれまで、「地方創生における3つの論点」ということで講師が疑問視されておられたように、
①住民に顔を向けるというよりむしろ国に顔を向け
②形式的な目標達成主義と過剰な数値目標崇拝に陥り
③地域の活性化は経済が全て
という間違った考え方を持っていたということを痛感しました。

「地方創生」とは「住み心地よき地域をつくる」ことであり、今後、講師が述べられたこの本来の意味での「地方創生」を実現できるような活動を目指していきたいと思います。





【講演4】「人口減少時代の地域づくり」

講師 弘前大学大学院地域社会研究科 研究科長・教授 北原啓司 氏


所見報告書 文責:館山市議会議員 石井敏宏

「人口減少時代の地域づくり」というテーマで、
 弘前大学大学院地域社会研究科 研究科長・教授 北原啓司氏による講演を聴講した。
 以下に講演の内容を報告する。


1 成長社会から成熟社会へのシフト

日本は既に成長社会ではなく、成熟社会になっている。
ゆえに、成長社会のモデルから脱却し、成熟社会のモデルに変えなくてはならない。

成長社会のモデルはアメリカであり、グローバル化であった。
そこは、スピード重視でサービスが均質化した市場であった。
いわゆる「量」の社会ともいえる。

一方、成熟社会のモデルはヨーロッパであり、ローカル化である。
そこには、スローな流れ、個性のある文化がある。
また、このモデルは身の丈に合ったものであり、生活感と合致し、持続可能性を持っている。
いわゆる「質」の社会である。


日本は東京一極集中と言われるように地方の人口は都市部に吸い上げられていくのが当然のように感じられる。
しかし、ヨーロッパは違って、人口500万人を超える都市は非常に少ない。
ゆえに、ヨーロッパモデルを追求すれば、日本の地方にも活路は開ける。



2 成熟社会のマネジメントとは

成長時代は新しいものを建設していたが、成熟時代には今あるものを大事に有効活用していくべきである。
だから「まちづくり」という言葉も、「まち育て」とイメージした方がよい。

地域も、単なる居住の場ではなく、触れ合い、交流し、社会参加できる環境にしたい。
また、各地域の個性と歴史を大事にした地域活性化を試みたい。特に、田舎が都市化を目指す愚は避けたい。



3 地方創生

地域おこしは今までもやってきたが成果につながっていない。
補助金をもらって、地域おこしを行ってきたが、補助金が切れた後のことを考えず、失敗してきた。
補助金の活用の仕方も再考しなければならないし、そもそも補助金への依存はいかがなものかと思う。

コンパクトシティーであるが、無理やり小さいところに集約するのはできない話である。
それよりも、各地域の連携を強め、お互いの長所を共通に利用しあって、共存共栄をしていくべきである。

事例としては、岩手県北上市のコンセプトである「あじさい型集約都市」が参考になる。
各地区を1つの花にたとえ、市全体を大きな花にすることからこの名称になった。


他に、地域活性化の例としては、富山市の公共交通であるライトレールも参考になる。
このライトレールが各地域をつなげたことにより、各地域に活気が出てきた。

地域活性化の基本理念は、古代ギリシャ時代と同じである。
「私たちは、この都市を、私たちが引き継いだ時よりも、損なうことなく、より偉大に、より美しくして、次世代に残します」というアテネ人の誓約は、現代の「まち育て」の基本理念にもなる。



<所見>

この講演は「地域活性化」であり、「経済活性化」ではなかった。
確かに、地域コミュニティーの向上、心地よい満足感のある環境を作り出すことは可能だと思う。

しかし、地方がより求めているのは「経済活性化」であり、
つまり若者が生計を営むことが出来る収入を得られる仕事の場をつくることである。
それゆえ、地方経済をどうすれば活性化させることが出来るのかという難しい課題が残ったままである。









 
2016-03-30 up
たてやま21・緑風会
議員間討議に関する研修報告書
文責:館山市議会議員 石井敏宏

   館山市議会議員 森 正一

文責 館山市議会議員 榎本祐三



<目的>
議会改革において、議員間討議(議員同士の議論)というのは最重点課題であるが、
現実にはなかなか活発にならない。
そしてこの悩みは全国の地方議会でも同様である。
どのような議事進行をすれば、議員間討議を実現できるか。
実際に委員会形式で議員間討議を体験する研修会であったので参加することにした。



<研修について>        
研修テーマ: 議会を変える議員間討議【実践編】
主催: 市民と議員の条例づくり交流会議
場所: 法政大学市ヶ谷キャンパス
日時: 平成28年3月27日(日) 13:00~16:40



<研修内容と所見>
13:00~ 
2015年の1年間について全国自治体議会の運営に関する実態調査の中間発表

①傍聴者の発言を、制度化したり、委員長の裁量で休憩中に行うなど、
何らかの方法で認めたのは全体の約1%と、極めて少ない議会しかなかった。

②首長提出議案の審査で、議員間討議を何らかの形で実施したことがある議会は全体の約22%と、
まだまだ少ない状況である。

*ちなみに、議会が附属機関を設置できるかについては議論があるが、
実際に三重県では議会改革諮問会議設置条例があり、会津若松市では議会制度検討委員会があるが、
現実として地方自治法違反とはされていない。


13:10~ 
議会を変える議員会討議の基調提起
廣瀬克哉 法政大学教授

議会が議場で何をしているのか、相変わらず市民に伝わっていない。
そもそも、「議会の本務」とは何か?それは「議論」である。
このことを、理解していない議員が多い。

議論をしなければ、市民に議決結果の理由について尋ねられても、納得させる答えは出来ない。
本来は非常に重要である議会の最終日が、式次第通りに進行するだけ、
そして毎回、首長提出の議案が全て原案可決、
さらに、議会報告会でも行政職員の事業説明のようなことを繰り返す議会がまだまだ多いが、
それは、議会の本務である「議論」をしていないからである。

また、議会を活性化させるには、傍聴者に意見を言う機会を与え、
議員達がその意見を十分に活用すべきである。
多くの意見を集めれば、それだけ議論のレベルも上がるものだ。
ゆえに今回は、①傍聴者の意見を聴いた上で、②議員間討議をする「模擬委員会」を行う。


13:25~ 
模擬委員会

(1)やり方
参加者72名(議員51名・市民21名)を3グループに分ける。
各24名くらいの3グループになる。

議事進行をする「委員長」・答弁をする「執行部役」・ボードに記録をする「書記係」は、
主催している市民と議員の条例づくり交流会議の会員が務めた。
議論をする「委員」は6名で、参加者の中の希望者を選んだ。
それ以外の参加者は「傍聴者」となった。
委員会の座席とテーブルは議論がしやすいように四角形に配置した。


委員会の次第は以下の通りである。

1、執行部より議案説明〔5分〕
すでに、議案書は委員・傍聴者を含め全参加者に配布されている。
3グループ共通の首長役は、廣瀬教授が務めたが5分程度の議案説明をするだけである。

2、委員から執行部への質疑〔20分〕
6名の委員がおのおの執行部に議案に関しての質疑を行う。執行部役には予め想定問答集が渡されている。
書いていないことは、執行部役の人がアドリブで対応した。

3、傍聴者と委員の意見交換1回目〔15分〕
議事進行としては、委員長が、一旦「休憩」という形をとり、そこで傍聴者に意見を求める。
注意点は、傍聴者が執行部に質問するのではなく、委員達に意見を述べることである。
傍聴者は、議案についての意見の他に、委員たちの質疑に足りない部分があれば、それを指摘する。

4、委員から執行部への再質疑、その後、議員間討議1回目〔20分〕
議員間討議という用語を用いたが、委員会なので、委員同士の議論である。
後ほど、2回目の傍聴者の意見聴取と、2回目の議員間討議が予定されているので、
最終結論的なものではなく、委員同士の意見交換や、議案について良い点や問題点、
そして争点についての情報共有となる。

5、傍聴者の委員の意見交換2回目〔15分〕
1回目と同じ議事進行になる。
ただし、執行部は退席するので、再質疑はなく、委員同士の議論に反映する為に、
傍聴者から意見を言って頂く形になる。

6、休憩〔10分〕
これは、普通の休憩であり、トイレや雑談、委員は議員間討議に向けて頭の整理にあてる時間でもある。

7、議員間討議2回目〔20分〕
議員同士が結論に向けて、議論を行う。
時間内に、賛成・反対・修正・継続審査の立場を全ての議員が表明しなくてはならない。
全員一致であれば、採決でそれを確認し、委員会は終了となる。

8、討論・採決〔10分〕
委員間で意見が分かれた場合、討論を行い、採決で結論を出し、終了となる。


(2)実践
3つのグループのうち1つの実例を紹介する。


1、執行部より議案説明〔5分〕
まず、議案はフィクションであるが、実際にいくつかの市町村であった事例をミックスして
作ったものであり、問題点や争点を含んだ設定になっている。

議案は、「上嶺市人口ビジョンの策定について」であった。
上嶺市は架空の市であり、また、人口ビジョンというものは、
条例で議会の議決事件に加えることが出来るので、今回の模擬議案となった。
ちなみに、人口ビジョンを議決事件に加えている事例はほとんどなく、
廣瀬教授は議決した方が良い案件だったと述べている。

議案には、子育て支援の充実、空き家の利活用、人口減少の歯止めをかけるなど無難な内容の他に、
「莫大な財政負担のかかる新駅建設および新駅周辺地域の開発計画」が含まれており、
ここが問題視され、争点となった。


2、委員から執行部への質疑〔20分〕
委員からの質疑は、手法も内容も、館山市議会でも行われているものと同様であった。
委員は一般市民も含まれるが、多くは各地方議会の議員達であったので慣れたものだった。
執行部役も知識と経験が豊富な議員がこなしていたので、執行部風の答弁を繰り返し、
見事に執行部役を演じきっていた。


3、傍聴者と委員の意見交換1回目〔15分〕
傍聴者から委員達に、議案の問題点や不足の点、
また執行部への質疑で抜けていた点や追及が足りない点の指摘があった。
傍聴者も議員が多く、また市民も議会に詳しい人が多かったため、なるほどと思う指摘が多かった。


4、委員から執行部への再質疑、その後、議員間討議1回目〔20分〕
委員達は、傍聴者から質疑をしてほしいと要望された事と、自分でさらに必要とする情報を得る為に、
執行部への再質疑を行った。
傍聴者の意見を聴くことと、再質疑をすることによって、審議をするのにより多くの情報を得ることが出来た。

議員間討議では、「新駅開発の是非」と「市としてどういう将来を目指すか」という点の発言が多かった。
また、子育て支援・教育・企業誘致・高齢者福祉など幅広い意見が出された。
しかし、この時間内ではまだまだ議論は不十分であり、争点整理もされていなかった。


5、傍聴者の委員の意見交換2回目〔15分〕
ここでも様々な意見が出された。
その中で、重要論点は「新駅開発の是非」と「市としてどういう将来を目指すか」の2点ではないかと、
争点整理をしてくれる傍聴者も現れ、2回目の議員間討議に役立った。


6、休憩〔10分〕
これは、トイレなどの普通の休憩だが、近場にいた議員や市民との、議会に関する情報交換は有意義であった。


7、議員間討議2回目〔20分〕
6名の委員のうち、5名が新駅建設という大型公共事業に対して財政上無理だという結論に至った。
1名の委員は、新駅建設は人口増につながる可能性が十分にあると肯定的であった。
ゆえに、反対多数の部分が含まれている議案となるため、この人口ビジョン案は否決か修正ということになる。

そこで、原案可決はないが、単に否決をするだけというのは地方創生の交付金がもらえなくなるので
望ましいことではなく、なるべく修正すべきという合意に至った。

とはいえ、新駅開発だけ削除する修正ではなく、「市としてどういう将来を目指すか」をもっと話し合い、
さらなる内容の追加と変更も含めて検討したいということで、全員一致の結論は「継続審査」となった。
ただし、人口ビジョンの国への提出は期限が迫っていることから、次回委員会を速やかに開催し、
そこで委員会として修正案を確定させるという合意もなされた。


(3)3つのグループの結果
3つのグループとも委員会の結論は、原案可決は無理というものであった。
うち2つが継続審査、1つが否決となった。
しかし、単なる否決ではいけないと、3グループの委員会のいずれも修正案を真剣に模索した。



所見

模擬委員会とはいえ、実に有意義な議員間討議であった。

これを実際の委員会で出来ないのは、主に3つの理由があると考えられる。
1、利害関係で自由に発言ができない。
2、修正や否決をすると執行部の邪魔をしてしまうのではないかという議会側の遠慮。
3、会派拘束があり結論が決まっていて変更できないことから、議論への意欲が欠けてしまう。

逆に、今回の模擬委員会で充実した議論が出来たのは、以下の理由だと思われる。
1、架空の設定なので利害関係なく正論が言える。
2、執行部の邪魔をしてしまうのではないかという議会側の配慮はあった。
しかし、執行部への質疑や情報提供の要請をすることによって、十分な情報を得られれば、
むしろ執行部より議会の方が的確な結論を出せるという意識を持った参加者が多かった。
3、初めて会った人がほとんどなので、
会派なし・派閥なし・党議拘束なしというゼロからのスタートであり、捉われる前例もなかった。


今後の館山市議会への提案であるが、まずは委員会の議事進行において、
質疑と討論の間に「自由討議」という時間を設けてはいかがであろうか。

議員間討議は、陳情・請願・決議案についてはそれなりに行われているが、
市長提出の議案については、全く行われていない。

最初は機能しないかも知れないが、まずは、「自由討議」という時間を設けて、試しにやってみることである。
傍聴者の発言についても、出来れば、取り入れた方が良いが、
自由討議も含め、いっぺんにやるのは難しいので、1つずつコツコツと議会改革を進めていきたい。

この模擬委員会は議員間討議のイメージをつかめるし、何よりやっていて充実感がある。
「議員間討議の実践」というテーマの研修会があれば、議員はもとより、市民も是非参加してもらいたい。

今回主催した「市民と議員の条例づくり交流会議」の企画は実に見事であった。







 2016-01-29
たてやま21・緑風会 
平成27年度 市町村議会議員特別セミナー 参加報告書
館山市議会議員 森 正一(会派 代表)
館山市議会議員 榎本祐三(市議会議長)
館山市議会議員 石井敏宏(会派幹事長)

1.
目 的
  市町村アカデミー主催「平成27年度 市町村議会議員特別セミナー ~自治体経営の課題~」に参加
  今後の議員活動の資とする。



2.スケジュール
  平成28年1月18日(月)
    9:11 JR館山駅発
   12:00 会場着・入所手続き・昼食
   13:00 開校式・諸連絡

   13:30 講演1「これからの政治の行方・2016サミットと参院選の展望」
         講師 読売新聞メディア局編集委員
            伊藤 俊行 氏

   15:15 講演2「今後の日本経済の展望」
         講師 千葉商科大学学長
            島田 晴雄 氏
   

  平成28年1月19日(火)
    9:00 講演3「地方創生と地方議会の役割」
         講師 毎日新聞論説委員 
            人羅 格 氏

   10:45 講演4「地方議会をどう変えるか ~政治の役割~」
         講師 中央大学経済学部教授
            佐々木 信夫 氏  

   12:20 会場発
   13:03 JR千葉駅発
   15:15 JR館山駅着



.講演内容報告
作成:石井敏宏  講演 1 2016年 サミットと参院選の展望 講師:伊藤 俊行氏
作成:石井敏宏  講演 2  今後の日本経済の展望  講師:島田 晴雄氏
作成:森 正一  講演 3  地方創生と地方議会の役割  講師:人羅  格氏 
作成:榎本祐三 講演 4  地方議会をどう変えるべきか  講師:佐々木 信夫氏 







【講演1】「これからの政治の行方~2016年サミットと参院選の展望~」
      講師 読売新聞メディア局編集委員 伊藤俊行氏

「これからの政治の行方~2016年サミットと参院選の展望~」というテーマで、
読売新聞メディア局編集委員 伊藤俊行氏による講演を聴講した。

以下に講演の内容を報告する。
(作成:石井 敏宏)

1、はじめに

新聞の購読数は現在、約4千万部であるが、10年前に比べて約900万部も減っている。
特に、ここ1年間は朝日新聞が約60万部の減、読売新聞も約50万部と激減してしまった。
減っている理由は、3・11直後の不正確な報道やダブル吉田問題が考えられるが、それだけではない。

タワーマンションでは各部屋への戸別配達が出来ないことから、
新聞配達の注文が減っているという状況もある。
また、人口減もある。
そして、配達員の人員確保も難しくなり、5時に配達が出来ないことも増え、
配達遅延ゆえに新聞購読をやめてしまう人も出た。

かつて、購読者が増えていた時代に、新聞は幅広い購読層を獲得する為に、真ん中の立ち位置を取っていた。
しかし、購読減の現状においては、立ち位置をはっきりさせ、主張が鮮明になってきた。
言い換えると両極端の極論に近づいていくことから、読者の考えにも偏りが出てしまうのも心配だ。

一般的に、読売新聞・産経新聞は右寄り、
日経新聞は真ん中、朝日新聞・毎日新聞・東京新聞は左寄りの論説をすると言われている。

一方、紙媒体ではなく、ネットでの配信も増えている。
ネットでは、ヤフーなどキューレーションサイトが人気により記事の優先順位を決めている。
例えば、「中国・嫌だ」というキーワードを入れると記事に人気が出て、よく読まれるようになる。
そうなると、より偏った新聞になってしまう。
このことから、世論が極論に走ってしまうことに危惧を覚える。

しかし、新聞が、自らの立ち位置をはっきり示した上で、明快な主張をすることは悪いことではない。
ただ、読者は偏った考えを持たない為には、1紙だけではなく2紙を読むことが望ましい。



2、
2016年の政治展望

政権与党は過去20年の参院選で、2001年の小泉政権と2013年の安倍政権の2回しか勝っていない。
国民は総選挙で勝った与党に対して、参院選では厳しい投票態度を取ることにより、
バランスを取る傾向がある。
つまり、参院選は基本的に与党に厳しい。

今年、2016年はサミットが日本で開かれるが、政権浮揚効果はない。
成功して当然と国民は思っているので、失敗した場合に失点になるだけである。
ただ、安倍総理は外交を得意としており、サミット以外では支持率を高める可能性もある。

さて、7月に衆参同日選があるかどうかであるが、一見、安倍政権は同日選をやりたがっているように見える。
そもそも、安倍総理には、衆参のねじれを起こさない為には同日選が良いという持論がある。

また、内閣改造で支持率が上がることは少ないが、安倍政権の直近の改造では支持率が上がったことからも、
同日選は与党に利があるように思える。
過去、自民党は1983年と1986年の2度とも、投票率が上がった衆参同日選で勝っている。

当時の野党の社公民は組織型であり、投票率が高ければ自民党に有利であった。
しかし、現状は与党の公明党は組織型であり、また無党派層は自民党政権に批判的かも知れないので、
与党の自公にとって、一気に野党転落もありうる同日選はリスクが高い。

18歳と19歳の有権者であるが、全有権者の2%に過ぎず、
また、若者の投票率は低いことから影響は大きくないとみる。

しかし、選挙権を手にした1回目の投票率は高いとも言われることから侮れない。
また、国会前デモに若者が見られたように、若者の政治意識の向上もありうる。

なお、野党間で共産党との候補者調整が行われているのも、与党にとっては不気味である。
前回の衆院選で自民党が勝ったうちの、50選挙区では2万票差以内であった。

共産党は各選挙区でだいたい2万票持っていることから、
これらの選挙区で勝敗がひっくり返るケースが続出するかも知れない。

与党にとっても同日選のメリットは野党再編の遅れにある。
また、アベノミクスが失速した場合、消費税を10%に増税するのを先送りし、
増税先送りを争点に同日選を行えば圧勝も考えられる。

あるいは、同日選というのはブラフかも知れない。
2014年において、野党は松島大臣や小渕大臣のスキャンダルを追及して、解散に持ち込んだが、
それでも衆院選で負けてしまったというトラウマがある。

スキャンダルを追及したら、与党に解散をされて、また負けるのか、と野党議員には不安も見られる。
現に、1月18日時点では、国会論戦は低調である。

安倍首相は案外、憲法改正にこだわっていないのかも知れない。
集団的自衛権も解釈変更により、限定的に行使できるようにしたことに満足している。
また、日露平和条約が最もやりたい事だと思われる。

さらに、憲法改正手続きは数年かかることから自民党総裁の任期切れになってしまうかも知れないし、
野党に消費増税で批判されると、憲法改正にも支障が出ることが懸念される。このことから、
憲法改正にこだわらなければ、同日選にさほどの意味はなくなる。



3、
安倍政権の成果と課題

安倍政権はアート(政治技術)とサイエンス(正しい政策)のバランスが悪い面も見られる。
安保法制は公明党に妥協して使い勝手の悪いものになってしまった。
なお、外交も関わる案件は、政権交代があってひっくり返ることは望ましくなく、
安保法制は本来なら野党第1党の賛成は欲しかった。

現に、小泉政権では有事法制で、野党の理解を得る為に、足掛け2年をかけたので、
民主党政権でも見直し論は起きなかった。
また、軽減税率も公明党に押し切られてしまった。
本来、低所得者対策は累進性のある直接税で行うべきものであるのに、
フラットが原則の間接税で行う筋の悪い政策になってしまった。

小選挙区制になってから1年生議員が増えた。
そして、2期目で落選することも多くなった。
つまり、経験の浅い議員が増え、アート(政治技術)の低下が見られる。
若手議員のサイエンス(正しい政策)はレベルが高いが、相手を説得する技術、いわゆるアートは弱い。
サイエンスで論破しても、相手はメンツを潰され、同意を得られない。

小選挙区制の現状では、有権者数に占める絶対得票率が4分の1でも、4分の3の議席を得ている。
安保法制では4分の3が説明不足と感じている。
説明が足りていると感じているのも4分の1で、絶対得票率と因果関係があると思う。
4分の1の支持で政策が決まっていくとなると、4分の3は無視されるということになり、選挙不信を招く。

一方、小選挙区制は、みんなにいい顔をしたくなり、
嫌がられるが必要な政策を採用しなくなる傾向も見られる。
例えば、国際テロ防止条約に批准する為には、共謀罪を制定すべきであるが、
不人気な政策であることから先送りになっている。

また昨年、批判を受けた安保法制についても実務を進めていない。
これぞ、ポピュリズムである。現在の安倍政権もポピュリズムから逃れられていない。

また、小選挙区制は2大政党化を目的としているが、現在の日本は多党化している。
小選挙区制を日本より先に始めて、先に止めたイタリアも多党化してしまった。

価値観が2つならばいいが、価値観が多様な国では小選挙区制を導入しても2大政党にはならない。 
ゆえに、小選挙区制はやめて、別の選挙制度に変えた方が良い。



4、
急務の統治機構改革

現状、平均すると2年未満で国政選挙がある。
これだけ選挙の頻度が多いと、ポピュリズムに陥り、厳しい政策を採用しづらくなる。
また、身を切る改革として議員定数を減らしているのも問題である。

諸外国と比べて、日本の国会議員数は既に少ない。
複数の委員会のかけもちをしている議員も多く、委員会の日程調整に苦慮し、
委員会の開催日数が減っている有様である。

一方、政党助成金は好き勝手に使え、しかも不透明である。
イギリスでは、野党に政権担当能力を持たせる為、
野党第1党に政党助成金が多く分配される仕組みになっている。

ドイツにおいては、政党そのものではなく、
政党が持っている政策シンクタンクに給付される仕組みになっている。
日本の政党助成金は320億円であるが、政党助成金のあり方を見直す必要がある。


<所見>
講師はやや保守的・右寄りの思想を持つようであったが、敢えてそうした色は封印し、理路整然と客観的に、
政局や選挙制度などについて解説をしており、大いに参考になるものであった。

                       石井 敏宏





【講演2】「今後の日本経済の展望」
      
講師 千葉商科大学学長 島田晴雄氏

「今後の日本経済の展望」というテーマで、千葉商科大学学長 島田晴雄氏による講演を聴講した。

以下に講演の内容を報告する。
(作成:石井 敏宏)


1、
はじめに

先進国で20年間もデフレが続いているのは日本だけである。
デフレは1年や2年ならいいが、長く続くと死に至る病だ。

デフレだと、もっと待てば価格が下がることから購買意欲が下がり、消費が減り続ける。
消費低迷が続くとなれば、投資も減る。さらには、給与も減るという悪循環に陥る。
財務省と日銀に任せていた結果、デフレは脱却できなかった。
それゆえ、政治主導が必要であると安倍政権は考えた。
インフレは、お金の価値が減っていくから、なるべく早くモノを買いたいという動機が生まれる。
消費が増え、投資も増える。そして、給与が上がるという好循環になる。



2、
アベノミクス4年の評価

(1)第一の矢 異次元金融緩和の成果とリスク

安倍政権が任命した日銀の黒田総裁は、国債を大量に買い、
ベースマネーを2倍、約130兆円を270兆円にした。
簡単に言うと、お金を大量に印刷してまけば、円の価値は落ち、インフレになると見込んだわけである。

金融緩和を始める頃、最初は外国投機家が激しい円売りをした結果、2ヶ月で20%も円安になった。
そのことから、輸出企業は円安差益で儲かった。
なお、輸出企業は長く続いた円高時代に海外に移転が進んだことから、輸出量は増えなかった。
また、株式も最初は外国投機家が激しく買いに走ったことにより、株高の流れが出来た。

大企業は儲かり、内部留保は50兆円にも膨れ上がった。
一方、家計には恩恵がなく、輸入品の価格高騰にも苦しめられた。
とはいえ現状、目的としてデフレ脱却は出来ていない。
それは中国経済の失速が原因で原油価格が下がり、1バレル25ドルにまで落ち込んだ。
そのためインフレにすることが出来なかった。

リスクとしては日本国債の暴落の可能性を否定できないところである。
かつては、外国人の日本国債保有者は数パーセントであるが、現在は11%にもなっている。

11%が激しく売りに出れば、国債価格が下落し、金利も上がる。
国債の金利が5%上がったとすると、日本の財政は持たない。
なお、日銀が大量に買った国債はいずれは償還しなければならない。
その時に景気悪化が考えられる。



(2)第2の矢 積極財政の効果とリスク

安倍政権になってから、積極的な財政支出を行った。
その結果、景気も良くなり税収も増えた。
しかしながら、名目GDPが3%もの増加を続けても、財政のプライマリーバランスの赤字は解消できない。
現実には、そんなに大きな生産性向上も難しく、人口減もあることから、期待される成長率は1%未満であり、
財政再建は困難である。

なお、国民負担は現在40%であるが、社会保障費の増大から将来的には73%になるという推計もある。
国民負担73%というのは、
具体例では、500万円の年収だと手取りが138万円しかなくなるということだ。
日本の未来は厳しい。



(3)第3の矢 成長戦略への期待

成長戦略2013と2015は似たようなもので、あまり評判が良くない。成長戦略2014は評判が良い。
以下、成長戦略の中味と課題に触れて行く。

☆岩盤規制の緩和に取り組んだり、健康を産業戦略に取り入れるなど新たな発想もあった。
☆雇用調整助成金を打ち切り、ゾンビ企業を淘汰した。
☆TPPは14兆円の経済効果がある。自動車・機械は、今まで閉鎖的であったアジアの市場に入っていける。
☆農業では減反政策の廃止を行った。
 今後は農地の集約を行い、零細農家ではなく、巨大農家と企業が生産性を高めた方が良い。
 その他の小さい農家は、健康農業・観光農業・教育農業を行えばいいのではないか。

☆労働者は時間給だと、成果を出しても給料がたいして変わらないことから、技術革新が起きない。
 ホワイトカラーは、海外のように、経営・企画に専念させ、成果主義を徹底した方が良い。
 日本企業の利益率は低すぎるが、そうすれば利益率は海外並みに上がる。
☆太陽光・風力・バイオマス・地熱・波の力・小水力(例、田んぼの水車)などの
 自然エネルギーに成長への潜在力がある。
 その為には国として送電線の整備が必要だ。
☆大学の活用と言うが、大学は使い物にならない。
☆地方創生は、総合戦略がどの自治体も同じようなもので、期待できない。



3、
その他
軽減税率は論理破綻している。金額ベースでみると、高所得者が得するようになっていおり、
低所得者の為にならない。
安倍政権は公明党の言う事には弱い。


<所見>
アベノミクスは、賛成と反対がはっきり分かれる。
今回の講師は、全体的に肯定的だが、逆の意見を言う否定的な学者や評論家も多い。
講師は物事を決めつけるタイプのようであり、理論的には詰めが甘いように感じたが、
話は興味深く有意義な講義であった。

                      
石井 敏宏






【講演3】「地方創生と地方議会の役割」

       講師 毎日新聞論説委員  人羅 格 氏

「地方創生と地方議会の役割」というテーマで、
毎日新聞論説委員である、人羅 格(ひとら ただし)氏による講演を聴講した。

以下に講演の内容を報告する。
(作成:森 正一)


(1)
地方創生と地方議会

2014年5月、日本創生会議の人口減少問題検討分科会(座長:元岩手県知事、元総務大臣 増田寛也氏)が
「消滅可能性自治体リスト」を発表した。

その中で全国約1,800市町村のうち、約半数におよぶ896の自治体が実名で公表された。
これは、今後自治体としての運営が厳しいのではないかと言う警告であり、大いに注目を浴びたところである。
これを受け、政府として「地方創生」という取組みを始めた。
そこで石場茂氏を担当大臣として「まち・ひと・しごと創生本部」を立ち上げ、地方創生の取組みを進めている。

しかしながら、地方創生に対する取組みに関しては、いろいろな交付金もたくさんあり、
また、あちこちでいろいろな取組みがなされており、ポイントが絞りにくいという印象が強い。
今年の3月までに「地方版総合戦略」・
「地方版人口ビジョン」を作ることになっている(館山市では昨年10月末に作成済み)。

それぞれの地方自治体の取り組みに応じて、国から2015年度の補正予算で1,000億円(全額国費)、
2016年度当初予算で1,000億円(事業規模2,000億円、半額国費)交付金が出る予定。
2015年度補正予算に関しては、3月、4月までに配分を決定しなくてはいけないので、
各自治体に事業の申請が無いか呼びかけをし、出てきた事業に応じて配分をしていくようである。

現在国のほうでは、観光や日本版CCRCなどに力を入れており、
この関連に予算の配分が傾斜していくと思われる。
また、その一方で「小さな拠点」と言う考え方があり、一つ二つの中心となる地方の拠点に、
介護・医療・店舗など生活支援となる施設を集約していこうという発想があり、
これに国が支援していこうという動きもある。

国の動きは以上のようになっているが、地方議員からよく聞かれることは、
「地方創生に対して、地方議会は何をすれば良いのか?」、
「大事なのは分かるが、どう関与して良いのかわからない」ということであるが、これはもっともな事である。

実際には、地方議会が総合戦略の策定などにおいてどのように関与するかと言うことが
法律的に定められておらず、政府の作成した手引きでは「地方版総合戦略については、
議会と執行部が車の両輪となって推進する事が重要であることから、各地方公共団体の議会においても、
地方版総合戦略の策定段階において、十分な審議が行われることが重要である」とされているが、
議会としての関与の仕方については今一不明瞭である。

このように地方議会が総合戦略にどのように関与していくべきか、法的な規定は無いが、
意識的に取り上げて検証していくことが大切である。
また、当然、総合計画・基本計画と重なるものなので、整合性を保つことが重要であり、
修正や変更が出てくるので、ここに議会として係っていく役割が生じ、
その存在感を出していく事が重要である。



(2)
2015年 統一地方選挙の分析

昨年の4月にあった統一地方選挙において、2つの大きなポイントがある。
まず一つに、地方議会に限ったことではないが、投票率が振るわなかった。

今回市議選としては初めて投票率が5割を割った(48.62%で過去最低)。
道府県議選、政令市議選、東京都議選、町村議選とも軒並み過去最低を更新した。

また、もう一つは無投票当選が増えてきていることである。
市議選に関しては、無投票選挙は全体の3.6%と数字的には低いが、前回から倍増している。
特に町村議会に関してはさらに顕著に無投票当選が増えており、総定数の約22%がこれにあたり、
5人に1人が無投票で当選している。

中には、立候補者数が定数にも満たず、定数削減を実施した切実な自治体もある。
さらには、女性議員の増加も鈍く、前回の12.8%に対し、微増の14.1%に留まった。
2030年までに3割くらいまで増やしていくということであるが、なかなか厳しそうである。
やはり期待していたほど劇的には女性の参入は進まなかった。

これらのことから、この結果が何を示唆しているかと言うと、議員になると手を挙げ易い状況ではないことと、
人材の発掘がしにくい状況がうかがえる。
供託金の30万円の必要性はどうか、選挙区制の区割りの課題はどうかなど、いくつかの問題点があり、
地方選挙といえども地域ごとに選挙区を分けていくことも必要となってくるのではではないか。



(3)
「残念」な地方議会

地方議会はとても努力しており、改革が進んでいるのは承知しているが、
残念ながらメディアにはそういった認識は共有されていない。
セクハラ野次だとか号泣議員などのイメージを悪くする話ばかり目に付いてしまっているのが現状である。
このような残念な状況をどのように解消していくか、地方議会として考えていかなくてはならない。
また、以下に挙げるような事実がある。

①地方議会議員なのに住民から遠い存在のように感じられている。
地元選出の国会議員の名前は知っていても、地元の地方議員の名前を知らないという事実が良い例である。
②地方議員が何をしているか、地域住民には見えていない。
③二元代表制であり、首長と議会が車の両輪とよくたとえられているが、首長の歯車の回転は見えているが、
議会の歯車の回転が見えづらいところがある。
④一部の議員による政務活動費の不適切な使い方により、不信感を与えている。
⑤「なり手不足問題」、「無投票当選」が広がっている。

このような中、各議員は地道にいろいろな取組みをしており、
また議会全体としても努力して、やるべきことはやっていこうという姿勢が必要である。



(4)
議会の内部改革 

現在、多くの地方議会では議会基本条例を定めており、議会活動を活性化させている。
以下に成果を出した実例を示す。

 例)岩手県滝沢市議会
  ・2014年の市制施行とともに議会基本条例を制定
  ・通年議会の導入 → 会議日数が約1.8倍
  ・市民との対話を進めるために、
   「市民議会」、「議会報告会」、「市民懇話会」、「政策討論会」、「フォーラム」などを実施。
   特筆すべきは、10回以上実施した「フォーラム」や13回の「議会報告会」を通じて
   議員定数と議員報酬の条例を制定した。
  ・請願、陳情の意見聴取会を設定した。
  ・「議会モニター」「議会サポーター」などの導入。

このような幅広い形での住民参加、住民との対話を実現し、住民からの信頼を得ることができた例である。
このように住民との交流の強化が重要である。
また、以上のことに加え、議員提案の政策条例を作ったり、議会評価の導入したり、
情報公開を徹底するなどの取り組みも必要である。


これらの他にも、
「政策提言機能の強化」については大津市議会の「政策検討会議」の実例を、
「議会評価の導入」については北海道福島町議会・北海道芽室町議会の「議会白書」の事例を、
「情報公開と透明性」については三重県鳥羽市議会と流山市議会の事例をもとに、
先進自治体の事例の紹介を受けた。

また、今や地方議員への不信の代名詞となった「政務活動費問題」についても話があり、
今後以下の問題をクリアする事が重要とのことであった。

 ・一般感覚との乖離
 ・第2の報酬ととらえられがちな点
 ・使い道の妥当性
 ・領収書の徹底と公開の問題
 ・前払い方式の見直し
 ・第3者的検証の必要性


<所見>
今回の講義で得たことを踏まえ、市民の皆さんとの距離を縮め、
市民から信頼される議会を目指し活動していかなければならないということを再認識することができ、
とても有意義な講演でした。

                       
森 正一






【講演4】「地方議会をどう変えるべきか~政治の役割~」
      
講師 法政大学経済学部教授  佐々木信夫氏

「地方議会をどう変えるべきか~政治の役割~」というテーマで、
法政大学経済学部教授 佐々木信夫氏による講演を聴講した。

以下に講演の内容を報告する。
(作成:榎本 祐三)


佐々木教授は、地方制度調査会委員を務めるなど地方自治に関しての専門家であり、
12年前の市町村合併の際にも合併に関する本を出され、持論を展開されている。
そのような意味から興味深く講演を拝聴した。

2000年の地方分権一括法の制定により、議会の役割は大幅に増した。
それは、地方自治体の約8割の仕事となっていた、国からの機関委任事務制度がなくなり、
自治体が自らの判断と責任で全てを決めることになったからである。

従来自治体の仕事の8割が国から委任されたものであり、これらに議会が関与することはなく、
必然的に議会は地方自治の脇役的存在であった。

しかし、地方分権一括法の制定により、機関委任事務のほとんどが自治体の意思で実施することになり、
議会はその意思を決定する主役になったことをしっかり認識する必要がある。
との講演には強く共感するものがあった。

地方分権一括法の制定後、既に16年になろうとしているが、
今回の講演は我々地方議会がどれだけ制度に対応できるよう変革したのか、反芻する良い機会でもあった。

館山市議会においては、遅ればせながら昨年4月に議会基本条例を制定したが、
今回の佐々木教授の講演を契機に、さらに充実した議会運営に取り組む必要があると痛感した。

佐々木教授は、地方議会の役割として次の4項目を挙げられている。
① 公共政策の決定者
② 執行権力の監視者
③ 政策条例の提案者
④ 民意の意見集約者

いずれも議会・議員としての役割を的確にとらえたものであり、このようなことをどれだけ我々議員が認識し、
議会・議員活動しているかが重要であると痛感した。

さらに、政策過程の5つの場面として次のように示された。
① 課題の設定(議会の役割)
② 政策立案(行政の役割)
③ 政策決定(議会の役割)
④ 政策実施(行政の役割)
⑤ 政策評価(議会の役割)

この中で特に強調されたのが、
課題の設定から政策決定するまでの3つの政策形成のステップについてであった。
つまり、あるべき姿をどう決めるかが重要であることを強調された。

それは、あるべき姿は一つではなく
・限界値目標(そこそこできたらよい)
・充足値目標(7~8割できたらよい)
・期待値目標(理想とする望ましい姿)
の観点から考察し、
それのどこを選択するのかを決めるのが政治家・議会の役割であると話されたことである。


<所見>
我々は課題を設定した場合、課題を克服するために往々にして期待値目標を掲げてしまい、
結果としてほとんど成果が得られなかったという現実を認識しているはずである。

今回の講義を得て、政策決定には限界目標値、充足目標値、期待値目標値があることを改めて認識し、
現実の政策実現に取り組む必要があると痛感した。

佐々木教授のレジュメには、この他に
「議会の問題点~首長との関係」「地方議会の改革ポイント」「すぐやれる地方議会の改革」と言った
興味深い項目があったが、時間の制約からこれらの中身については聴講できなかった。

その中身については、近く発刊される教授の本で勉強したいと考えている。
いずれにしても、議会基本条例を補完する意味で極めて有意義な講演であった。 


                          榎本 祐三







 2015-09-14
たてやま21・緑風会 
ー 会派 視察レポート ー
「医療介護は安房地域・成長戦略の一つ」 

館山市議会「 たてやま21・緑風会」会派代表 森 正一

9/8(火)、会派「たてやま21・緑風会」の議員3名(榎本祐三・石井敏宏・森 正一)で、
社会福祉法人太陽会が今年6月より新たに運営を開始した、
「ワンストップ相談付き高齢者住宅 フローレンスガーデンハイツ」を視察してきました。


この高齢者向け住宅は、 太陽会が運営する「安房医療福祉専門学校」の学生寮を
リノベーション(既存の建物に大規模な改修工事を行い、
用途や機能を変更して性能 を向上させたり付加価値を与えること)したもので、
家族と離れて生活するお年寄りや身寄りの無い高齢者の方が、
入居者同士、あるいは看護学生との交流を通して楽しいセカンドライフを
送って頂く事を目的としたアパートです。


大きな特徴として、安房地域医療センターにおいて医療・福祉相談に従事するソーシャルワーカーが、
家族のように寄り添って、いつでもどんな相談でも対応するワ ンストップ相談を行い、
一人暮らしでも不安や寂しさの無い生活を送れるように支援して頂けるとのことでした。

視察に際しては、ソー シャルワーカーの有原さんが対応してくださり、
ハイツ内の居室や洗濯室、相談室などを見学・説明いただきました。

 部屋全体 洗濯室 ウオシュレット付き

居室にはもちろんエアコンが設置されていて、
キッチンには火事の危険の無いIHコンロが採用され、
ベッドやバス・トイレ・冷蔵庫・収納スペースが完備され、
さらには見守りセンサー付き緊急通報システムが備え付けられており、
安全で快適な生活を送れる工夫がされていました。

 見守りセンサー付き
緊急通報システム
 キッチン ユニットバス 

多くの地方都市と同様に、安房地域においても人口減少・少子高齢化が進んでいて、
昨年5月に日本創生会議が発表した、「消滅可能性都市」896の中に、
館山市、南房総市、鋸南町が含まれています。

これは、このまま何も対策をせずにいたら消滅してしまう可能性が高いということであり、
今後の各自治体の努力により必ずこの危機を打開することができます。

そのためには目先の事ばかりにとらわれず、
10年、20年先を見据えた長期的なビジョンを持って、事業展開を進めていかなければなりません。


団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる2025年に向けた新たな成長戦略を展開していく事が、
今後、安房地域が生き残っていくためには必要不可欠ではないでしょう か。

今年6月、日本創生会議は、75歳以上の後期高齢者になる2025年には全国で約43万人が
必要な介護を受けられない「介護難民」になるという試算を発表しました。

特に、東京圏の東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県だけでその3割に上り、
需要は現在より45%増えるということです。

対策として、介護人材の確保の必要性に加え、高齢者の地方移住などを提言しており、
具体的な候補地として、医 療・介護に余力のある26道府県の41地域をあげています。

残念ながらこの中には安房地域は含まれていませんが、
都心や県北、あるいは神奈川県からのアクセスの良さ、
療養には最適な温暖な気候、
そして各種施設を建設する為の用地の確保が容易である、
安房の地域こそ、これら「介護難民」の受け皿に相応しいのではないでしょうか。

移住先自治体の介護保険料負担増等の問題が指摘されておりますが、
住所地特例が現在制度化されており、
今後、住所地特例の適用拡大や介護給付費財政調整基金などの対応策も検討されていると伺っております。


今議会の行政一般通告質問に置い て、
介護ビジネスを安房地域の成長戦略の一つと捕らえるべきではないかとの提案もありました。


今後、長期的な視野に立ち、医療・介護従事者の育成、
若い子育て世代が医療・介護事業に従事しやすい環境づくりを進め
当然ですが、すべての子育て世代に対しても子育て環 境を充実させて、
医療・介護ビジネスを地方創生の柱の一つとして取組んで行く必要があるのではないでしょうか。

                                     





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